最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
244話 〈暗殺王〉vs〈炎刀の巫女〉
『直撃デハナいにしテも絶影を受ケテいる。無理ハするナよ』
「はい!」
腹部、背中に痛みが走っているが、リンリは再びテンペスターを構える。常人ならば意識を保つ事さえ出来ない痛みだが、リンリはシエラやレオからの期待に応えるべく、気力だけで意識を保っている。
マスターボウですらやられた一撃を、ミストの『爆霧翔雷』で緩和したとは言え、耐えているのはリンリ自身の成長と言える。
「早めのリタイアをお勧めします。私も少女を手に掛けることに何の抵抗もないわけではありません」
そうは言いながらもサーキンは腰を落とし、拳を構える。
対するリンリもその闘志に比例するようにテンペスターに纏われた炎がメラメラと燃え上がる。
「私は負けられません! 我流 獅子ノ太刀!!」
戦闘態勢のサーキンに対し、先手を打つリンリ。踏み込んだ足が地面を強く蹴り、その勢いでサーキンに斬りかかる。大振りで斬りかかるも、サーキンは後ろに飛んで回避。続けて斬り込むも今度は攻めに転じたサーキンの拳が、勢いの乗り切る前にテンペスターと衝突。衝撃でリンリは後ろへ飛ばされてしまう。
「ふむ、力の乗り切った時ならまだしも、まだ中途半端な段階ではその炎剣も脅威にはなり得ませんね」
サーキンの拳は影が纏われており、確かにダメージはゼロだ。それに比べてリンリはサーキンの動きを追いかけるので精一杯。とても相手の攻撃を理解、分析した上での戦闘は出来ない。
「ハァ……ハァ……速い、強い。あの影は見た目よりずっと硬い。どうしたら……」
『焦るナ、落ち着いテ自分のペースを立テ直セ。お前ハ自分ガ思っテいるよりも動ケる   サーキンとも渡り合エる』
「で、でも、私がそもそもオリハルコン級となんて……」
『お前の実力ハ既にミスリルの域を越エテいる。そしテお前デしかサーキンハ倒セナい。“少女”デナケレバナ』
「ミスト、貴様ッ!!」
サーキンは先程までの温厚な表情を一変させ、頭に血が上っているのか、顔が赤くなっている。
『喋り方ガ崩レテいるぞ。嬢ちャん、俺に合わセろ』
周囲の霧から無数の拳が打ち出され、四方八方からサーキンを狙う。いくらサーキンが逆上しているとは言え、その程度の攻撃は見切られてしまう。
だがそこに、炎刀の一閃が迸る。
「我流 熊ノ太刀!!」
拳と豪炎の太刀が絶妙なタイミングでサーキンを攻撃する。
全方位から来る拳を避ければ、避けた所に炎刀が来る。その炎刀を避ければ次は拳が迫る。
「この娘……速度が上がっている!?」
リンリの炎刀がサーキンに掠り始めているのだ。この数分でリンリの身体能力がサーキンとの差を徐々に埋めている。
『こレガ嬢ちャんの本来の力ダ』
「ミストが何かしているのですか」
避け続けることは厳しいと判断したサーキンは、ナイフを取り出して炎刀の軌道を逸らすように受ける。いくらナイフで受けているとはいえ、リンリの攻撃を真っ向から直撃するのは危険と考えたからだ。
いくらリンリの戦闘力が急激に伸びてきているとは言ってもあくまでもサーキンはオリハルコン級。拳と炎刀の猛攻も全て被弾せずに回避している。
「そこッ!!」
サーキンの動きを若干先読みした一太刀が、サーキンの腕に当たる。咄嗟に影を纏わせて防御したが、その影ごと斬られ、腕から血が垂れる。
「なんと、ここまで……」
『血を流しタのナんテ久ぶりナんじャナいカ? サーキン』
ミストが皮肉の様に言うも、今度のサーキンは逆上したりしない。寧ろ冷静に傷の具合を確認している。
「なるほど、この辺りに立ち込めている霧のせいでしょうか」
「何を言ってるんですか……」
「貴女の身体能力をそこまで引き上げている物の正体です。恐らくはリミッター解除系の効果でしょう」
『チッ……見抜くのガ早い。正解ダ、こレハ催眠霧の一種。本人ガ無意識的に制限しテいるリミッターを一時的に解除する術』
ハッと気づいたようにリンリが振り返る。
「最初の一撃が届いたのも、技の威力が上がってるのも……?」
『絶影を受ケテナお立ち上ガレタのもこの術「霧世界」のおカゲダろう』
リンリの最初の一撃はサーキンの燕尾服を微かに斬り、二撃目は地面を砕く程の威力を見せた。その後のサーキンによる必殺の一撃「絶影」を、直撃ではないにしても受けきっている。
「私に効果がないのは私が既にリミッターを外す事が出来るから、と。なるほどいい術チョイスです。そちらのお嬢さんの力も認めるべきでしょう。しかし、少々目障りですね」
「我流   虎ノ太刀!」
『マずい、ダメダ!』
ミストの警告も遅く、サーキンを包むように影が盛り上がり、卵のような膜を張る。影が膨れ上がり、ある瞬間で爆発。膜の中から影の衝撃が溢れ出し、霧世界諸共リンリを吹き飛ばす。
「はい!」
腹部、背中に痛みが走っているが、リンリは再びテンペスターを構える。常人ならば意識を保つ事さえ出来ない痛みだが、リンリはシエラやレオからの期待に応えるべく、気力だけで意識を保っている。
マスターボウですらやられた一撃を、ミストの『爆霧翔雷』で緩和したとは言え、耐えているのはリンリ自身の成長と言える。
「早めのリタイアをお勧めします。私も少女を手に掛けることに何の抵抗もないわけではありません」
そうは言いながらもサーキンは腰を落とし、拳を構える。
対するリンリもその闘志に比例するようにテンペスターに纏われた炎がメラメラと燃え上がる。
「私は負けられません! 我流 獅子ノ太刀!!」
戦闘態勢のサーキンに対し、先手を打つリンリ。踏み込んだ足が地面を強く蹴り、その勢いでサーキンに斬りかかる。大振りで斬りかかるも、サーキンは後ろに飛んで回避。続けて斬り込むも今度は攻めに転じたサーキンの拳が、勢いの乗り切る前にテンペスターと衝突。衝撃でリンリは後ろへ飛ばされてしまう。
「ふむ、力の乗り切った時ならまだしも、まだ中途半端な段階ではその炎剣も脅威にはなり得ませんね」
サーキンの拳は影が纏われており、確かにダメージはゼロだ。それに比べてリンリはサーキンの動きを追いかけるので精一杯。とても相手の攻撃を理解、分析した上での戦闘は出来ない。
「ハァ……ハァ……速い、強い。あの影は見た目よりずっと硬い。どうしたら……」
『焦るナ、落ち着いテ自分のペースを立テ直セ。お前ハ自分ガ思っテいるよりも動ケる   サーキンとも渡り合エる』
「で、でも、私がそもそもオリハルコン級となんて……」
『お前の実力ハ既にミスリルの域を越エテいる。そしテお前デしかサーキンハ倒セナい。“少女”デナケレバナ』
「ミスト、貴様ッ!!」
サーキンは先程までの温厚な表情を一変させ、頭に血が上っているのか、顔が赤くなっている。
『喋り方ガ崩レテいるぞ。嬢ちャん、俺に合わセろ』
周囲の霧から無数の拳が打ち出され、四方八方からサーキンを狙う。いくらサーキンが逆上しているとは言え、その程度の攻撃は見切られてしまう。
だがそこに、炎刀の一閃が迸る。
「我流 熊ノ太刀!!」
拳と豪炎の太刀が絶妙なタイミングでサーキンを攻撃する。
全方位から来る拳を避ければ、避けた所に炎刀が来る。その炎刀を避ければ次は拳が迫る。
「この娘……速度が上がっている!?」
リンリの炎刀がサーキンに掠り始めているのだ。この数分でリンリの身体能力がサーキンとの差を徐々に埋めている。
『こレガ嬢ちャんの本来の力ダ』
「ミストが何かしているのですか」
避け続けることは厳しいと判断したサーキンは、ナイフを取り出して炎刀の軌道を逸らすように受ける。いくらナイフで受けているとはいえ、リンリの攻撃を真っ向から直撃するのは危険と考えたからだ。
いくらリンリの戦闘力が急激に伸びてきているとは言ってもあくまでもサーキンはオリハルコン級。拳と炎刀の猛攻も全て被弾せずに回避している。
「そこッ!!」
サーキンの動きを若干先読みした一太刀が、サーキンの腕に当たる。咄嗟に影を纏わせて防御したが、その影ごと斬られ、腕から血が垂れる。
「なんと、ここまで……」
『血を流しタのナんテ久ぶりナんじャナいカ? サーキン』
ミストが皮肉の様に言うも、今度のサーキンは逆上したりしない。寧ろ冷静に傷の具合を確認している。
「なるほど、この辺りに立ち込めている霧のせいでしょうか」
「何を言ってるんですか……」
「貴女の身体能力をそこまで引き上げている物の正体です。恐らくはリミッター解除系の効果でしょう」
『チッ……見抜くのガ早い。正解ダ、こレハ催眠霧の一種。本人ガ無意識的に制限しテいるリミッターを一時的に解除する術』
ハッと気づいたようにリンリが振り返る。
「最初の一撃が届いたのも、技の威力が上がってるのも……?」
『絶影を受ケテナお立ち上ガレタのもこの術「霧世界」のおカゲダろう』
リンリの最初の一撃はサーキンの燕尾服を微かに斬り、二撃目は地面を砕く程の威力を見せた。その後のサーキンによる必殺の一撃「絶影」を、直撃ではないにしても受けきっている。
「私に効果がないのは私が既にリミッターを外す事が出来るから、と。なるほどいい術チョイスです。そちらのお嬢さんの力も認めるべきでしょう。しかし、少々目障りですね」
「我流   虎ノ太刀!」
『マずい、ダメダ!』
ミストの警告も遅く、サーキンを包むように影が盛り上がり、卵のような膜を張る。影が膨れ上がり、ある瞬間で爆発。膜の中から影の衝撃が溢れ出し、霧世界諸共リンリを吹き飛ばす。
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