異世界の名のもとに!!

クロル

第15話 仲良しまでの道のり

「でも確かに、アルミスの声だったはずなんだが…」

 美鈴とクルが料理勝負とかで一生懸命作っているなか、ボクとアルミスは食卓用のイスに座って話していた。

「私は、あなたと会話が終わった後、すぐここに来たわ。その時一切あなたに話しかけていない」

「うーん、やっぱり空耳だったのかなぁ。…脳内汚染的な?」

 ボクはその言葉と同時に笑みを浮かべた。

するとアルミスはイスを引き、不敵な笑みを浮かべながらボクの近くに来て耳元で囁いた。

「私の声しか聞けないよう、躾(しつけ)てあげようかしら?」

「頼むから耳元で囁かないでくれ。美鈴にまた何か言われるから」

 ボクはアルミスの方を向いてそう言った。

「ふふ、もう一回囁いても良いわよ?」

「やられてたまるか!」

 そういうと、アルミスはボクの肩に手を置き、耳元に顔を近づけ、耳を舐めた。

「うわ、や、やめ何やってるんだ?!」

 アルミスは笑顔で言った。

「面白い反応が見たかったのよ。予想通り面白い反応だったわ」

 からかわれているのだろうか。まったく、やめてほしいものだ。吃驚(びっくり)するから。

「からかうなんてひどい。愛を確かめていた…のよ?」

「何言ってんだよ。後さりげなく思っていることを読まないでくれ」

 アルミスはボクの隣のイスに座り直した。



「「お兄ちゃん(様)! 出来ました!!」」

「おぉ、ありがとう、二人とも。お疲れ様」

 豪華な料理が並んでいる。美鈴の料理が上手いのは知っていたが、クルもすごく上手く作っているようだ。

 クルは料理を出し終わった後、ボクの左横の席に座ろうとしていた。

「そこは私の席です! 何勝手に座ろうとしているんですか!?」

「仕方ないんです。だってお兄様に食べさせてあげなくてはいけませんから」

 まったく懲りもせず言い争いばかり。

けど、この二人実は仲良いんだよな。ボクの見る限りだと。

「はぁ、いいですよ別に」

 お、美鈴から退(ひ)いたぞ。ついに諦めたか。

「お兄ちゃんが私の料理を食べてくれる。それだけで、良いんです」

「お兄様には私の料理も食べていただきますけどね♪」

 あれ待ってボク、結構な量食べないといけなくね。……嘘だろ。



『ちょっとは素直に話せるようになったかしら、ふたり』

 やっぱりアルミス策士だな。

『なんの事かしら?』

 そこでとぼけるか、普通。

まぁ、良いけども。ってかその脳内語りがけって流行ってるの?

やりすぎな気がする。その内洗脳されそうだ。

『壱曁。いちーと。いぃーちぃーとぉ』

 名前で遊ぶなって。そろそろそれ終わってほしいんだが。

「あーなた♪」

「そういう意味で言ったんじゃねぇ…」




 食事後、ボクは自室で美鈴と二人で話をしていた。月明かりが照らす部屋で。

「お兄ちゃん。私とクルが料理をしてる間、アルミスと何話していたんですか?」

「特に話すようなことは何もなかったぞ?」

 いや、あれを言ったら美鈴が何かしでかしそうだから言わないでおこう。

「……そう、ですか」

 あ、あれ。様子が。

「お兄ちゃん、私は今日こっちで寝ますね」

「自室に戻らないのか…」





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