センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
50話 初めてのレベルアップ、はじめての魔法。そして、
『数真』の項目にある『レベルを上げる』をタップしたゼン。
すると、
『経験値をいくつ使いますか?』
【0】
そこそこゲーム慣れしているゼンは、困惑することなく、そのメッセージを受け入れた。
そして、ゼンは、とりあえず、1と打ち込んで決定ボタンをタップする。
すると、
『おめでとうございます。レベルが3にあがりました。【雷術、ランク1】の魔法を覚えました』
そのメッセージが表示された瞬間、ゼンは、全身に力がみなぎってくるのを感じた。
体が軽くなり、視界がクリアになる。
「へぇ……」
感嘆の声をもらしながら、ゼンは、全身をチェックする。
「なんか、強くなったって分かるな……」
体の軽さに、つい、顔がほころぶ。
「それに、魔法も使えるようになったのか……魔法、はは……ついに俺も魔法を覚えちゃったよ……いいね、いいね、いいねぇ。これこれ、こういうのがしたかったんだ」
満面の笑みで、そうつぶやきながら、ステータス画面を確認してみると、
000000000000000000000000000000000000000
《レベル》 【3】
《GODレベル》 【279】
[生命力バリア] 【6789/6789】
[MP] 【1956/1956】
[スタミナ] 【15/35】
「攻撃力」 【3】
「魔法攻撃力」 【3】
「防御力」 【5】
「魔法防御力」 【2】
「敏捷性」 【2】
「耐性値」 【3】
「バリア再生力」 【2(+2000)】
「魔力回復力」 【3(+2000)】
「スタミナ回復速度」 【3】
「反応速度」 【2】
「隠しパラメータ合計値」【189】
「獲得経験値」 【2】
「ネクストEXP」 【1】
111111111111111111111111111111111111111
「そ……そんなに上がっていないな……けど、強くなったって、しっかりと実感できている……不思議なもんだ」
そこで、ゼンはピョンピョンと飛び跳ねてみた。
(前よりも『倍』くらいジャンプできるようになったとか『そういう訳じゃない』けど、あきらかに体が軽くなっている。けど、筋肉は重くなった……へんな感じだ)
腹の底に力を入れると、身体の輪郭が明確にイメージできた気がした。
『産まれた時からつけていた重り』をわずかだが外せた――みたいな、妙な気分。
なぜか分からないけれど確信できる、ほんの少しだけ『自由』に近づけた感覚。
(握力、完全にあがっているな……)
グーパーグーパーしてみると、力の入り方が違った。
(これなら、きっと、こんぼうで殴った時のダメージとかも、かなり違っているはず……ためしてみたいな……)
体がウズっとした。
(また、ゴブリンが出てきてくれるとありがたいんだけど……)
先ほどと全く同じタイプのヤツが相手なら、もはや、負ける事はありえない。
(こうなったら、いっそ、ウジャウジャと出てきてほしいところなんだけど……)
しかし、残念ながら、その気配はない。
(水場的なアレを探すついでに、ゴブリンも探してみるか。ウルフ的なのや、スライム的なのも、いるなら闘ってみたいんだが……おっと、その前に魔法の確認をしておくか)
そこで、ゼンは、
(うまれてはじめての魔法……ふふっ、ワクワクするねぇ)
ドキドキしながら、掌を上に向けて、
「雷術、ランク1」
詠唱した直後、
パチッっと、掌の上で、
『シャー芯くらいの大きさの水銀みたいなの』がわずかに光って弾けて消えた。
……それでおしまいだった。
「……? な、なんだ、今の……静電気か?」
あまりのショボさに呆然としてしまった。
「ぁ……あんなんで、何をどうしろってんだ」
ゼンは、そのあとも、何度か雷術を試してみたが、
「ダメだ……一瞬だけパチって光って終わりだ……クソの役にもたたねぇ。なにが魔法だ。これだったら、バラエティでよく見る電流ボールペンの方がまだマシな気がする」
そこで、ゼンは、GLに関する情報を思い出す。
「そういえば、魔法もGPで強化できるんだよな……強化すれば、少しはマシになるのかね……試してみたいけど……結局、いまだに、GPの使い方がわからねぇんだよなぁ……」
などと、ぶつぶつ呟いていた、
その時、
――ガツゥゥンッッ!! っと、後頭部に激しい衝撃が走った。
「ぐぁっ! なっ――」
一瞬だけグラっとしたが、おそらく『ある一定』をこえたのだろう。
間違いなく、気絶級のダメージを受けたのに、そこまで痛みは感じなかった。
もちろん、かなり痛かったのだが、『小指をタンスの角にぶつけた』くらいの痛みにおさまって、その痛みも時間とともに、スゥウっと消えていった。
ゼンは、慌てて振りかえると、
「……どたまに、思いっきり入ったってのに、気絶はおろか、なんでよろめきすらしない……どうなってやがる……」
鉄のハンマーを手にもつ、身長170センチを超えている屈強な体格のゴブリンがそこにいた。
肌は緑色で、耳が尖っていて、しっかりとした豚っ鼻。
だが、モンスターという感じはしなかった。
『人間だ』とは思えないが、『それに近い存在である』と頭の奥が認識した。
妙な感覚だったが、ゼンは、これも、素直に受け入れることにした。
――このゴブリン、
間違いなくブサイクだが、知性を感じさせる目をしている。
身にまとっているのは、しっかりとした麻の服に、革の靴。
右手に鉄の籠手をつけて、腰には2本の剣を差している。
ゼンが3秒ほど観察に徹していると、
――そのゴブリンが口を開いた。
「……まったく、今日のおれは、運がいいのか悪いのか……」
そのゴブリン――『亜人(ゴブリンの進化種)』は、
苦虫をかみつぶしたような顔で、
ピリピリとした警戒心を隠さずに、ゼンを睨みつけていた。
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