『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……
61話 本当の同盟
61話
「どこかで……『貴様に負けるのは仕方がない』などと、クソみたいな事を考えている自分がいる……それが何よりも憎い……貴様が、ただのメスブタならば……無邪気に、呑気に、ただ全力で、殺す方法だけを考えていられた……だが、貴様は……強い……本気で闘ったから分かる……貴様は美しい……貴様の方が、ふさわしいのではないかと、そんな事を思わせるほどの確かな輝きで満ちている……」
本気の本音だと理解できた。
シューリの脳に、また電気が走った。
この女は、実直だ。
ワルく言えば愚直。
本物のおバカさん。
『友になろう』と言ってきた時も、まあ、本当に、ヘッタクソだった。
腹芸が不得意という不器用さ。
それだって、完全に欠点だし、
実際、ついさっきまでは、
『無能が……』
と、アダムの不器用さに腹立たしさすら覚えていたが、
視点を変えてみれば、
(かわいい……)
やはり、そんな事を思ってしまう。
アバタ、エクボ。
もう完全に、
シューリは、アダムに堕ちていた。
『それが狙いだった』ならば、見事な手腕だと尊敬するレベル。
だが、これは違う。
ただの素。
アダムという女の人間性(人間じゃないが)。
そこに、シューリは堕ちた。
全てが完璧という訳じゃない。
ただ、欠点すらも愛おしく感じ始めてきた。
だから、結果として、限りなく完璧に近づいた。
すべては、それだけの話。
ゆえに、シューリは、
「アーちゃん」
問いかける。
聞きたい。
必要はないが、
確認だけしておきたいというワガママな欲求。
「お兄のこと……ぃや」
そこで、シューリは、ゴホンとセキを一つはさんで、
「センの事……好きでちゅか?」
「当たり前の事を聞くな。主上様に惚れない女などいないだろう」
「オイちゃんは別に、センの事、好きじゃないでちゅよ」
「ウソをつくな」
「ホントでちゅよ」
「アホか。ホレている男の話をする時以外で、女がそんな顔をすることはない」
そんな、アダムの言葉を受けて、
シューリは、ニタニタ顔ではない、満面の、ニコっとした笑顔を浮かべて、
「ははは……まあ、そうでちゅよね」
シレっと、そう言った。
常識。
共通認識。
共属意識
溢れてくる共同体感情。
観念と観念が結合していくのが分かった。
本当は、最初から、コミュニティだった。
だからこそ反発する部分もあったけれど、
実はアソシエーションになりえた関係性。
――シューリは、目を閉じて、
「んんっ」
と、何かを飲み込んでから、
「アーちゃん」
パっと目を開き、アダムの目を見て、
「オイちゃんと……本当に同盟を結びまちぇんか?」
「……バカが。もうこっちは本音をさらけ出したんだ。いまさら、探り合いを続ける気はない。私と貴様は――」
「この期におよんで、探り合いするほど、オイちゃんだってバカじゃないでちゅよ」
ニタニタ顔はやめられない。
だが、少しだけ真摯な声音にはできた。
進歩というよりは配慮。
だが、そんな違いなど、理解しろという方が難しく、
だから、アダムは、相変わらず怪訝な顔で、シューリを睨んでいる。
人間関係(どっちも人間じゃないけどね)の難易度を理解する。
探り合いは終わっていない。
けれど、これは、反発によるものではない。
歩み寄り方の探り合い。
アダムはまだ知らない。
シューリが『折れてくれた』という事に、まだ気付けていない。
「しょうがないでちゅねぇ。オイちゃんと同盟を組むメリットを提示しまちゅ」
そこで、シューリは、はぁあっと溜息をついて、
「まず、本気でケイコをつけてあげまちゅ。そうすれば、オイちゃんにグっと近づけまちゅよ」
「自分を殺せる存在をわざわざ自分で生み出そうというのか? はっ、前提からして、ありえないな。そして、仮にその申し出が事実だったとしても、わざわざ貴様の手を借りずとも、私には、主上様という、極致理想の道標が――」
「センは、あれで意外と感覚派でちゅから、人に教えるのはヘタでちゅよ」
センの教え方は、かなり極端にいうと、
――敵がこう、こっちにダーっとくるだろ?
そこを、右か左で、こう、ガーっといくんだよ。
そしたらバチコーンと、なんだかんだで、王手飛車どりってな具合なワケよ。
オーライ?
――みたいな感じ。
もちろん、本当のところは、そこまでミスターな感じではない。
単純な『現闘の指導』ならば、そこそこ普通にもできる。
だが、神闘の指導となると、複雑になりすぎて、センのスペックでは処理できなくなる。
自分が理解するので精いっぱいで、それを、他人に教える事はできなくなる。
「あれに教わっているようでは、いつまでたってもオイちゃんには追いつけまちぇん」
続けて、シューリは、
「メリット2、アーちゃんが知らないセンの事を教えてあげまちゅ。なんだかんだ、センと一番近い関係にあったのはオイちゃんでちゅから、他の連中よりも昔のセンについて色々詳しいでちゅよ。あと、オイちゃんは、センの事が……まあ、アレだったわけでちゅから、色々と記録も残していまちゅ。写真とか音声とか、色々……それを、アーちゃんとの共有財産にしてもいいでちゅよ」
さらに、シューリは、
「で、これが一番のメリットなんでちゅけど……」
シューリは、さらに、すぅう、はぁあっと深呼吸をして、
「この世で誰も見た事がない、オイちゃんの本音が見られまちゅ」
「どこかで……『貴様に負けるのは仕方がない』などと、クソみたいな事を考えている自分がいる……それが何よりも憎い……貴様が、ただのメスブタならば……無邪気に、呑気に、ただ全力で、殺す方法だけを考えていられた……だが、貴様は……強い……本気で闘ったから分かる……貴様は美しい……貴様の方が、ふさわしいのではないかと、そんな事を思わせるほどの確かな輝きで満ちている……」
本気の本音だと理解できた。
シューリの脳に、また電気が走った。
この女は、実直だ。
ワルく言えば愚直。
本物のおバカさん。
『友になろう』と言ってきた時も、まあ、本当に、ヘッタクソだった。
腹芸が不得意という不器用さ。
それだって、完全に欠点だし、
実際、ついさっきまでは、
『無能が……』
と、アダムの不器用さに腹立たしさすら覚えていたが、
視点を変えてみれば、
(かわいい……)
やはり、そんな事を思ってしまう。
アバタ、エクボ。
もう完全に、
シューリは、アダムに堕ちていた。
『それが狙いだった』ならば、見事な手腕だと尊敬するレベル。
だが、これは違う。
ただの素。
アダムという女の人間性(人間じゃないが)。
そこに、シューリは堕ちた。
全てが完璧という訳じゃない。
ただ、欠点すらも愛おしく感じ始めてきた。
だから、結果として、限りなく完璧に近づいた。
すべては、それだけの話。
ゆえに、シューリは、
「アーちゃん」
問いかける。
聞きたい。
必要はないが、
確認だけしておきたいというワガママな欲求。
「お兄のこと……ぃや」
そこで、シューリは、ゴホンとセキを一つはさんで、
「センの事……好きでちゅか?」
「当たり前の事を聞くな。主上様に惚れない女などいないだろう」
「オイちゃんは別に、センの事、好きじゃないでちゅよ」
「ウソをつくな」
「ホントでちゅよ」
「アホか。ホレている男の話をする時以外で、女がそんな顔をすることはない」
そんな、アダムの言葉を受けて、
シューリは、ニタニタ顔ではない、満面の、ニコっとした笑顔を浮かべて、
「ははは……まあ、そうでちゅよね」
シレっと、そう言った。
常識。
共通認識。
共属意識
溢れてくる共同体感情。
観念と観念が結合していくのが分かった。
本当は、最初から、コミュニティだった。
だからこそ反発する部分もあったけれど、
実はアソシエーションになりえた関係性。
――シューリは、目を閉じて、
「んんっ」
と、何かを飲み込んでから、
「アーちゃん」
パっと目を開き、アダムの目を見て、
「オイちゃんと……本当に同盟を結びまちぇんか?」
「……バカが。もうこっちは本音をさらけ出したんだ。いまさら、探り合いを続ける気はない。私と貴様は――」
「この期におよんで、探り合いするほど、オイちゃんだってバカじゃないでちゅよ」
ニタニタ顔はやめられない。
だが、少しだけ真摯な声音にはできた。
進歩というよりは配慮。
だが、そんな違いなど、理解しろという方が難しく、
だから、アダムは、相変わらず怪訝な顔で、シューリを睨んでいる。
人間関係(どっちも人間じゃないけどね)の難易度を理解する。
探り合いは終わっていない。
けれど、これは、反発によるものではない。
歩み寄り方の探り合い。
アダムはまだ知らない。
シューリが『折れてくれた』という事に、まだ気付けていない。
「しょうがないでちゅねぇ。オイちゃんと同盟を組むメリットを提示しまちゅ」
そこで、シューリは、はぁあっと溜息をついて、
「まず、本気でケイコをつけてあげまちゅ。そうすれば、オイちゃんにグっと近づけまちゅよ」
「自分を殺せる存在をわざわざ自分で生み出そうというのか? はっ、前提からして、ありえないな。そして、仮にその申し出が事実だったとしても、わざわざ貴様の手を借りずとも、私には、主上様という、極致理想の道標が――」
「センは、あれで意外と感覚派でちゅから、人に教えるのはヘタでちゅよ」
センの教え方は、かなり極端にいうと、
――敵がこう、こっちにダーっとくるだろ?
そこを、右か左で、こう、ガーっといくんだよ。
そしたらバチコーンと、なんだかんだで、王手飛車どりってな具合なワケよ。
オーライ?
――みたいな感じ。
もちろん、本当のところは、そこまでミスターな感じではない。
単純な『現闘の指導』ならば、そこそこ普通にもできる。
だが、神闘の指導となると、複雑になりすぎて、センのスペックでは処理できなくなる。
自分が理解するので精いっぱいで、それを、他人に教える事はできなくなる。
「あれに教わっているようでは、いつまでたってもオイちゃんには追いつけまちぇん」
続けて、シューリは、
「メリット2、アーちゃんが知らないセンの事を教えてあげまちゅ。なんだかんだ、センと一番近い関係にあったのはオイちゃんでちゅから、他の連中よりも昔のセンについて色々詳しいでちゅよ。あと、オイちゃんは、センの事が……まあ、アレだったわけでちゅから、色々と記録も残していまちゅ。写真とか音声とか、色々……それを、アーちゃんとの共有財産にしてもいいでちゅよ」
さらに、シューリは、
「で、これが一番のメリットなんでちゅけど……」
シューリは、さらに、すぅう、はぁあっと深呼吸をして、
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