『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……
62話 転機
62話 転機
組織というものの腐りやすさは身にしみて理解出来ている。
人は高潔ではいられない。
数が集まれば集まるほど、地位が高くなれば高くなるほど、人も組織も腐っていく。
それが、世界の常識。
ゼノリカは、その常識に、奇跡ではなく、人力で刃向っている。
一人一人が、高潔であろうとしている、その気概の結晶。
あくまでもUV1の話を聞く限りにおける推測である。
しかし、UV1は、神を盲信している狂信者じゃない。
しっかりとした『我』を有している生粋のリアリスト。
そんな彼女が、自分の目で見て、自分の意思で従うと決めたルール。
それがゼノリカという組織の意思。
(守りたいと息巻いているだけじゃダメだ。ちゃんと守らなければいけない……この力は、そのためのもの……)
理解に届く。
自分に、これほどの資質が与えられたのは、フッキ・ゴーレムのような化け物に対抗するためなのではないか、と。
世界を壊せるような化け物どもに対抗するために、ゼノリカという理想の組織を守るために自分は存在しているのではないかと。
理解に至って、だから、決意する。
アレの相手になるのはこの世で自分だけ。
膨れ上がる責任感。
責任感は、人を強くもするが、弱くもするもので、
(重たいな……俺に背負い切れるのか……)
盛り上がった感情は、ずっと続くわけではない。
人間の心はいつだって、あっちへいったりこっちへいったりとフラフラしているもの。
心の熱が少し落ちついて、冷静になると、また恐怖心が上回って、
(意気込んではみたものの……この重さに、俺は耐えきれるのか? 本当に、守れるか? 勝てるか……本当に……俺なんかに……)
不安が膨らんでいく。
決意はいつだって、簡単に揺らぐ。
『~~しよう』は『~~だから』で簡単に揺らぐ。
ゴートは間違いなくヒーローになれる資質を持っているが、
今のところは、しょせん、最初の一歩を踏み出しただけの、実経験がまるで足りていない異世界ビギナーでしかない、
当たり前のように、不可能の証明――逃げ出す理由に手をつける。
簡単に言えば、『自分の弱さ』を思い出す。
ゴートには、一度、世界を守ろうとして、失敗した経験がある。
(……あんな化け物に、俺なんかが勝てるのか……蝉原にすら勝てなかった俺ごときが……)
――と、その時、
『ゴート様なら出来ます』
「おわっ」
急に頭の中で響いた声に驚いて、ゴートはビクっと体を震わせた。
その様子を見ていたUV1が、
「は? なに?」
「あ、いえ、なんでもないです、すいません」
UV1に謝っている途中、
『急に話しかけて申し訳ありません』
先ほどの声が、また声をかけてきた。
ゴートは動揺しているものの、しかし、心をおさえつけて、
口は開かず、脳内で返事をする(UV1に、『誰かが話しかけてきました』と相談すべきが一瞬だけ悩んだが、『誰が何の目的で』が分かってから報告するのでも遅くないと判断し、まずは対話を試みたのだ)。
『通信魔法だな……だれだ? どこから話しかけている?』
『そこではない場所、遠い所から話しかけています』
『素直に答えてもらえて嬉しい限りだが、そんなんじゃあ、なんの説明になってねぇ。ていうか、まずは自己紹介だろ。人間関係の基本だぜ。……とりあえず、あんたの名前とか、俺に話しかけてきた目的とか、具体的にあんたが何者なのか、そういう諸々ぜんぶ、教えてもらおうか。すべてはそこからだ。その手順を省くなら、俺は、躊躇なく心を閉ざして、あんたとの通信を切断する方法だけを探す』
『私はソルと申します。あなた様との対話を試みた目的はこれからお話させていただきます。……ただ、申し訳ありませんが、私が具体的に何者なのか、それに関して詳しくは御答できません。本当にもうしわけありません』
組織というものの腐りやすさは身にしみて理解出来ている。
人は高潔ではいられない。
数が集まれば集まるほど、地位が高くなれば高くなるほど、人も組織も腐っていく。
それが、世界の常識。
ゼノリカは、その常識に、奇跡ではなく、人力で刃向っている。
一人一人が、高潔であろうとしている、その気概の結晶。
あくまでもUV1の話を聞く限りにおける推測である。
しかし、UV1は、神を盲信している狂信者じゃない。
しっかりとした『我』を有している生粋のリアリスト。
そんな彼女が、自分の目で見て、自分の意思で従うと決めたルール。
それがゼノリカという組織の意思。
(守りたいと息巻いているだけじゃダメだ。ちゃんと守らなければいけない……この力は、そのためのもの……)
理解に届く。
自分に、これほどの資質が与えられたのは、フッキ・ゴーレムのような化け物に対抗するためなのではないか、と。
世界を壊せるような化け物どもに対抗するために、ゼノリカという理想の組織を守るために自分は存在しているのではないかと。
理解に至って、だから、決意する。
アレの相手になるのはこの世で自分だけ。
膨れ上がる責任感。
責任感は、人を強くもするが、弱くもするもので、
(重たいな……俺に背負い切れるのか……)
盛り上がった感情は、ずっと続くわけではない。
人間の心はいつだって、あっちへいったりこっちへいったりとフラフラしているもの。
心の熱が少し落ちついて、冷静になると、また恐怖心が上回って、
(意気込んではみたものの……この重さに、俺は耐えきれるのか? 本当に、守れるか? 勝てるか……本当に……俺なんかに……)
不安が膨らんでいく。
決意はいつだって、簡単に揺らぐ。
『~~しよう』は『~~だから』で簡単に揺らぐ。
ゴートは間違いなくヒーローになれる資質を持っているが、
今のところは、しょせん、最初の一歩を踏み出しただけの、実経験がまるで足りていない異世界ビギナーでしかない、
当たり前のように、不可能の証明――逃げ出す理由に手をつける。
簡単に言えば、『自分の弱さ』を思い出す。
ゴートには、一度、世界を守ろうとして、失敗した経験がある。
(……あんな化け物に、俺なんかが勝てるのか……蝉原にすら勝てなかった俺ごときが……)
――と、その時、
『ゴート様なら出来ます』
「おわっ」
急に頭の中で響いた声に驚いて、ゴートはビクっと体を震わせた。
その様子を見ていたUV1が、
「は? なに?」
「あ、いえ、なんでもないです、すいません」
UV1に謝っている途中、
『急に話しかけて申し訳ありません』
先ほどの声が、また声をかけてきた。
ゴートは動揺しているものの、しかし、心をおさえつけて、
口は開かず、脳内で返事をする(UV1に、『誰かが話しかけてきました』と相談すべきが一瞬だけ悩んだが、『誰が何の目的で』が分かってから報告するのでも遅くないと判断し、まずは対話を試みたのだ)。
『通信魔法だな……だれだ? どこから話しかけている?』
『そこではない場所、遠い所から話しかけています』
『素直に答えてもらえて嬉しい限りだが、そんなんじゃあ、なんの説明になってねぇ。ていうか、まずは自己紹介だろ。人間関係の基本だぜ。……とりあえず、あんたの名前とか、俺に話しかけてきた目的とか、具体的にあんたが何者なのか、そういう諸々ぜんぶ、教えてもらおうか。すべてはそこからだ。その手順を省くなら、俺は、躊躇なく心を閉ざして、あんたとの通信を切断する方法だけを探す』
『私はソルと申します。あなた様との対話を試みた目的はこれからお話させていただきます。……ただ、申し訳ありませんが、私が具体的に何者なのか、それに関して詳しくは御答できません。本当にもうしわけありません』
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