『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

32話 神様としてのマナー。


 32話 神様としてのマナー。


 かつて、メービーがまだ表舞台に出ていたころ、メービーは、多くの者から『弟子になりたい』と志願された。
 しかし、メービーは、そのことごとくを断った。
 弟子を取るのがイヤだったワケではなく、育てるに値する者がいなかった。

 勇者の存在を知った時、育ててみたいとも思ったが、
 『もう少し下地が出来たら、声をかけてやろう』と思っている間に殺されてしまった。
 勇者の死に対して、この世で最も落胆しているのは、もしかしたらメービーかもしれない。
 そんな折に見つけたのが、『177番((セン))』。


(一次試験の試験官などという下らない雑用を、なぜ私が、と嘆いていたが……案外、大きな拾いモノをするかもしれんのう)


 10分たったが、まだ、踏ん張っているセンを見て、メービーは、心の中でそんな事をつぶやく。

(かなり苦しそうではあるが……まだまだ限界ではなさそじゃな……素晴らしい。とてつもない根性……感嘆に値する)

 ちなみに、センが苦しそうにしているのは、当然、ただの演技であり、
 なんで、そんな演技をしているかといえば、その理由はしごく単純で、
 現世におけるセンは、とんでもない『気ぃ使い屋さん』だからである。

 『イタズラに現世を混乱させる』のは神としてマナー違反。
 センの視点で言えば、ここで『苦しそうな演技をする』のは、『葬式に行く時は黒ネクタイを着用する』のと同じ、ただの常識・当たり前。
 『お忍びで冒険者試験の試験官をしている超越者の殺気』に対して『涼しい顔をしている』というのは、セン視点だと、『葬式』に『海パン一丁で出向く』のとほぼ同等の、かなりイカれた愚行。

 というわけで、センは全力で耐える。
 『わて、がんばってまっせっ!』感を全力で出しながら、
 ある意味、必死に、メービーの殺気に耐える。

 十五分が経過した時、
 ふいに、メービーが、

「返事はせんでよい。意識が途切れぬよう、そのまま踏ん張って……しかし、少しだけ、私の話を聞け」

 そう前を置いてから、

「なかなか見事な根性じゃ。ぬしにだけ、こっそりと真実を教えてやる。実は、あの紙は、個々の才能に反応するようになっておる。一定以上の才能を持つ者が触れれば『1』が、それ以外の者が触れれば2が浮かぶようになっている」

 試験内容は、『運』ではなく、特殊アイテムによる選別だった。
 『冒険の書』を与えるに相応しいものかどうかを速攻で選別できる便利アイテム。

 Q そんなものがあるなら毎回使えばいいんじゃね?
 A この紙は、使い捨ての希少品。天国最奥の宝物殿『全てを閉じ込めた場所』に収められている宝の一つであり、一度使ってしまうと、二度と手に入らない系のアイテムです。

「あの紙で測れるのは、あくまでも、『武の才能』だけじゃから、『一次試験』には向いておらんのじゃが――」

 『冒険者試験の一次試験を突破できるだけの資質』があるか否かは、この世界だと、就職時の、重要な指針となるため、『武の才能だけ』を測る試験を一次に持ってくることはない(世界を回すために必要な能力は、暴力だけじゃない)。

 逆に、後半になればなるほど、武の才能を試す試験は増えてくる。
 それは、正式に冒険者を名乗れるのは『最低限の強さ』を兼ね備えた者でなければいけないからである。
 冒険者になるとは、この世界の『管理者の一人』になるということ。
 弱者では務まらない。

「――しかし、まあ、今回は色々と、厄介な事情があってのう」


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