『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……
35話 止めるなよ? 絶対に止めるなよ?
35話
「……カースソルジャァァ……あの野郎ぉおお……」
うめくように、勇者はそう呟いた。
「やりやがったな、くそったれがぁ……どこまで、俺を怒らせれば……」
「ぁ、あの……」
震えているスラムのガキ。
汚らしいが、妙に整ったツラ。
肩までのプラチナブロンド。
すべてが忌々しい。
「わたし……こわいひとに……追われてて」
「知るか、黙れ、死ね。聖殺、ランク5!」
ほとんど反射的に、範囲を小さく絞った聖光魔法を使おうとしたが、
「っっ……ま、マジで……発動、しねぇ……ウソだろ……」
勇者は、折れるほど、奥歯をかみしめて、
「反転、ランク5! 治癒、ランク3!!」
回復でダメージを負ってしまう魔法をガキにかけ、治癒の魔法で殺そうとした。
抜け道はないかと考えての一手。
だが、
「ぐぬぅ……クゥソぉがぁ……」
勇者は、ワナワナ震えながら、
「考えろ……考えろ……何か、何か、何か……よ、ようするに、俺への悪意さえあればいいんだろ? よし」
そこで、勇者は、ガキを睨みつけ、
「おい、そこの薄汚いガキ、見事なほどのクソっぷりだな。親の顔が見てぇ」
「おとうさんもおかあさんも……殺されちゃって……」
「ちっ……ああ、そう」
そこで、勇者は頭をひねり、
「っ……まあ、だろうな。クソみたいな人間は、当然のように死ぬ。つまり、てめぇの親はクソだったってことだ」
「……そう、かも……わたし……いっぱい、殴られたから……いっぱい、いっぱい、痛かったから……いらない子だって……邪魔だって……うぅ……ふぇ……」
「ぁあ……ウゼェ……この上なくウゼェ……」
相手を怒らせる事にかけては右に出る者はいないと自負していたが、そのプライドが崩れ去りそうだった。
勇者は考える。
どうすれば、このガキの悪意を自分に向けられるか。
「おぃ、ガキ。てめぇの大事にしているものはなんだ?」
「大事なモノ?」
「ああ、そうだ。これだけはなくしたくないってもんだ。教えろ」
「………………ない」
「あん? ないってこたぁねぇだろ。じゃあ、なんで、てめぇは生きてんだ?」
「い、生きなさいって……それでも生きて欲しいって……おねえちゃんに……いわれたから……」
そこで、勇者は、パァンと手を叩いて、
「はい、いただきましたぁ!」
勇者は、ドス黒い笑顔を浮かべ、ガキの顔を覗きこみ、
「俺は、お前の姉を軽蔑するね。心底から汚物だと思う。虫以下のクソカス。そんなクソカスが生きているのは我慢できねぇ。これから、そいつを、殺しにいこうか。ああ、そうしよう。とめんなよ、ガキ。わかったか。とめるなよ? 絶対にとめるなよ? この俺様の一歩を邪魔しようなんて――」
「おねえちゃんも……死んじゃったの……」
「……つ、つかえねぇ……」
「わたしのために……しょうふっていう所で……いっぱい……いっぱい、イヤな目にあったのに……それでも……がんばって……がんばって……なのに……なんで……」
「………………………」
そこで、勇者の表情が死んだ。
スっと、フラットになる。
怒りが死んで、その奥にある『響き』が這いあがってくる。
勇者は、ガキの目をジっと見て、
――真摯に――
「だから、『死ね』っつってんじゃねぇか」
もう、怒らせようとは思っていなかった。
そんな事は忘れていた。
だから、
これは、
ただの、
単純な、
――いつもの、本音。
「……カースソルジャァァ……あの野郎ぉおお……」
うめくように、勇者はそう呟いた。
「やりやがったな、くそったれがぁ……どこまで、俺を怒らせれば……」
「ぁ、あの……」
震えているスラムのガキ。
汚らしいが、妙に整ったツラ。
肩までのプラチナブロンド。
すべてが忌々しい。
「わたし……こわいひとに……追われてて」
「知るか、黙れ、死ね。聖殺、ランク5!」
ほとんど反射的に、範囲を小さく絞った聖光魔法を使おうとしたが、
「っっ……ま、マジで……発動、しねぇ……ウソだろ……」
勇者は、折れるほど、奥歯をかみしめて、
「反転、ランク5! 治癒、ランク3!!」
回復でダメージを負ってしまう魔法をガキにかけ、治癒の魔法で殺そうとした。
抜け道はないかと考えての一手。
だが、
「ぐぬぅ……クゥソぉがぁ……」
勇者は、ワナワナ震えながら、
「考えろ……考えろ……何か、何か、何か……よ、ようするに、俺への悪意さえあればいいんだろ? よし」
そこで、勇者は、ガキを睨みつけ、
「おい、そこの薄汚いガキ、見事なほどのクソっぷりだな。親の顔が見てぇ」
「おとうさんもおかあさんも……殺されちゃって……」
「ちっ……ああ、そう」
そこで、勇者は頭をひねり、
「っ……まあ、だろうな。クソみたいな人間は、当然のように死ぬ。つまり、てめぇの親はクソだったってことだ」
「……そう、かも……わたし……いっぱい、殴られたから……いっぱい、いっぱい、痛かったから……いらない子だって……邪魔だって……うぅ……ふぇ……」
「ぁあ……ウゼェ……この上なくウゼェ……」
相手を怒らせる事にかけては右に出る者はいないと自負していたが、そのプライドが崩れ去りそうだった。
勇者は考える。
どうすれば、このガキの悪意を自分に向けられるか。
「おぃ、ガキ。てめぇの大事にしているものはなんだ?」
「大事なモノ?」
「ああ、そうだ。これだけはなくしたくないってもんだ。教えろ」
「………………ない」
「あん? ないってこたぁねぇだろ。じゃあ、なんで、てめぇは生きてんだ?」
「い、生きなさいって……それでも生きて欲しいって……おねえちゃんに……いわれたから……」
そこで、勇者は、パァンと手を叩いて、
「はい、いただきましたぁ!」
勇者は、ドス黒い笑顔を浮かべ、ガキの顔を覗きこみ、
「俺は、お前の姉を軽蔑するね。心底から汚物だと思う。虫以下のクソカス。そんなクソカスが生きているのは我慢できねぇ。これから、そいつを、殺しにいこうか。ああ、そうしよう。とめんなよ、ガキ。わかったか。とめるなよ? 絶対にとめるなよ? この俺様の一歩を邪魔しようなんて――」
「おねえちゃんも……死んじゃったの……」
「……つ、つかえねぇ……」
「わたしのために……しょうふっていう所で……いっぱい……いっぱい、イヤな目にあったのに……それでも……がんばって……がんばって……なのに……なんで……」
「………………………」
そこで、勇者の表情が死んだ。
スっと、フラットになる。
怒りが死んで、その奥にある『響き』が這いあがってくる。
勇者は、ガキの目をジっと見て、
――真摯に――
「だから、『死ね』っつってんじゃねぇか」
もう、怒らせようとは思っていなかった。
そんな事は忘れていた。
だから、
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ただの、
単純な、
――いつもの、本音。
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