センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

39話 最弱。



 39話 最弱。




 ゼンという個は、『エグゾギア』が使える。
 GPで底上げしているため、『素のステータス』も悪くはない。
 かつ、『多少は訓練を積んだグリムアーツ』も使える。


 そのため、決して『弱いわけではない』が、
 『比類なき最強』を背負えるほどの『器』か、といえば、断じて否。




 ――苦い顔をしているフッキの向こうで、
 渾身の一撃をアッサリと避けられたゼンは、


「え、えぇ……い、今の一撃を、そんな簡単に避けるの? ……ぃ、いやいや、今の俺の一閃、メチャクチャはやかったのに……そんなアッサリ……」


「表の世界でなら、確かに、ケタ違いの一撃だな。しかし――」


 そこで、フッキは、エグゾギア用にカスタムした『聖なる死神の聖剣』を召喚すると、


聖燕死烈斬せいえんしれつざん


 セイバーリッチ固有のグリムアーツを使用した。
 やっている事は、剣を斜め上に切り上げているだけ。


 だが、その斬撃は、一閃とは比べ物にならないほどの衝撃波となって、


「どぉうぁああああああああっっ!!」


 ゼンに襲いかかった。
 避けようと思う間もなくクリティカルヒット。


 その一撃で、『一兆』近くあるエグゾギア用のバリアの半分以上が削られた。


 とんでもない超火力の一撃を放ったフッキは、極めて冷淡な口調で、




「これが、ゼノリカの領域だ。ゼノリカを相手にするとなれば、最低でも、このぐらいの精度がなければ、話にならない」




「……………………は、はは……」


 ゼンは、激痛に耐えながら、顔をひきつらせつつ、


「さ、さすが……ゼノリカの主力……普通に、スゴ過ぎて、吐きそうだ……」


 ボソっとそうつぶやいて、


「あのさぁ、一個だけ教えてほしい事があるんだけど……」


「なんだ?」


「ほんと、正直に、教えて欲しいんだけど……あんた、強さ的にはゼノリカで何番目? あんたより偉いヤツがいるのは知っているから、それはノーカンで……純粋に、タイマンで闘ったらあんたより強いヤツ……何人いる? あんたが最強なら、正直に、そう言ってほしい。てか、あんたが最強だろ? そうだよな? 強さなら、あんたがナンバーワンだよな? そうだと言ってくれ、頼むから」


「存在値だけなら、それなりに上位だが、決して一番ではない。戦闘力という点で言えば、オレより上などゴロゴロいる」


「……」


 ゼンは絶句した。
 クラっとして、フラつく。


「『PSR』は確かに最強最高の特別なチーム。『ありとあらゆる世界』の『頂点』が集まるゼノリカ内でも、『逸脱者』が集結している天上の天上。そのPSRに在籍しているオレは、確かに、神羅万象の上位に属する強者。それは事実……だが、PSRの中だとオレは最弱だ」


(……ぅそ……だろ……)


 心底から絶望するゼン。
 『最弱』という言葉が、心にズシンとのしかかる。


「――『秘密部隊PSRパシリ』の『リーダー(巨乳の狂信者)』は、その気になれば、オレを、一瞬で殺せるほどの強者。『リーダー』は、存在値においても、戦闘力においても、オレを遥かに超えている」


「……」


「リーダーほどの圧倒的な強者ですら、ゼノリカの中では最強と言う訳ではない。超魔王ゾメガ・オルゴレアム剛魔至天帝陛下の配下である『五聖命王』の『遊撃隊長』を兼任している『PSRの名誉顧問(頭のおかしさでは他の追随を許さない究極超女神)』は、リーダーよりも遥かに高い戦闘力を有している。そして、当然の話だが、『ゼノリカの頂点に御座す御方』は、そんな名誉顧問よりも高みに在る」


 ※ フッキは、一つもウソを言っていない。
   五聖命王は、ゾメガの配下だし、センエースはゼノリカの頂点。


「ゼノリカを敵に回すというのは、そういう、異次元の強さを持った『究極の神々』を丸ごと相手にするということだ」


「……」


 あまりの衝撃に、ただただ絶句しているゼンに、


「最後にもう一度だけ聞く。これが、本当に最後だ。もう二度と聞かない。だから、勢いに任せるのではなく、真剣に考え抜いて答えろ」


 フッキは問う。


「――それでも、お前はゼノリカに抗うか?」







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