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30話 意識ガー。


 30話 意識ガー。

 帰っていいと言われたアダムは、しかし、

「主上様を落とすというイカれたマネをかましてきたフーマーの委員会に、世界の理(ことわり)というものを説教してやるのが神の配下たる者の責務だと切に思いますが……それは、主上様の望みではないと愚考いたしますので、どうにか自粛し、主上様のお背中を、ただ見守りたく存じております」

「いいぞ、アダム。成長したじゃないか。褒めてつかわす」

「ははーっ、恐悦至極にございます!」

 アダムに深く傅かれてから、
 センは、ゆっくりと階段を下りていく。





(……くだらん雑用じゃったな。さっさと、帰って今日の分のメニューを消化――ん?)





 目の前までやってきたセンを見て、メービーが、

「……まさか、やる気か?」

「敗者復活、おなしゃーす」

「本気か? 忠告は散々した。挑むというなら、殺す。もし、ただの脅しだと思っているのなら、そこの死体を確認してみるといい」

「別に、脅しだとは思っちゃいないっすよ」

 ちなみに、センは、ショック死した者たちに何の感情も抱いていない。

 近づけば殺すと散々言われていながら、自らの意思で近づいていって、宣言通りに殺された者たち。
 そんな者達に何か特別な感情を抱くほど、センは歪んでいない。
 そんな者達を変に贔屓するほど、センは壊れていない。

 『それが真に自分で選んだ道』ならば、決して推奨はしないが、しかし、『自殺』も選択肢の一つだと認めるのがセンの考え方。
 センは、決して脳内お花畑じゃない。


「脅しだとは思っちゃいませんが……ただ、また来年再挑戦というのはイヤなんすよね」


「ぬしのようなバカを黙らせたいから、徹底した対処を取ったというのに……まあよいわ。自ら死を選ぶバカに慈悲は与えん。さっさと死ね。私は忙しい」


 言ってから、殺気を放ってくメービー。

 だが、その凶悪な覇気に、

「ぬぅうう……これは、スゴイ殺気ダー。意識ガー遠ノクー」

 センは耐える。
 脂汗を出し、体をプルプルと震わせながら、しかし耐える。
 ※ 神の王ともなれば、『苦しんでいる演技』もお手の物! 

 その様を見て、

(……ほう)

 メービーは心底から感心した。

 そこから、一分、二分と、センは耐え、
 ついには五分を突破する。

(こいつは驚いた。……私の一次試験に合格する者がいるとはのう……)

 五分が経過した段階で、メービーは殺気の質を徐々に軽くする。

 『三時間』という数字は、受験生の心を殺すための感情な数字であり、本当は、五分耐えられた時点で合格にするつもりだった。

 『合格にするつもりだった』とは言っても、五分も耐えられる者などいるはずがないと思っていた。

(既に、合格なんじゃが……三時間と言ってしまった手前、途中で終わるわけにもいかん)

 その辺、無駄に律義なのがメービーというジジイだった。
 自分のルールに厳しい。
 他者に課すルールも、自分に課すルールも厳しく徹底する。
 そうやって生きてきたジジイ。
 それが、フーマーの第一使徒メービー。

 そこで、メービーは、こころの中でつぶやく。

(……『自分ルールをやぶるわけにはいかないから、終わらせるわけにはいかない』――という理由も、もちろんなんじゃが……)

 ――それだけではなく、

(どこまで耐えられるか、見てみたいとも思うしのう……)

 というわけで、ここから、メービー式人間試験が始まる。
 殺気の量を調節し、177番((セン))の忍耐力の限界を探っていく。

(……頑張れ。『177番((セン))』。もし、本当に三時間耐える事ができたら、ぬしを私の弟子にしてやろう……)


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