『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

21話 高次の回復魔法。


 21話 高次の回復魔法。

 世界を乱す時限爆弾『ゴート・ラムド・セノワール』を睨みつけながら、
 ワイルは、


「さあ、ラムド。俺を従わせたかったら、剣(けん)で俺をねじふせろ。もし、お前が、俺の道の『先』にいるのなら、俺はお前の剣(つるぎ)になろう!」


「わかった」

 言って、ラムドは、ワイルの目の前まで歩く。
 そして、

「腕は治してやる。『片腕だったから、負けた』みたいな、そういうふざけたイチャモンつけられたくないからなぁ」

「侮辱するな。そんなふざけた事を言う訳がないだろう!」

 真剣にキレているワイルに、
 ラムドは辛らつに、

「お前の言うことは信用しない。それに値しない。現状における、お前という存在の、俺の中での信頼度はゼロ以下だ」

 そう言いながら、ゴートは、ワイルの腕をサクっと治す。
 高ランクの回復魔法。
 それは、一国に一人くらいしか使い手がいない高次魔法。

 ゴートの見事な手際を見て、
 ワイルは、

「お前が高位の回復アイテムを持っているという話は、サリエリから聞いていたが……今のはアイテムを使ったのか? 普通に魔法を使ったように見えたが」

「普通に魔法を使ったように見えたなら、たぶん、普通に魔法を使ったんだろうぜ」

「……」

 これに関しては、少し離れた場所で見ているサリエリも瞠目し、ポカンと口を開いていた。

 サリエリは思う。

(あれも嘘だったか……お前は、ほんとうに嘘だらけだな、ラムド)

 さらにゴートを理解したサリエリは、しかし、ゴートに対して不快感を覚えなかった。
 『徹底している』という印象しか抱かなかった。

 その向こうで、ゴートと対峙しているワイルは、わずかに、冷や汗を滲ませ、

(ここまで見事な回復魔法まで使えるとは……この男はいったい……)

 ラムドの事は『凄い男』だと理解している。
 『強い召喚獣』を『何体も召喚する事が出来る』という能力を、無力だとは思わない。
 というか、一応、『とてつもなく偉大な力だ』と理解している。

 ワイルはただのバカじゃない。
 ちゃんと考えて生きているバカ。
 バカはバカでも思考出来ないバカじゃない。

 ――ワイルは、ただ『剣』しか認めたくないだけ。
 そこ以外に重きを置きたくないという、ただのワガママ。
 強さというもののランクは、剣で決めたいという、ただのこだわり。

 だから、分かっている。
 ラムドの強さ。
 なんでもありのルールで、ラムドとまともに闘えば、自分は絶対に勝てないと理解している。
 そして、おそらく、この底が知れないバケモノは、剣でも自分を超えているだろう。
 それまでの人生で、散々っぱら、『剣』だけにこだわってきたから分かる。

 さきほどの、腕を切り飛ばされた一太刀だけで充分に理解できた。

 ラムドの強さは、剣でも、ワイルを遥かに超えている。
 わかっている。
 そんなこと。

 しかし、だからこそ、ここでは立ち向かわなければいけない。

 ワイルはそうやって生きてきた。

 ゴートは言う。

「ワイル、行くぞ」

「ああ。ラムド、お前の全部を俺に見せろ」

 そう言って、切りかかってきたワイル。
 そんなワイルを、


 ――ラムドは、威圧する。



「っっっっっっ?!!」



 他の連中には、余波が届くだけに留め、
 ワイルに対してだけ、殺気が『身の芯』まで届くように調節する。
 剣の切っ先をワイルの視点に合わせ、『己の未来』を明確に想像させる。


「ひっ……ヒィイイイイッッ!」


 壊れないように、砕けないように、ギリギリまで調節しながら、
 ラムドは、殺気だけでワイルを絶望させる。
 ワイルの脳内は、『無限に切り刻まれる自分』のイメージで埋め尽くされる。

「いいいいいいいいぃいぃぃいいいっっ」


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