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61話 ホルスド・ガオン

 61話






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 『ホルスド・ガオン』
 『セラク・r・レヴィガシー』


 《レベル》    【127】


 [HP]     【19989/26987】
 [MP]     【6200/8933】


 「攻撃力」    【283】
 「魔法攻撃力」  【179】
 「防御力」    【352】
 「魔法防御力」  【236】
 「敏捷性」    【88】
 「耐性値」    【509】




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(な、なんじゃ、あいつ……む、ムチャクチャじゃねぇか……)


 ステータスを見通した瞬間、ゼンは、あんぐりと口を開いた。
 顔が青ざめる。
 一瞬、心臓が凍りついたかと思った。


 顔面を一気に埋め尽くす大量の冷や汗。


(むり、むり、むり、むり……さっさと逃げねぇと、ヤバい。あいつには、何したって勝てない!)


 ステータスの次元が違いすぎる。
 見通せないが、おそらく、凄まじい魔法とかも使えるだろう。


 あいつを相手にした場合、何をしたところで、確定で鼻歌まじりに瞬殺されるだろう。


(俺の、バグったような『生命力バリアの数字』ですら負けている――負けてるどころか、ダブルスコアじゃねぇか……尋常じゃねぇっ!)


 ゼンは、全力で、逃走ルートを頭の中に描く。


(見つかったらアウトだ……あのホルスドってやつは、どうやら、神様の敵対者……超魔王軍とは違うらしいが……くっ……頭の中を探っても、あいつに関しては、イマイチ、よくわからねぇな。どういう関係だ?!)


 『頭の中』には、やつに関するデータはほとんどなかった。


 魔法に関する情報と同じレベルかそれ以下。


 『天国』とか、『禁裏様』とか、『ナルキナジード』とか、なんのこっちゃさっぱり分からない『単語だけ』の『データとも呼べない見出しだけの二次情報』が、断片的に羅列されているだけ。


(こんな、出来の悪い教科書の目次みたいな情報は、情報とは言わねぇ。……くそ……いろいろと、不便すぎるぞ、神様!)


 もらった情報は、どれもハンパというか、不完全というか、大事なところが抜けていた。




 まるで、『誰かの手』が加わっているかのように――




(大いなる主がどうたら言っていたが、あのホルスドってやつの親玉も神ってことか? で、その神と、ウチの神様は、なんかちょっとモメてる的な? 試練だの何だの言っているは、どういう意味だ? ウチの神様より上位の神様が、ウチの神様を試している? それを嫌って、ウチの神様は逃げているってこと? っていう訳でもない?)


 どうにか、拾えた情報をかき集めて、『証』を立てようとするが、


(よくわかんねぇ……必要な情報が、あまりにも足りねぇ……)


 歯噛みするゼン。
 仕方なく思考を切り変える。


(とりあえず、『釣るために眷属をエサにする』って発想が出てくる段階で、間違っても、良好な仲ではねぇ……これ以上は、もう、わかんねぇ。というわけで、この場は、とにかく逃げる。無事に逃げられたら、その時にまた考える)


 ゼンは、『ここから確実に逃げるための情報だけ』を、必死になってかき集めていく。


(シグレの頭に乗っている、あのスライム……優秀だって情報だけは頭の中にあったが……いやぁ、マジで凶悪に有能。ザーノが屁みたいに思える強さ。強さってか、硬さ。それに加えて、魔法もそこそこ使えて、この世界についての情報も持っているんだっけ? あいつ、欲しいわぁ。使い方さえ間違わなければ、最高のオプションたりうる。……ただ、やっぱり、火力が低すぎるからなぁ……逆立ちしたって、ホルスドには勝てないだろう……)


 ニーのステータスは、それなりの魔法も使える超防御力特化。
 いわゆる、DQメタル系のビルド。
 仮に勇者を相手にしても、『勝てはしないが、しばらくは闘える』という、『盾』として考えれば、とんでもないスペック。


 けれど、そんなニーだが、どうあがいてもホルスドには勝てない。
 自慢の防御力も、ホルスドが相手だと、無敵ではない。
 簡単には壊されないだろうが、永遠に耐えられるほどの硬さではない。
 ホルスドは強すぎる。


(地獄みたいな状況だぜ……なんで、こんな、旅だったばかりの、超序盤で、あんなんと遭遇するかね……ピカ○ュウもらった直後の3歩目のくさむらでミュ○ツーに飛び出てこられても、二秒で目の前がまっくらになって終わりだろうが)


 ゼンは、溜息を噛み殺しながら、心の中で、不平不満をぶつまける。





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