『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……
18話 平熱マンの、華麗なる超必殺技。
18話 平熱マンの、華麗なる超必殺技。
結集したバ火力の暴走。
エニグマミーティア。
激烈な照射が終了した時、
――しかし、アダムは普通に生きていた。
ゾメガは絶句する。
「耐えおった……信じられん生命力……」
アダムは、ボロボロにはなったが、
しかし、『死』には届いていない。
「……はぁ……はぁ……」
絶え絶えの息を継いで、アダムは、ゾメガを睨みつける。
「あらためて褒めてやる。貴様の一撃も……ミシャの生命力同様、想定を大幅に超えていた……が……私を殺し切ることは――」
言葉を最後まで繋げる事はできなかった。
その途中で、アダムの頭上に、光が出現したから。
それは、巨大な剣を構えている平熱マンだった。
巨大な剣を持っているのは、平熱マン自身ではなく、天万手。
平熱マンの身の丈ほどある巨大な腕が、その全長より大きな剣を握りしめていた。
「この剣は、天万神離といいます。クソ鬱陶しい制限てんこもりなので、タイマンや訓練では使い物にならない、おそろしく面倒なシロモノ。召喚するための時間は長いわ、クールタイムも長すぎるわ、一回使ったら、天万手の機能の大半が停止するわ、本当にもう……」
やれやれと首を振ってから、
「しかし、味方が時間を稼いでくれて、かつ、『この一撃で終わり』という場面では、これ以上なく最適の剣」
「……」
アダムの目が、即座に、天万神離を計測した。
複雑な計算式などいらなかった。
見えさえすれば、子供でも結果が理解できる引き算がそこにあった。
『1(アダムの残りHP)』-『100(天万神離の火力)』
「これで殺せなければ手はありません。ボクたち三人は出しつくしました。もし、耐えられたら、ボクらの負けです。けれど、流石にそれはないでしょう」
そこで、平熱マンは、アダムの目をジっと見て、
「たった一人に……あなた唯一人に……ボクらは全てを使った……全てを注がなければ勝てなかった……素晴らしい……ボクはあなたを尊敬する」
「……」
「心の底から尊敬している、だからこそ……ハンパでは終わらせない。最後までやりとおす。ボクの全部で、あなたを殺す」
最後にそう言うと、平熱マンは、
天万手にオーラを注ぎ込む。
平熱マンの命を受け、天万手は、グっと、天万神離を握りしめ、グゥっと力強く振りかぶる。
そして、平熱マンは叫ぶ。
「平熱マン・スラァァッシュ!!」
もう『いろんなアリア・ギアスが積まれている』と一発で理解できる、とんでもなくアレな名称の必殺技を放つ平熱マン。
平熱マンは、神から賜った自分の名前に誇りを持っているが、それとはまた別に、この名称がアレだという事は分かっている(というか、『センエースから名前をもらった』という点を誇っているだけで、感性的に、平熱マンという名前を素晴らしいとは、流石に思っていない。平熱マンは『センエースにイカれているだけ』であって、『頭がバグっている』というワケではない)。
というか、仮に、超カッコイイ名前だろうとなんだろうと、自分の名前がついた技を、全力で叫ぶという行為そのものは、なんであれ、アレなのだ(というか、そうでないと、やる意味がない)。
色々と、とにかくアレなグリムアーツだが、しかし、『平熱マン・スラッシュ』は、平が積んできた鍛錬の結晶であり、その熟練度は余裕でSSS+に達している。
――結果、アダムの全てを切り裂く一撃が炸裂。
今のアダムでは避ける事など出来る訳もなく、そのままモロで直撃。
悲鳴を上げる間もなく、一瞬で細切れになったアダム。
その結果を、一瞬たりとも目を離さずに見ていた平熱マンは、
「実践訓練はこれにて終了。それでは、すぐに反魂の――」
勝利の余韻に浸る事なく、すぐさま蘇生の準備を始めようとした、
――が、その必要はまったくなかった。
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