最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
141話 夜も明けて
「ん……ここは」
「起キタカ」
目を覚ますと俺は目の前に、片手剣が複数本カチカチと揺れていた。雨刃が俺を担いでくれているんだろう。
周りには木々が生えているのでまだ森の中か。まだまだ暗いが、少しずつ空が明るくなっているので夜明けは近そうだ。
「俺、どれぐらい寝てた?」
「チョットダヨ。元気ナラ自分デ歩イテクレ」
「あ、ああ」
俺は糸に襟首を掴まれ、雑に降ろされた。
よく見ると雨刃は右腕に謎の女性、左腕にシエラを担いでおり、俺は右肩に担がれていたみたいだ。
謎の女性……というのは雨刃を奇襲した、確かアンノウンに色彩魔女とか呼ばれてた人だ。
リンリは雨刃の後ろで歩いており、俺もリンリに並んで歩く。
「しかしシエラまで気絶するなんて珍しいな」
「アノ結界、相当ナレベルノ結界ダッタカラナ。魔力ノ使イ過ギダ」
「そうか……リンリは無事か?」
「あ、はい。特に問題はありません」
「なら良かった。疲れてるだろうし、あまり無理はするなよ。俺もブルーバードに着いたら少し寝ることにする」
雷化・天装衣を複数回使い、なおかつ紫電一閃を連発。最後には赤雷一閃まで使ったわけだが、ここまで魔力を消費する戦いは久しぶりで体がかなりだるい。
因みに赤雷一閃は紫電一閃の一段階上に位置する技だが、そう安安とは使えない。かなり長い溜めが必要なのと使った後の反動がでか過ぎる。
だが、紫電一閃を防いでくる敵が増えてくるだろうから、とボーンマンと一緒に知恵を絞った技だ。もう少し練習は必要そうだけどな。
「ところでその女の人、なんで連れてきたんだ?」
「アノ正体不明ノ言葉カラシテコイツラハ何カノ目的ヲ持チ、集団デ大陸へ来テイルト見テ良イ。ソノ理由ヲ聞キ出ス為ダ」
「なるほどな」
確かにそんな事を言ってたか。
色彩魔女もやられて、もう一人の仲間も死んだ。最後に残ったのはアンノウンだけ、的な内容だったか。しかし魔族が三人も。しかも異能を見るにかなりの実力者。アンノウンに関しては四魔王だと言われても信じるぐらいだ。
また嫌な事が起きそうだ。大魔人ってのも気になるし、四魔王がこのまま引き下がるとも思えない。警戒はしておくべきか。
「オ、着イタゾ」
ブルーバードに帰還した俺達は取り敢えず色彩魔女を縛り、ヴァラン達に見張りを頼んだ。リンリはシエラを看病すると部屋に籠もり、俺も部屋のベッドに倒れ込んだ。
雨刃はマスターボウに一部始終を報告すると言っていたっけか……だめだ眠い。ちょっと寝よう。
◇
『……フランケンポール様、フランケンポール様』
セントレイシュタンのとある裏路地にて、昼間、謎のオーガとの戦闘で負った傷を治療したアリゲインの姿があった。
右手に持つ石は意思送受石と呼ばれるもので、フランケンポールの作り出した遠距離でも会話が出来る魔石だ。
『……アリゲイン、どうした?』
『昼間、皇帝鬼を倒したと思われる少年の仲間と接触しました』
『本当かい?』
『はい、剣士のレオと接触しました レイヴン殿に届けていただいた例のアレも渡してあります』
『よくやった。作戦通りに事が進めば作戦は三ヶ月後。それまでに完成させないとね……君も一度帰ってきてくれ』
『了解しました』
◇
「ん……んんーっと、ふぅ」
目を覚ました俺は取り敢えずベッドの中で伸びをする。確かアンノウンを倒してブルーバードに帰ってきたんだよな。
体が重すぎて動くのが億劫だが……
「ウォーミングアップしてくるか」
布団を跳ね除け、体を起こす。
エヴァは相変わらず寝たままだが、昏睡に入ってからそろそろ三週間。目覚めるまでにあと二週間前後といったところだろうか。
「行ってきます」
俺はエヴァに一声掛け、部屋から出る。
すると同時に隣の部屋の扉も空き、中からリンリが出てきた。手に桶を持っているのという事はシエラの看病でもしてたんだろうか。あの部屋はシエラの部屋だし、間違いないだろう。
「おはよう」
「あ、おはようございます。もう大丈夫なんですか?」
「んー、ああ。体は重いけどもう動くぐらいは大丈夫だ」
「そうですか、良かったです シエラはまだ眠ってて……」
そういえばリンリは誰に対しても敬語だが、シエラにはあまり敬語を使っている印象を受けない。それだけ心を許しているんだとすれば良い兆候だ。
「大丈夫だろう。シエラもそんな弱いやつじゃないから」
「……そうですね!」
歩いている内に階段を登り、いつも酒場へ出る。窓から陽光が差し込んでいる為眩しい。
「よぉ、起きたのか」
「ああ、ヴァランか。おはよう」
「もう太陽は真上だけどな」
「結構寝てたか」
「まぁ、もう少し寝てもバチは当たらねぇと思うぞ」
「体が鈍っちまうよ。他の皆は?」
「〈シルク・ド・リベルター〉の連中は本業の方に行ってるぜ」
そういえばあいつらの本来の目的はセントレイシュタンでのサーカスだもんな。
魔族の襲来も無視出来なくなってきた大陸で、沈んだ心を盛り上げようという帝国の意向らしい。
「アジェンダなら店の前でレオと模擬戦 ナイアリスとか言う赤毛の嬢ちゃんも一緒だ」
シレッと一緒にいるけど、なんでここにナイアリスがいるんだろう……まぁ良いけど。
「わかった。ありがとう!」
「起キタカ」
目を覚ますと俺は目の前に、片手剣が複数本カチカチと揺れていた。雨刃が俺を担いでくれているんだろう。
周りには木々が生えているのでまだ森の中か。まだまだ暗いが、少しずつ空が明るくなっているので夜明けは近そうだ。
「俺、どれぐらい寝てた?」
「チョットダヨ。元気ナラ自分デ歩イテクレ」
「あ、ああ」
俺は糸に襟首を掴まれ、雑に降ろされた。
よく見ると雨刃は右腕に謎の女性、左腕にシエラを担いでおり、俺は右肩に担がれていたみたいだ。
謎の女性……というのは雨刃を奇襲した、確かアンノウンに色彩魔女とか呼ばれてた人だ。
リンリは雨刃の後ろで歩いており、俺もリンリに並んで歩く。
「しかしシエラまで気絶するなんて珍しいな」
「アノ結界、相当ナレベルノ結界ダッタカラナ。魔力ノ使イ過ギダ」
「そうか……リンリは無事か?」
「あ、はい。特に問題はありません」
「なら良かった。疲れてるだろうし、あまり無理はするなよ。俺もブルーバードに着いたら少し寝ることにする」
雷化・天装衣を複数回使い、なおかつ紫電一閃を連発。最後には赤雷一閃まで使ったわけだが、ここまで魔力を消費する戦いは久しぶりで体がかなりだるい。
因みに赤雷一閃は紫電一閃の一段階上に位置する技だが、そう安安とは使えない。かなり長い溜めが必要なのと使った後の反動がでか過ぎる。
だが、紫電一閃を防いでくる敵が増えてくるだろうから、とボーンマンと一緒に知恵を絞った技だ。もう少し練習は必要そうだけどな。
「ところでその女の人、なんで連れてきたんだ?」
「アノ正体不明ノ言葉カラシテコイツラハ何カノ目的ヲ持チ、集団デ大陸へ来テイルト見テ良イ。ソノ理由ヲ聞キ出ス為ダ」
「なるほどな」
確かにそんな事を言ってたか。
色彩魔女もやられて、もう一人の仲間も死んだ。最後に残ったのはアンノウンだけ、的な内容だったか。しかし魔族が三人も。しかも異能を見るにかなりの実力者。アンノウンに関しては四魔王だと言われても信じるぐらいだ。
また嫌な事が起きそうだ。大魔人ってのも気になるし、四魔王がこのまま引き下がるとも思えない。警戒はしておくべきか。
「オ、着イタゾ」
ブルーバードに帰還した俺達は取り敢えず色彩魔女を縛り、ヴァラン達に見張りを頼んだ。リンリはシエラを看病すると部屋に籠もり、俺も部屋のベッドに倒れ込んだ。
雨刃はマスターボウに一部始終を報告すると言っていたっけか……だめだ眠い。ちょっと寝よう。
◇
『……フランケンポール様、フランケンポール様』
セントレイシュタンのとある裏路地にて、昼間、謎のオーガとの戦闘で負った傷を治療したアリゲインの姿があった。
右手に持つ石は意思送受石と呼ばれるもので、フランケンポールの作り出した遠距離でも会話が出来る魔石だ。
『……アリゲイン、どうした?』
『昼間、皇帝鬼を倒したと思われる少年の仲間と接触しました』
『本当かい?』
『はい、剣士のレオと接触しました レイヴン殿に届けていただいた例のアレも渡してあります』
『よくやった。作戦通りに事が進めば作戦は三ヶ月後。それまでに完成させないとね……君も一度帰ってきてくれ』
『了解しました』
◇
「ん……んんーっと、ふぅ」
目を覚ました俺は取り敢えずベッドの中で伸びをする。確かアンノウンを倒してブルーバードに帰ってきたんだよな。
体が重すぎて動くのが億劫だが……
「ウォーミングアップしてくるか」
布団を跳ね除け、体を起こす。
エヴァは相変わらず寝たままだが、昏睡に入ってからそろそろ三週間。目覚めるまでにあと二週間前後といったところだろうか。
「行ってきます」
俺はエヴァに一声掛け、部屋から出る。
すると同時に隣の部屋の扉も空き、中からリンリが出てきた。手に桶を持っているのという事はシエラの看病でもしてたんだろうか。あの部屋はシエラの部屋だし、間違いないだろう。
「おはよう」
「あ、おはようございます。もう大丈夫なんですか?」
「んー、ああ。体は重いけどもう動くぐらいは大丈夫だ」
「そうですか、良かったです シエラはまだ眠ってて……」
そういえばリンリは誰に対しても敬語だが、シエラにはあまり敬語を使っている印象を受けない。それだけ心を許しているんだとすれば良い兆候だ。
「大丈夫だろう。シエラもそんな弱いやつじゃないから」
「……そうですね!」
歩いている内に階段を登り、いつも酒場へ出る。窓から陽光が差し込んでいる為眩しい。
「よぉ、起きたのか」
「ああ、ヴァランか。おはよう」
「もう太陽は真上だけどな」
「結構寝てたか」
「まぁ、もう少し寝てもバチは当たらねぇと思うぞ」
「体が鈍っちまうよ。他の皆は?」
「〈シルク・ド・リベルター〉の連中は本業の方に行ってるぜ」
そういえばあいつらの本来の目的はセントレイシュタンでのサーカスだもんな。
魔族の襲来も無視出来なくなってきた大陸で、沈んだ心を盛り上げようという帝国の意向らしい。
「アジェンダなら店の前でレオと模擬戦 ナイアリスとか言う赤毛の嬢ちゃんも一緒だ」
シレッと一緒にいるけど、なんでここにナイアリスがいるんだろう……まぁ良いけど。
「わかった。ありがとう!」
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コメント
330284【むつき・りんな】
すみません、ずっと疑問に思っていたんですが魔力切れ、あの反射のやつ(昔雷化・天装衣使うのに使ってたやつ)使えばそれか、反射使う魔力も無いんですか?