『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……
10話 トーン共和国。
10話 トーン共和国。
ダン! と、テーブルに拳を叩きこむサーナ。
フーマーの器物に傷をつけるワケにはいかないので、力はあまりこめていない。
良い感じの音が出るよう調節した拳をテーブルにふるってから、サーナは、全力で、怒りに震えている感を出しながら、
「よくも、勇者を……私の弟を殺してくれたわね、魔王リーン・サクリファイス・ゾーン」
ついには、ポロっと涙まで流してみせた。
そこに、セア聖国の大神官が割って入ってきて、とうとうと、
「セファイルの主張が正しいとしたら、魔王国は、セファイルに対してだけではなく、人類全体に対して賠償金を支払うべきだ。勇者は人類の希望だった」
続けて、ミルス王国の国王も、
「勇者の死は、わが国も感知している。あれほどの者を殺せるとしたら、特異な力を有する『世界一の召喚士ラムド・セノワール』ぐらいだろうな」
そこで、セファイルのサーナが、
「勇者一人に対して、魔王国は、軍として襲いかかったのでしょう? なんと悪辣で野蛮なことか」
強い言葉で魔王国を非難すると、それに、セアとミルスの代表も乗ってきて、
「勇者の遺体はどこに?」
「どのように殺したんだ、悪逆非道なリッチよ」
セアとミルスには、勇者の死を探知する能力者もシステムもないが、セファイルから報告を受けているので知っている。
――つまりはそういうこと。
見事な連携。
たたみかけてくる。
「ぉ、おぬしら……いったい、どういう……」
震えているリーン。
何が起きているか理解できないままイジめられている少女――そんな顔で、ただ震えている。
そんな時、序列二位の大国『トーン共和国』の国家主席『カバノン』が、スっと手をあげた。
フーマーの第二使徒、この場における最高権力者ケイレーンが、カバノンの発言を正式にゆるす。
「我が国の巫女は、次元ロックをも貫通する遠視の魔法が使える。何が言いたいか、理解できるかね?」
カバノンは、リーンを睨みながらそう言って、とうとうと、
「貴国の宰相ラムド・セノワールが勇者を殺害している所を、我が国の巫女はその目で確認している」
※ ここで、トーン共和国について、少しだけ丁寧に説明しておく。
トーン共和国は、『自国以外の何かや誰かを全力で攻撃している者』が選挙で主席に選ばれる国である。
戦前はカル大帝国相手にかみついた者が主席になった。
とはいえ、相手は当時、覇権国家だった天下の大帝国。
カル帝国を相手に、ただただ無意味に噛みつくだけでは叩き潰されてしまう。
そこで、トーンは、フーマーとの中継役のような役割を演じる体を装って、フーマー以外で唯一『大帝国に注意ができる(だめだよー、と優しく声をかけるのが限界だが)』という地位を獲得し、それを維持した。
そして、結果、『最も強く注意しているように見える者』が主席になった。
……ちなみに、当時の首脳陣は、裏で大帝国とズブズブの関係にあった。
自国の民を相手に、うまく演劇を決めた者が代表になる――そんな国。
で、現在、トーン共和国で政権を得ようとすれば、誰を攻撃すればいいのか。
簡単である。
武力でもって人間の国家(カル帝国)を潰した野蛮なモンスターの国。
別に、トーン共和国は、さほど、魔人という種族に対して差別的ではなかったが、ここ数年で、トーン共和国の民は、すっかり洗脳されて、『魔人は脅威(つまり悪)だ』と認識するようになった。
『魔人というのは、モンスターが酷くなった存在なんだよー』
『あいつらは、対話を求めていた大帝国を問答無用で潰した鬼畜なんだよー』
『あいつらは、世界征服を狙っているんだよー』
『放っておいたら、大変なんだよー』
もちろん、全員が信じた訳ではない。
魔王国が『誰よりも血を流して悪の大帝国を討ってくれた』という事実を理解している者だって当然いる。
魔人は人間とほとんど変わらないという事を理解している者も、決して少なくはない。
だが、割合としては、7:3で、洗脳された者の数の方が多い。
賢さは貫けない。
ダン! と、テーブルに拳を叩きこむサーナ。
フーマーの器物に傷をつけるワケにはいかないので、力はあまりこめていない。
良い感じの音が出るよう調節した拳をテーブルにふるってから、サーナは、全力で、怒りに震えている感を出しながら、
「よくも、勇者を……私の弟を殺してくれたわね、魔王リーン・サクリファイス・ゾーン」
ついには、ポロっと涙まで流してみせた。
そこに、セア聖国の大神官が割って入ってきて、とうとうと、
「セファイルの主張が正しいとしたら、魔王国は、セファイルに対してだけではなく、人類全体に対して賠償金を支払うべきだ。勇者は人類の希望だった」
続けて、ミルス王国の国王も、
「勇者の死は、わが国も感知している。あれほどの者を殺せるとしたら、特異な力を有する『世界一の召喚士ラムド・セノワール』ぐらいだろうな」
そこで、セファイルのサーナが、
「勇者一人に対して、魔王国は、軍として襲いかかったのでしょう? なんと悪辣で野蛮なことか」
強い言葉で魔王国を非難すると、それに、セアとミルスの代表も乗ってきて、
「勇者の遺体はどこに?」
「どのように殺したんだ、悪逆非道なリッチよ」
セアとミルスには、勇者の死を探知する能力者もシステムもないが、セファイルから報告を受けているので知っている。
――つまりはそういうこと。
見事な連携。
たたみかけてくる。
「ぉ、おぬしら……いったい、どういう……」
震えているリーン。
何が起きているか理解できないままイジめられている少女――そんな顔で、ただ震えている。
そんな時、序列二位の大国『トーン共和国』の国家主席『カバノン』が、スっと手をあげた。
フーマーの第二使徒、この場における最高権力者ケイレーンが、カバノンの発言を正式にゆるす。
「我が国の巫女は、次元ロックをも貫通する遠視の魔法が使える。何が言いたいか、理解できるかね?」
カバノンは、リーンを睨みながらそう言って、とうとうと、
「貴国の宰相ラムド・セノワールが勇者を殺害している所を、我が国の巫女はその目で確認している」
※ ここで、トーン共和国について、少しだけ丁寧に説明しておく。
トーン共和国は、『自国以外の何かや誰かを全力で攻撃している者』が選挙で主席に選ばれる国である。
戦前はカル大帝国相手にかみついた者が主席になった。
とはいえ、相手は当時、覇権国家だった天下の大帝国。
カル帝国を相手に、ただただ無意味に噛みつくだけでは叩き潰されてしまう。
そこで、トーンは、フーマーとの中継役のような役割を演じる体を装って、フーマー以外で唯一『大帝国に注意ができる(だめだよー、と優しく声をかけるのが限界だが)』という地位を獲得し、それを維持した。
そして、結果、『最も強く注意しているように見える者』が主席になった。
……ちなみに、当時の首脳陣は、裏で大帝国とズブズブの関係にあった。
自国の民を相手に、うまく演劇を決めた者が代表になる――そんな国。
で、現在、トーン共和国で政権を得ようとすれば、誰を攻撃すればいいのか。
簡単である。
武力でもって人間の国家(カル帝国)を潰した野蛮なモンスターの国。
別に、トーン共和国は、さほど、魔人という種族に対して差別的ではなかったが、ここ数年で、トーン共和国の民は、すっかり洗脳されて、『魔人は脅威(つまり悪)だ』と認識するようになった。
『魔人というのは、モンスターが酷くなった存在なんだよー』
『あいつらは、対話を求めていた大帝国を問答無用で潰した鬼畜なんだよー』
『あいつらは、世界征服を狙っているんだよー』
『放っておいたら、大変なんだよー』
もちろん、全員が信じた訳ではない。
魔王国が『誰よりも血を流して悪の大帝国を討ってくれた』という事実を理解している者だって当然いる。
魔人は人間とほとんど変わらないという事を理解している者も、決して少なくはない。
だが、割合としては、7:3で、洗脳された者の数の方が多い。
賢さは貫けない。
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