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57話 『バロール&カティ』VS『P型センエース1号』


 57話 『バロール&カティ』VS『P型センエース1号』



「ゼノリカに仇なしている時点で、どっちみち死刑は確定。死刑囚の戯言にふりまわされるなど無様極まる。事情聴取は終わり。さっさと殺して終わらせる事にしよう」




 そう言って、バロールは、P1を駆逐しようと距離を詰めた。
 続いて、カティも援護する。

 『2』VS『1』になって、P1は、当然のように、劣勢にたたされる。

(分かっていた事ではあるが……九華を二体同時相手は……流石にキツいな……)

 バロールは、広範囲魔法で場を制圧しながら、豪快に両手の剣を振り回す。
 『肉を切らせて骨を断つ』が信条のバロール。
 思考ゼロの脳筋戦法を得意とする男の猛攻には、いつだって迷いがない。

 とにかく、被ダメージは無視して、相手を押し切ろうとする。
 その向こうでは、カティが、遠距離型の高火力技でバロールを援護している。
 高火力の弾幕を前に、ジリジリと押されるP1。

 バロールとカティではタイプが真逆。
 高火力という点では一緒だが、その出力方法がまるで違う。
 慣れていないバロールの攻撃に、P1は翻弄される。

 結果、
 あっさりと押しこまれて、

「がはっ!」

 ついには、一刀のもとに切り伏せられた。
 完全に死亡したP1。

 ――だが、また、同じように、P1は蘇生して、



「OK。だいたい分かった……もう、お前らには殺されない……」



 ボソっとそう呟きながら、自身の状態を確認するように、ぐるぐると腕をまわすP1。

 ――実際に、P型センエース1号のイカれチートスキル『無限転生・改』を見て、

「……っ……」

 バロールは目を丸くする。
 こめかみ部分を流れていく冷や汗。
 口の中が渇く。

(ぉ、おいおい……本当に、死んで蘇ったら圧力が増えたぞ……なんだ、このガキ……)


 かるくおののいていると、
 そこで、
 バロールは、背後に、救援の気配を感じた。
 それは、とてつもなく頼もしい圧力だった。

「はっはー、驚いたねぇ。蘇生するたび強くなるスキルとは。ハンパじゃない」
「……死んでも死んでも生きかえるとか……気持ちわる」
「なんだか、ジャミのチートに少しだけ似ているわね」

 パメラノに命じられて参上したサトロワス・マリス・テリーヌがそう言った。

 バロールは、救援にきた姉――ロックロック・テリーヌにチラっと視線を向けると、
 思わずホっとした顔になって、

「いやいや、テリーヌ。ジャミの『アンリミテッド・ヴェホマ・ワークス』は、無限に回復できるイカれた反則技だぜ。もし、アレの蘇生版としたら、あのガキ、ただの無敵ってことになっちまうだろうが」

 そう言ったバロールの発言に対し、
 P1が、

「やっと気付いたか? 俺の『無限転生・改』は、死んでも無限にその場で転生し続ける事ができるチート中のチート。お前らがいくら、なにを、どうしようと関係ねぇ。俺は永遠に蘇り続け、そのたびに強くなる」

 その発言に対し、大量の救援を前にしてガッツリと気が大きくなったバロールが言う。

「ふざけんな、ボケ。そんなスキルがあってたまるか、カスが」


「あるんだよ。センエースは、このチートを持っているから、最強の神になった」


 などとのたまうP1。
 この瞬間、この場にいる全員の心に、表現できない『不快感』が産まれた。
 なんというか、『お前の母ちゃんデベソ』と言われた時に近い不快感。

 自分たちの神を――つまりは、『抱いてきた信念そのもの』を穢されたような気がした。

 ――と、そこで、
 サトロワスたちに続いて現れたパメラノが、

「――確かに主は、無限転生という呪いにかかっておった」


 P1を睨みながら、ハッキリと言う。


「しかし、それが理由で神になったワケではない。むしろ、無限転生など、主の足かせでしかなかった。……我らの主をナメるなよ、クソガキ」




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