センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

2話 200億年(笑)

 2話




 うんうん、
 はいはい。
 わかる、わかる。
 言いたい事はよくわかるよ。
 みなまで言うな。
 分かっているから。
 うん、頭おかしいよ。
 知っているよ。
 イっちゃっているよ。
 だから、知っているって。


 自分でもちゃんと、ラリってると思っていますからぁ!
 分かっていますからぁ!


 俺だって、平常時の、正気状態だったら、
 そんなバカな数字は選択しなかったんだよぉおお!
 やりたくて200億年にしたわけじゃないのぉおお!


 あの時は、まったく正気じゃなかったんだってぇ!
 ほんと、もう、しゃーなかったんだよ!
 簡単に言うとね、
 邪神との闘いの途中で出現しやがったんだよ。
 もー、とにかく、邪神が強くて、強くて……
 で、
 このままじゃヤバい!
 って時に出現しやがったもんだから、
 こっちも、もう、歯止めがきかなくなっちゃって……


 ほんと、もう、めっちゃピンチだったっていうか、
 『あ、勝てない、どうしよう』と悟って、
 かつ、ボコボコにされていたタイミングだったから、
 無茶をせざるをえなかったんだよねぇー










 ・俺の目の前にソウルゲートが出現するまでの簡単な流れ。


 『邪神を殺さないとシューリが死ぬ?』
 『そんな、わけのわからん不条理はゆるさねぇ』
 『シューリ、俺がお前を守ってやる』
 『無理? そんなもん、誰が決めた?』
 『邪神には誰にも勝てない?』
 『それが、コスモゾーンの法則?』
 『はっ』
 『わらわせんじゃねぇ』
 『いいか、コスモゾーンなんざ、親戚のオッサンと変わらねぇんだよ』
 『常時ヘビレケみたいなもんで、ぶっちゃけ、ちょっと何言っているかわからねぇ』
 『そんなヤツの言う事なんざ聞かなくていいんだよ』
 『そもそもの話、俺を誰だと思ってやがる』
 『あー、あー、あー、あー、あー』
 『もういい、もういい、ごちゃごちゃわめくな!』
 『大船にのった気で、ドンと任せろぉ!』
 『俺がなんとかしてやる!』
 『心配すんな、俺に勝てない悪は、あんまりない!』


 ――究極超邪神登場――


 『はははははっ、思ったとおり、大した敵じゃねぇ』
 『どうやら、俺は強くなり過ぎたらしい』
 『シューリ、ソンキー、てめぇらは家でミルクでも飲んでやがれ!』
 『あの程度のザコは、この俺様が一撃で片付けてやる!』
 『俺様は、スーパーセンエースだ!』
 『死ねぇ、ダイナマイトキック!』


 ――やべぇ、強ぇ!


 『おぃいい、あいつ、どんだけ殴っても、ビクともせんぞぉ!』
 『どうなってやがる!』
 『なに、わろてんねん!』
 『無理無理無理、勝てん勝てん!』
 『ちょっ、まっ……痛い、痛い、痛いっ! 勘弁――すいまっ、ほんと、ちょっと』
 『ソンキー、シューリ、助けてぇええ!!』
   ↑
 だいたい、このへんで、ソウルゲート出現。






 流石に、現場は、そこまでコミカルではなかったが、
 もうちょっと絶望感と悲壮感で溢れていたが、
 『流れ』だけなら、だいたいそんな感じだった。




 ソウルゲートが生涯で一度しか使えないってのは知っていたから、
 『このまま何もできずに殺されるくらいなら』
 とか
 『ハンパな修行じゃどうにもならない』
 とか、
 『流石に、あれだけ大見得きった手前、負けるわけにはいかねぇ』
 とか、
 『どうせなら、とことんまで行ってやらぁ、ナメんなよ』
 なんて思ってしまったんだよねぇ。






 で、勢いあまって『200億年』って設定しちゃった。
 うん、バカだね。
 ただのアホだ。
 どうしようもない考えなし。
 完全にトチ狂っている。


 もちろん、後で、幾度となく後悔したよ。


 何回、自分を呪い殺したくなったか。
 逆に、おかげで正気を保っていられたほど、自分に対してムカついたからね。




 てか、マジで、ほんと、よく灰にならなかったなって思う。




 ……正直、間の百数十億年くらい、記憶がないんだよね。
 あの間、気が狂っていたような気がするんだけど……
 まあ、灰になっていないから、狂ってはいなかったんだろう。
 よう分からん。










 なにはともかく――うん、実際、地獄だった。


 異世界大戦とか、バグとかバーチャとか、
 その辺の、ハンパじゃなかった苦悩すら霞む――そういうレベルの地獄だった。


 量も質も異常な地獄だったんだ。


 『無慈悲なほど静かで、とことんまでゆっくりとした、膨大な時間』というのが、あんなに恐ろしいとは思わなかった。
 もちろん、俺だって、想像力が欠落している訳じゃないから、膨大な時間に対する漠然とした恐怖は、幼稚園児の頃からあったわけだけれど、『想像する』のと『体感する』のとではやっぱり違うよね。
 あれほどとは思っていなかったって話。


 想像できる領域じゃなかった。
 200億年、マジでハンパなかった……








 ――ちなみに、ソウルゲートの中では存在値は上がらない。
 経験値どころか、GPすら稼げない。


 出来るのは、戦闘力をあげる事だけ。


 戦闘力は数値では表せられないから、自分が、その時点で、実際どのくらい強くなっているか、デジタルには分からない。
 仮に、一日がんばって、『戦闘力100000』が『戦闘力100001』になったとしても、感覚でそんなもん分かるわけがない。
 ぶっちゃけ、それが一番しんどかった。


 ――俺は、強くなっているのだろうか。
 ――今、やっている事は無駄なんじゃないだろうか。


 そんな疑問との闘い。
 それが一日二日とかじゃない。
 ずっと、延々。
 十日、百日、千日、一万日……




 ――ただ、
 繰り返しているうちに、積み重ねるうちに、
 『それなりのまとまった時間』をパッケージで捉えられるようになると、
 だんだん、己の戦闘力の上昇値が『理解』できるようになっていった。
 努力は裏切らないとか、そんな話じゃない。
 やった事は、積み重なっていく。
 当たり前の話。
 精神論でも哲学でもない。
 たんなる、1たす1。
 俺は、確実に強くなっていた。




 なんとか序盤(といっても2000年はかかったが)で、『あの感覚』に至る事が出来たから、灰にならずにすんだともいえる。






 まあ、ともかく、そんな感じで、俺は、
 無限とも思える、ゆっくりとした時間の中で、
 ひたすらに戦闘力を磨き続けた。











「センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く