センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

異世界大戦編 中編

 中編






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『……もう……どうしたらいいか、分からないのです。この、クソ以下の地獄でしかない戦争を終わらせたい! しかし、ボクの力ではどうする事もできないのです! 戦火は広がり続ける! バカは裏切りを! クズは死を撒き散らす! 終わらない、終わらない、終わらない! ボクは! いったい、なんのために!』


『前を向け、平』


『師よ! ボクは! 自分の無力さが憎い! ボクは――』


『命令だ。前を向け』


『……』


『答えろ。お前の目の前には、誰がいる?』


『……師が』


『そうだ。ここには俺がいる』


 センは、ニっと太陽を巻きこむように笑って、


『見せてやるよ、希望。殺してやるよ、全部。豊かさを履き違えて幻想の既得権にとり憑かれたゴキブリどもを、神を理由にして自分の弱さから逃げるバカどもを、戦争を終わらせまいとする悪意そのものを、不条理を、不合理を、……グッチャグッチャになった、疑心暗鬼という世界のコード、その混沌を、……全部、まるごと、たたっ切って、前よりも綺麗に結び直してやるよ。根こそぎ、終わらせてやる。すべての絶望を殺してやる。世界を救ってやる』


『師よ……しかし……』


『黙って聞いてろ。今、世界に響かせる。俺の想い……俺の全部……』


 センは、肺が爆発するほど息を吸って、














『ヒーロー見参!!!』














 『虚像の光』を叫び、センは戦火に身を投じた。
 当時のセンは、すでに、『英雄なんて偶像』を信じられるほど幼くはなかった。
 けれど、センは、血に濡れて、ボロ雑巾になりながら、
 それでも、ヒーローを『騙り』ながら、命を燃やして、闘い続けた。


 その背中に、多くの者がついてきた。
 ハッキリ言おう。
 騙したんだ。
 『俺は英雄だ』と、
 『だから大丈夫だ』と、
 真っ赤な大嘘をついて、
 盛大に世の中を騙して、
 『地道』に、勢力を拡大させていった。






 叫べば終わる戦争などない。
 尺の決まった特撮じゃないんだ。
 地獄は決めゼリフ一つじゃ終わらない。




 戦争は長く続いた。
 多くの血が流れた。
 戦火が広がりすぎた。
 それぞれの世界が有する戦力が強大すぎた。


 世界一つという戦力と資源。
 それが全部で8つ。
 世界の数が絶妙だったというのも、あそこまでこじれた理由の一つ。
 社会学的、統計学的、人間学的、
 後のこじつけとも言えたが、そうでもないとも言えた。
 数秘術的に強いパワーを持つとか、
 達成と利益を追求する数字だとか、
 横に傾けたら無限になるとか、
 そういうギャグではなく……




 8というカルマ。
 因果という自己矛盾。
 そんなくだらない事は、おいておいて……










 ~~の条約が結ばれれば、どうにか終わる。
 そう思った矢先、破壊工作でおじゃん。
 ~~かけはしとなろうとした世界があった。
 その世界は、
 『まだ、この戦争を終わらせてもらっては困るのですよ』
 クズ共の手によって、『消滅』した。
 平和を愛した世界が消滅したことで、戦争は加速した。
 8が7になっても、ラッキーには移行しなかった。
 だから、そんなギャグじゃねぇんだよ。


 戦争は次のステージに至った。
 世界の消滅をきっかけに、平和を愛している者まで、武器をとったからだ。
 脆い正義は、より憤怒を燃え上がらせる。
 正義感は、何をしても許されるという大義名分、心の免罪符になった。


 多くが、正義を叫んで目の前の命を壊す。
 武の才能のある者は、子供でも容赦なく投入して、
 押し切ろうとして、耐えられ、被害だけが増えて――


 なんども、なんども、
 なんども、なんども、


 そんな事ばかりを繰り返して――


 どうにか整ってきた『平和』を叫ぶ勢力と、
 もろい弱さと身勝手に駆られた対抗勢力と、
 どちらにも属さないコウモリの第三勢力と、
 どこにでもいる不気味なダークホースとが、


 くりかえす。
 終わりなく。


 『地味』な地獄が、延々と続く。
 70年。
 泥沼になった地獄が、さらに地獄を呼ぶ。




 悪意と憎悪は、収まりかけた火種を胞子のように撒き散らす。


 『統制されていない生命』という『業』。
 むき出しの『魔』が、鬼や龍を超えた悪そのものとなり、世界を覆い尽くす。
 このまま世界は、ゆるやかに死んでいく。
 誰もがそう思った。
 センを信じた者たちも、
 最後には、みんな諦めた。


 ――むりだ。
     これは終わらない――










 ……それでも、センは、闘い続けた。


 全世界の誰よりも、その身に傷を刻みながら、
 どんな地獄を前にしても、


 それでも!!










 ――皆が望むヒーローを演じ続けた――





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