『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……
27話 スリーピース・カースソルジャー
27話
「……は、はは」
勇者は、薄い笑みを浮かべながら、ゆっくりと地に降りてきた。
「勝ったぁ……勝ったぞぉ……」
歓喜に打ち震えている。
初めての経験かもしれない。
持てる全てを駆使して、全力で闘い、巨大な敵に打ち勝つ。
なんという高揚感。
なんという清々しさ。
「俺の勝ちだぁああああ! ふはははははははぁぁ!!」
横たわっているカースソルジャーを見下ろし、指をさして叫ぶ。
口から、おツユを飛ばし、目を剥き出しにして、全身で喜びを表現する。
「ひゃはははははは! ざまぁみやがれ、くそがぁああ! 殺せると思ったか、この俺を! ボケがぁ! ありえねぇんだよぉおおお! ははははははは……はっ……ぁ……」
そこで、勇者は、周囲から注がれている視線に気づいた。
魔王の配下たちは、一様に、全身で、絶望を表現していた。
『ラムドの切り札ならば、あるいは』という期待が潰えて、消沈している。
だが、そんな彼らの心情は無視して、勇者は、自分の失態だけを繕おうと、
「ん、んー……ははっ、ちっとばかし、みっともねぇ姿を見せちまったが、まあ、忘れてくれや」
コホンと息をついて、
「まあ、なんだ、その……感謝するぜ」
勇者はラムドの目をジっとみつめる。
確かな敬意がそこにはあった。
「楽しい時間を貰った。その、せめてもの礼だ。一瞬で消してやるよ。痛みはねぇ」
締めくくるようにそう言って、右手の掌をラムドに向ける勇者。
ラムドは、そんな勇者に言う。
「見事じゃ、勇者よ」
うんうんと首を縦にふりながら、
「実に、素晴らしい」
拍手。
パチパチパチッ
乾いた音が、静まり返った魔王城に響き渡る。
「随分と時間がかかったとはいえ、カースソルジャーを倒すとは、アッパレ!」
「……嬉しいぜ。素直になぁ。強ぇ兵士だった。本当に、凄まじく強い兵士だったよ。剣の腕前は、ちぃとばかしお粗末だったが、ハンパねぇ膂力に、イカれた俊敏性、死を全く恐れない勇敢さ……震えたぜ」
「うむうむ、カースソルジャーは、動きまわってナンボのモンスターじゃから、スピードは他のステータスよりもかなり高い。しかし、そんなカースソルジャーの速度にも、ぬしはついてきておった。本当に素晴らしい」
「……はっ。もういいよ。流石に食傷気味だ。さっさと締めて終わろうぜ。流石に疲れた。帰って寝てぇ。テメェらも、いい加減、終わりてぇだろ。すぐに消してやるさ、灰も残らずな」
「は? 何を言っておる? 休むには、まだはやすぎるじゃろ」
「……ぇ?」
「まだ、何も終わっておらんと言っておる」
「アホか。確かに、相当消耗したが、テメェら全員を消す力くらい残っているっつぅの。俺をナメんじゃねぇぞ」
そこで、勇者は、魔王を睨みつける。
(随分と回復させちまったが……まあ、でも………………ヨユー)
カースソルジャーを削りきるのに、かなりの時間がかかってしまった。
そのため、魔王の傷は、七割ほど回復してしまっている。
けれど、行ける。
この高揚感。
溢れ出るアドレナリン。
指先が少し震えていて、グワっと芯が熱い。
行けるさ。
俺は、まだ行ける。
なんなら、もう一歩、高く――
「疑うなら、全員でかかってきな。見せてやるよ。俺の高みを」
「のう、勇者」
「なんだよ、ラムド」
「わしが、カースソルジャーを召喚した時、なんと言っておったか、覚えておるか?」
「あん? なんだ、急に……召喚の詠唱なんざ、一々覚えて……」
そうでもない。
相当なインパクトだったから。
「いや、待てよ。覚えてっぞ。確か」
記憶に潜る。
言葉がスゥっと脳に浮かんだ。
「確か、なんだっけな……ああ、そうだ。……すりー……」
そこで、ブワァアっと、勇者の額に水滴が浮かぶ。
冷や汗がビッシリと溢れ出る。
(い、い、いや、ありえねぇ……そういう種族名ってだけだ。絶対にそうだ。ありえねぇ。そんな訳ねぇ。絶対に違う! そんなムチャクチャは、あっていいはずがないんだ!)
「1回戦、突破。実にお見事」
とても、とても、いい笑顔で、ラムドは言う。
「では、続けて、2回戦と行こうか」
紫のジオメトリが、怪しく輝き、
そして、
「カースソルジャー2号。さあ、勇者がお待ちだ。お相手をしてさしあげなさい。どうやら、まだまだモノ足りないようだから、1号よりも長く闘ってさしあげろ。いうまでもないが、殺してはいかんぞ。3号にも勇者と遊ばせてやりたいからのう」
元気いっぱいのカースソルジャー2号が、コクっと頷いた。
「……は、はは」
勇者は、薄い笑みを浮かべながら、ゆっくりと地に降りてきた。
「勝ったぁ……勝ったぞぉ……」
歓喜に打ち震えている。
初めての経験かもしれない。
持てる全てを駆使して、全力で闘い、巨大な敵に打ち勝つ。
なんという高揚感。
なんという清々しさ。
「俺の勝ちだぁああああ! ふはははははははぁぁ!!」
横たわっているカースソルジャーを見下ろし、指をさして叫ぶ。
口から、おツユを飛ばし、目を剥き出しにして、全身で喜びを表現する。
「ひゃはははははは! ざまぁみやがれ、くそがぁああ! 殺せると思ったか、この俺を! ボケがぁ! ありえねぇんだよぉおおお! ははははははは……はっ……ぁ……」
そこで、勇者は、周囲から注がれている視線に気づいた。
魔王の配下たちは、一様に、全身で、絶望を表現していた。
『ラムドの切り札ならば、あるいは』という期待が潰えて、消沈している。
だが、そんな彼らの心情は無視して、勇者は、自分の失態だけを繕おうと、
「ん、んー……ははっ、ちっとばかし、みっともねぇ姿を見せちまったが、まあ、忘れてくれや」
コホンと息をついて、
「まあ、なんだ、その……感謝するぜ」
勇者はラムドの目をジっとみつめる。
確かな敬意がそこにはあった。
「楽しい時間を貰った。その、せめてもの礼だ。一瞬で消してやるよ。痛みはねぇ」
締めくくるようにそう言って、右手の掌をラムドに向ける勇者。
ラムドは、そんな勇者に言う。
「見事じゃ、勇者よ」
うんうんと首を縦にふりながら、
「実に、素晴らしい」
拍手。
パチパチパチッ
乾いた音が、静まり返った魔王城に響き渡る。
「随分と時間がかかったとはいえ、カースソルジャーを倒すとは、アッパレ!」
「……嬉しいぜ。素直になぁ。強ぇ兵士だった。本当に、凄まじく強い兵士だったよ。剣の腕前は、ちぃとばかしお粗末だったが、ハンパねぇ膂力に、イカれた俊敏性、死を全く恐れない勇敢さ……震えたぜ」
「うむうむ、カースソルジャーは、動きまわってナンボのモンスターじゃから、スピードは他のステータスよりもかなり高い。しかし、そんなカースソルジャーの速度にも、ぬしはついてきておった。本当に素晴らしい」
「……はっ。もういいよ。流石に食傷気味だ。さっさと締めて終わろうぜ。流石に疲れた。帰って寝てぇ。テメェらも、いい加減、終わりてぇだろ。すぐに消してやるさ、灰も残らずな」
「は? 何を言っておる? 休むには、まだはやすぎるじゃろ」
「……ぇ?」
「まだ、何も終わっておらんと言っておる」
「アホか。確かに、相当消耗したが、テメェら全員を消す力くらい残っているっつぅの。俺をナメんじゃねぇぞ」
そこで、勇者は、魔王を睨みつける。
(随分と回復させちまったが……まあ、でも………………ヨユー)
カースソルジャーを削りきるのに、かなりの時間がかかってしまった。
そのため、魔王の傷は、七割ほど回復してしまっている。
けれど、行ける。
この高揚感。
溢れ出るアドレナリン。
指先が少し震えていて、グワっと芯が熱い。
行けるさ。
俺は、まだ行ける。
なんなら、もう一歩、高く――
「疑うなら、全員でかかってきな。見せてやるよ。俺の高みを」
「のう、勇者」
「なんだよ、ラムド」
「わしが、カースソルジャーを召喚した時、なんと言っておったか、覚えておるか?」
「あん? なんだ、急に……召喚の詠唱なんざ、一々覚えて……」
そうでもない。
相当なインパクトだったから。
「いや、待てよ。覚えてっぞ。確か」
記憶に潜る。
言葉がスゥっと脳に浮かんだ。
「確か、なんだっけな……ああ、そうだ。……すりー……」
そこで、ブワァアっと、勇者の額に水滴が浮かぶ。
冷や汗がビッシリと溢れ出る。
(い、い、いや、ありえねぇ……そういう種族名ってだけだ。絶対にそうだ。ありえねぇ。そんな訳ねぇ。絶対に違う! そんなムチャクチャは、あっていいはずがないんだ!)
「1回戦、突破。実にお見事」
とても、とても、いい笑顔で、ラムドは言う。
「では、続けて、2回戦と行こうか」
紫のジオメトリが、怪しく輝き、
そして、
「カースソルジャー2号。さあ、勇者がお待ちだ。お相手をしてさしあげなさい。どうやら、まだまだモノ足りないようだから、1号よりも長く闘ってさしあげろ。いうまでもないが、殺してはいかんぞ。3号にも勇者と遊ばせてやりたいからのう」
元気いっぱいのカースソルジャー2号が、コクっと頷いた。
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コメント
Kまる
カースソルジャー頷くの想像するのかなり可愛い。