第１話　妹とは世界で一つの存在である！

　異世界。それはボクの唯一無二である願望。
異世界に統べる魔王が君臨する世界でただ一人。そう、ただ一人だけが立ち向かうことが出来る勇者。
魔法を使い、時代も中世ヨーロッパ風を醸し出している、そんな世界。時には熱い闘いが繰り広げられ、時には街で噂になりそして有名になる……。

　欲望のままに考えてしまった… どうせこの《現実》からは逃れられない。仕方なかったんだ。こんな世界に生まれて生きて、そして……死ぬ。そう、ボク等《人間》はそれを繰り返してる。

「あ、学校…行く時間だ……」
「行ってらっしゃい♪ お兄ちゃん」
　なんだ、やけに嬉しそうじゃないか。いいなぁ、お気楽人生楽しそうで何よりだ。

　普段ボクは妹の［桐埼美鈴］に家事全般を任せていた。それあってかボクは妹に頭があがらない、ダメな大人まっしぐらだ。趣味と言えばピアノを弾いたり、ゲームしたり、アニメ観たりと、ホントにボクは存在価値があるのだろうか。
　…そう思うなら何かしら役に立つような事をすれば良いのだが。
家にほとんど居て体力が基本的に無いに等しく、過度な事をすると目眩が起こった。
美鈴からは無理しないでと言われ、気づけばこの通り、堕落の道を進んでいた。

　放課後ボクは真っ直ぐ寄り道せずに家に帰った。
一週間に一回。ボクは学校に通っている。それ以外は自宅に居るのがほとんどだ。が、それは終わっていた。

「……なんだよこれ。どうして家が、燃えているんだよ」
　ボクは驚きを隠せなかった。どうして家が、ボクの唯一の憩いの場が…。
「……美鈴は、美鈴は大丈夫か」
　ボクは家の周りに居た消防隊に問いかけた。ボクは焦っていた。ボクの生きる目的、一人の生き甲斐をくれる妹。

　美鈴が死んでは生き甲斐を失ってしまう、そう思っている。ボクは恐る恐る消防隊に声をかけた…。