『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

109話 ――この上なく尊い『命の王』――

 109話 ――この上なく尊い『命の王』――

 P型センエース1号は、

「……」

 ゆっくりと目を閉じて、
 深く息を吸ってから、
 ボソっと、




「やっぱ……勝てねぇのか……そっかぁ……まぁ……だよなぁ」



 静かに、通る声で、そう呟いた。
 そんなP1に、センは言う。

「諦めるのか?」

 問われて、P1は、力ない笑顔を浮かべて、

「……ああ」

 そう言った。

「まだ闘ってすらいないのに諦めるなんざ、タブーもいいところ。俺を目指すなら、絶対にやっちゃいけない事だと理解した上でのギブアップ発言か?」




「…………ああ」




「つまんな。最低のシメだ」





 心底から興味を失ったような顔で、そうつぶやいたセンに、


 P1は言う。

「お前なら……」

「ん?」

「センエースなら……今の俺のような状態になっても、諦めないのか? まだ、闘おうと思えるのか……?」


「それは『究極超神化7を使っているセンエースを前にしても諦めないか』という質問か?」


「アホなのか? それ以外に何があるってんだ」

「あまりにしょうもない質問だったから、違う意図がないか確認しただけだ」

「……ぇ?」


「……答える必要のない愚問だが、一応、答えてやる。『今の俺』を前にした程度なら、諦めるに足る理由など、一つもない」


「っ」

「今の俺ごときに折れるようなヤツは俺じゃない」

「……センエースってのは……そこまでじゃなきゃダメなのか……」

「具体的に『俺』を教えてやる。――『今の俺』が『敵意満々の状態で目の前に10000柱ほど並んでいる所』を想像しろ」


「……」

「想像できたか? じゃあ、俺が今から言う事を心に刻め」

 スゥと小さく息を吸ってから、






「――そんな状況でも、バカみたいに、迷いなく『ヒーロー見参』と叫べるのが、センエースという異常奇行種だ」






「……ヤベぇなそれ……ドン引きだ……」

「同感だぜ」

 そこで、P1は、ニカっと満面の笑みを浮かべて、

「センエースになんか……なりたくねぇなぁ」

「あまりにも同感すぎて泣きたくなる」

「はは……ははは……はははははははっ!」

 大声で笑ってから、



「俺はもう降りた。センエースになるのは……D型に任せる」



「そのD型ってのは、なんなんだ? あと、お前もなんなんだ?」


「俺はP型……ただのプロトタイプ1号。センエースという外殻を与えられただけのウツロな人形……」

「……いっさい説明になってねぇなぁ」

「勘違いするなよ、センエース。俺を基準に考えるな。D型は俺ほど小さくないぞ。17兆を超える思考錯誤の末に完成し、俺のような『簡易版』ではない、本物の『センエースエンジン』をつんだD型は、単なる『パワーアップキット作成用』の俺とはワケが違う」

「……センエースエンジンってなんだよ。まさか『ビビった時に鳴りだす心臓の音』の事じゃないだろうな」

 そんなセンの言葉はシカトして、
 P1は言う。

「でも、まあ、D型でも勝てねぇだろうなぁ……センエースには……何をしても、きっと。いや、どうだろうなぁ……D型も、一応はセンエースだしなぁ……はっ、わかんねぇなぁ……俺ごときには……」

「自分の世界に入らないで、きちんと説明してもらいたいところなんだが?」

 またもや、そんなセンの言葉はシカトして、
 P1は、微笑み、


「じゃあな、センエース……この上なく尊い『命の王』よ……」


 最後にそう言い残すと、P1は、細かい光の粒子になって、スゥウっと世界に溶けていった。


 それを見送ってから、センは、

(結局、なんも分からなかったな……やれやれ……)

 心の中でそうつぶやいてから、ゆっくりと、踵をかえす。

 究極超神化7を維持したまま、
 センエースは、ゼノリカの面々の前に立つ。

 そして、

「――神の児戯(じぎ)――」

 指をパチンと鳴らして、
 P1が残した閉鎖空間と、百済の面々にかけられた心殺呪縛を破壊する。

 パリィンと弾ける音がして、
 下らない呪は、すべて綺麗に消え去った。
 どれだけの強力な呪であろうと、神の前では児戯に等しい。







【後書き】
ついに、次話!

堂々の最終回!!!

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コメント

  • 祝百万部

    ありがとうございます!
    すごくうれしいですw
    世間的には100:0でエジソンの方が上ですがw

    しかし、そこまで言っていただけて、本当にうれしい!
    これまで、かなり無理をして頑張ってきたつもりでしたが、
    ここからは、これまで以上にがんばっちゃいますよぉ!
    ――褒められると、はしゃいでしまう、現金な私ですw



    キャベツ太郎さんは、相当の速筆だと思いますよ!
    その速筆から紡がれる、たくさんの感想、いつもいつも、本当に感謝しています!

    0
  • キャベツ太郎

    あっ(察し
    私うどん好きなのでちょっと親近感?湧きます。
    褒め称えるのは事実なので、止めないと思います。にしても、流石に歴史上の偉人はスケールが大きくて分かりにくかったかもしれません。ですが、私からすればあなたはそれほど尊いので、間違ってはいないはず…
    ぶっちゃけエジソンとかよりも尊敬してますww
    一応『速筆』の称号を貰い受けたとお思っても?

    5
  • 祝百万部

    300字書くのにかかる時間8分は、おそろしくはやいですねw
    私は、1時間で1000~3000字ほどで、相当の速筆の自信があるのですが、
    8分換算でいうと、だいたい同じくらいですw
    私の唯一の長所『速筆』が、自慢できないw

    というか、内容がすさまじく褒めてもらえている!
    ここまで褒められるほどの人間ではないので、恐縮しかできないw
    いつも、いつも、本当にありがとうございます!



    出身は西の方です。ゴリゴリの関西ではなく、少し外れていますがw
    島国の人間ですw
    うどんに対する熱量がハンパじゃない県ですねw


    1
  • キャベツ太郎

    それと、単純にP型事後を書くとは流石に思っていなかったw




    さっきのコメントに要した時間が約8分なんですが、書くの遅いですかね?
    あと単純なる興味なんですが、出身は関西の方なんですか?
    アカンとか、関西以外で聞かないので少し気になりました。
    一応私(言ってなかったかもですが、一人称私ですけど男です)は関西人です。

    2
  • キャベツ太郎

    とても安心しました。

    永久には続かなくとも、この作品が幕を閉じるその瞬間まではこれまで通り愛し続けたいと思います。
    その作品の良さや儚さは無くなってこそ気付くものだと私は考えています。生前見向きもされない、絵空事だと揶揄されてきた歴史上の偉人や科学者は、死んでから人々が記録に残し続けたいと思うほど有名になる例が多々あります。その方達は命果てるそのときまで人々の誹謗中傷に耳を貸さず、自らの考えを持ち生きていたんだと。だから、死してなお、その作品が、その思想が、その想いが、受け継がれて来たのだと。祝百万部さんがそのような魂に響く作品を書けるだけの表現力や思想を持っていると私は想います。

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