『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

106話 神を見たカティ。


 106話 神を見たカティ。

 ……センは言う。

「時間切れでは終わらせない。俺の全力でお前を潰す。必ずブチ殺す」

「すげぇよ、センエース。お前は本当にすごい……まさしく、最強の神だ」

 おだやかに、そう言ってから、しかし、

「だが、今の俺を殺しきれるほどのパワーじゃない……というより……まだ、俺の方が強いな。絶死を使った『俺』の方が……お前よりも強い。……たった五分だけの、無意味な最強……けど、『それだけ』は譲れない事実……」

 P1は、奥歯をかみしめて、

「無意味で無価値で非生産的な、なんの価値もない無味無臭な全世界最強。けど、せめて……せめて『それだけ』は証明して逝ってやる!」

 フラットな時間は終わった。
 最後の意地を見せようと跳躍するP型センエース1号。

 次元の断層をぶっちぎって、
 空間をねじ伏せながら、

 センエースに特攻を決める。

 オーラをこめた拳が加速して、
 全身を超速の弾丸にした。

「……ぐぅっ」

 センエースの顔面に、P1の拳が直撃する。
 波動が広がって、何重にもなっていく。
 単なる衝撃ではなかった。
 環次元上のインパクト。

「ごふっ」

 センエースの口から血が溢れた。
 真っ赤な鮮血。

 その血を浴びながら、P型センエース1号は言う。

「センエース……5分では、あまりにも短すぎて、お前を殺す事はできないだろう」

 絶死を積んだ『今のP型センエース1号の力』は境界線を超えた領域にある。
 その暴力は『真・究極超神化6を使ったセンエース』を超えていた。
 今のP型センエース1号の力があれば、究極超神センエースを殺し切ることは可能。

 しかし、究極超神の生命力は、当然のように膨大。
 いかに、今のP型センエース1号のパワーが膨大であったとしても、
 五分では流石に削り切れない。


「しかし、どうでもいい! お前の死など! どうでも! 俺という個が、お前よりも強いという事! それだけを! ただ! 全力で証明する!」


 P型センエース1号の衝動を受けて、
 センは言う。

「その想いを『くだらない』とは言わない。存在証明のやり方は人それぞれ。そして、結局のところ、存在証明なんて、どこまでいっても自己満足の枠からは抜けだせねぇ。だから、俺がお前に浴びせる言葉は一つだけ……」

 『痛み』の中で、センエースも跳躍する。

「俺を怒らせておきながら、満足して死ねるなんて思うな」

 そこから、速度の競い合いが始まった。
 有利を奪い合う瞬間移動合戦。

 『あっち』で殴り合っていたと思ったら、
 今度は『こっち』で殴り合っている。

 影と音だけが世界を支配する。
 暴力とは思えない芸術がそこにはあった。


 ――そんな超次の芸術を、
 『天上』の面々は、呆けた顔で見つめていた。

 ふいに、カティが、

「……ぁ、あれが……」

 ボソっとそうつぶやいた。
 多くの想いがこもった一言だった。
 やはり、なかなか、言葉にはできない。
 あまりにも尊すぎて、『丁寧に装飾された賛美』なんて口にしてはいられない。

「……ぁあ……ああ……」

 カティも、聖典を読んだ事はある。
 聖典を読んだ時の『彼女の感想』は一言。

 『退屈』

 それだけ。
 カティは、聖典のような、いわゆる『無敵の主人公が無双するタイプの作品』を楽しめるタイプではなかった。
 カティは、重たい文学を好むタイプ。
 創作に触れる時は、ドロドロとした『脆い自分』の中に沈んでいかなければ『面白い』とは思わないという、ちょっとアレな、そっち系文学少女。

 全員が全員、面白いと思う作品など存在しない。

 もちろん、カティも、聖典から『ゼノリカが目指している先』をくみ取る事は出来た。
 絶望の底でも勇気を叫ぶ――その意味と価値を、聖典から学んだ。
 だが、それは、あくまでも、『ゼノリカに属する者としての心構えを理解した』『会社理念やマニュアルに目を通した』というだけであり、
 だから、聖典を読んで、
『センエース、かっけぇ』
 とは思わなかった。
 センエースの華々しい活躍が描かれたページを読んでも、
『はいはい、すごいすごい』
 としか思わなかった。

 だが、今は、


「……超カッケェ……」

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