最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
100話 宴会
「ルーキーの奮闘と伝説級魔物エンペラーオーガの討伐を祝して……」
「「「「かんぱーーーいっ!!」」」」
フーバの掛け声でその場にいた皆が一斉にコップやら食べ物やらを掲げる。
雨刃らと共にギルドへ帰った俺達は一足先に帰っていたフーバらの計らいにより、大歓迎で迎えられた。
宴会はギルドでやりたかったらしいが、他の冒険者にも迷惑という事で、俺達の止まっている宿〈ホワイトパピー〉で行われた。今回のゴブリン討伐作戦に参加した〈三首の鬼〉、〈女闘士軍 アマゾネス〉、〈蒼紅の絁〉、そして何故かレオと共に帰ってきた〈舞姫のナイアリス〉。
そして俺達と〈シルク・ド・リベルター〉の雨刃とリンが一堂に会していた。
仲間の仇討ちのため、ゴブリン討伐を依頼した金髪の男、アークは泣いて感謝していた。勿論、死んだ人は戻らないが、せめてリヴァの傀儡とならないようにしてやらないとな。
あと変わった事と言えばナイアリスの口が若干悪くなっているような気がする。
「ほーらほら、酒持って来い!! レオ! 飲め飲め」
酔っ払ってるせいだけではないだろうな。本性ってやつか?
若干顔が赤いしもぞもぞしてるし……でも、確か最初あった時は……
◇
「あ、あの……私も行きます! ブロンズさんが頑張るのに、私が行かないなんて、いけないかな……なんて……」
「ゴールド級冒険者!〈舞姫のナイアリス〉!」
ナイアリス・レヴァン。
赤毛で腰には三日月刀を三本携えている。ソロで依頼を次々と成功させる凄腕の冒険者。でもなんか体をもじもじさせてて、若干頼りなさげだ。
◇
こんな感じだったよな。
それに何故かあんなにレオと仲良くなってるし……何があったんだろう……
「ひゅろひょ〜」
机の上に乗ったよくわからない果物を頬張っていると隣からエヴァがのし掛かるのと近い動きでもたれかかってくる。
すっかり酔キャラが定着してないか……? そのまま腰に手を絡ませたまま眠ってしまった。
「ご執心だな。クロト」
「ああ……まぁな」
そこへグイグイと酒を飲みながら向かい側にリンが座る。俺の周りの人って酒に強いか弱いか両極端なんだよな……
「一緒にいた期間はたったの数日だが、私ですらエヴァリオンの気持ちはわかる。お前も気づいているのだろう?」
「……ああ わかっているつもりだ」
「答えてやったらどうだ? お前も気持ちは同じだろうに」
俺はドキリとしながらも酒を飲む。見透かされてるってのも気持ち悪い感じだ。
「わかってるんだけど、なぁ。エヴァには随分俺の我儘に付き合わせてしまってる」
「もし私がエヴァリオンの立場なら尚更早く答えて欲しいものだがな」
リンは真剣なのか冗談なのかわからないが、酒を注ぎに別の机にフラフラと歩いていった。
エヴァの気持ちに……答える……か。
俺は腰にほっぺたを擦り付けながら寝ているエヴァの頭を撫でながら、改めて考える。最近のエヴァの憂いる様な表情……それを見るのは初めてじゃない。
一度目は出会ってすぐの頃。エヴァが氷の悪魔と呼ばれていた頃見せていた。二度目は地獄での修行中。俺に話しかけては来るものの歯切れの悪い、もやもやしたような様子だった。
そして三度目は今。恐らくはグラキエースドラゴンとの戦闘時に無意識のうちに発動した『アイギスの盾』に恐怖を抱き、それについて悩んでいるんだろう。
「もう少し……もう少しだけ待っててくれ。なにかあと少しで振り切れそうなんだ」
「ぐぅ…………」
返事をするかの様に唸ったエヴァを見て、やっぱり起きてるんじゃないかと疑わされる。
「クロトさん」
俺は背後から声を掛けられ、またリンが来たのかと思って勢い良く振り向くとそこに立っていたのは銀髪を綺麗に伸ばし、お嬢様的風格の漂う女性が立っていた。
「あ、あんたは確か……」
「〈女闘士軍 アマゾネス〉のリーダー、ディーナス・ギルですわ」
「おう、怪我の具合はもういいのか?」
「はい、先程はありがとうございました。助けに来て頂けなければ私達は全滅してましたわ」
「気にすることは無いさ、お互い無事で済んだんだしな」
「ええ、ありがとうですわ」
他の人にもお礼を言っているのか、すぐに別の人の所へ行ってしまった。
全員が今日の勝利に喜び、祝っている。犠牲になったアーク達のパーティメンバーの事を考えると不謹慎であるのかもしれないけど、今はこの状況がすごく幸せに感じる。
雨刃やリンも死んでしまったかと思っていたが、二人ともピンピンしながら飲み食いしてるし……
雨刃はいつも不気味に開く口が今日だけは少し可愛いチャームポイントに見えてくる。少しの間ではあるが、一緒に居て雨刃の表情を読むことに少しずつ慣れてきている。あんまり慣れたくも無いものに慣れてばかりな気もするが……
「クロト、部屋まで運んであげたらどうでありんすか? この様子じゃ、朝まで続くでありんすよ」
と、シエラがコップ片手にエヴァを指差す。
エヴァは完全に眠りの世界に入ったらしく、クークーと寝息を立てている。
「そうだな」
俺はエヴァをお姫様抱っこで抱え、食堂から出る。
二階に上がっても聞こえてくるバカ騒ぎを聞きながら俺はエヴァをベッドに寝かせる。他に客が居なかったからいいものの、居たらかなり迷惑だよな。
と、考えつつ俺は部屋を出ようとベッドから離れる。
「……ん?」
クイッと後ろから引っ張られ、後ろを振り返る。袖をエヴァが掴んでいた。
本当に寝てるのか……ま、一緒にいてやるか。俺はベッドに腰掛け、エヴァの頭をまた撫でる。
「くぅ~ん」
「「「「かんぱーーーいっ!!」」」」
フーバの掛け声でその場にいた皆が一斉にコップやら食べ物やらを掲げる。
雨刃らと共にギルドへ帰った俺達は一足先に帰っていたフーバらの計らいにより、大歓迎で迎えられた。
宴会はギルドでやりたかったらしいが、他の冒険者にも迷惑という事で、俺達の止まっている宿〈ホワイトパピー〉で行われた。今回のゴブリン討伐作戦に参加した〈三首の鬼〉、〈女闘士軍 アマゾネス〉、〈蒼紅の絁〉、そして何故かレオと共に帰ってきた〈舞姫のナイアリス〉。
そして俺達と〈シルク・ド・リベルター〉の雨刃とリンが一堂に会していた。
仲間の仇討ちのため、ゴブリン討伐を依頼した金髪の男、アークは泣いて感謝していた。勿論、死んだ人は戻らないが、せめてリヴァの傀儡とならないようにしてやらないとな。
あと変わった事と言えばナイアリスの口が若干悪くなっているような気がする。
「ほーらほら、酒持って来い!! レオ! 飲め飲め」
酔っ払ってるせいだけではないだろうな。本性ってやつか?
若干顔が赤いしもぞもぞしてるし……でも、確か最初あった時は……
◇
「あ、あの……私も行きます! ブロンズさんが頑張るのに、私が行かないなんて、いけないかな……なんて……」
「ゴールド級冒険者!〈舞姫のナイアリス〉!」
ナイアリス・レヴァン。
赤毛で腰には三日月刀を三本携えている。ソロで依頼を次々と成功させる凄腕の冒険者。でもなんか体をもじもじさせてて、若干頼りなさげだ。
◇
こんな感じだったよな。
それに何故かあんなにレオと仲良くなってるし……何があったんだろう……
「ひゅろひょ〜」
机の上に乗ったよくわからない果物を頬張っていると隣からエヴァがのし掛かるのと近い動きでもたれかかってくる。
すっかり酔キャラが定着してないか……? そのまま腰に手を絡ませたまま眠ってしまった。
「ご執心だな。クロト」
「ああ……まぁな」
そこへグイグイと酒を飲みながら向かい側にリンが座る。俺の周りの人って酒に強いか弱いか両極端なんだよな……
「一緒にいた期間はたったの数日だが、私ですらエヴァリオンの気持ちはわかる。お前も気づいているのだろう?」
「……ああ わかっているつもりだ」
「答えてやったらどうだ? お前も気持ちは同じだろうに」
俺はドキリとしながらも酒を飲む。見透かされてるってのも気持ち悪い感じだ。
「わかってるんだけど、なぁ。エヴァには随分俺の我儘に付き合わせてしまってる」
「もし私がエヴァリオンの立場なら尚更早く答えて欲しいものだがな」
リンは真剣なのか冗談なのかわからないが、酒を注ぎに別の机にフラフラと歩いていった。
エヴァの気持ちに……答える……か。
俺は腰にほっぺたを擦り付けながら寝ているエヴァの頭を撫でながら、改めて考える。最近のエヴァの憂いる様な表情……それを見るのは初めてじゃない。
一度目は出会ってすぐの頃。エヴァが氷の悪魔と呼ばれていた頃見せていた。二度目は地獄での修行中。俺に話しかけては来るものの歯切れの悪い、もやもやしたような様子だった。
そして三度目は今。恐らくはグラキエースドラゴンとの戦闘時に無意識のうちに発動した『アイギスの盾』に恐怖を抱き、それについて悩んでいるんだろう。
「もう少し……もう少しだけ待っててくれ。なにかあと少しで振り切れそうなんだ」
「ぐぅ…………」
返事をするかの様に唸ったエヴァを見て、やっぱり起きてるんじゃないかと疑わされる。
「クロトさん」
俺は背後から声を掛けられ、またリンが来たのかと思って勢い良く振り向くとそこに立っていたのは銀髪を綺麗に伸ばし、お嬢様的風格の漂う女性が立っていた。
「あ、あんたは確か……」
「〈女闘士軍 アマゾネス〉のリーダー、ディーナス・ギルですわ」
「おう、怪我の具合はもういいのか?」
「はい、先程はありがとうございました。助けに来て頂けなければ私達は全滅してましたわ」
「気にすることは無いさ、お互い無事で済んだんだしな」
「ええ、ありがとうですわ」
他の人にもお礼を言っているのか、すぐに別の人の所へ行ってしまった。
全員が今日の勝利に喜び、祝っている。犠牲になったアーク達のパーティメンバーの事を考えると不謹慎であるのかもしれないけど、今はこの状況がすごく幸せに感じる。
雨刃やリンも死んでしまったかと思っていたが、二人ともピンピンしながら飲み食いしてるし……
雨刃はいつも不気味に開く口が今日だけは少し可愛いチャームポイントに見えてくる。少しの間ではあるが、一緒に居て雨刃の表情を読むことに少しずつ慣れてきている。あんまり慣れたくも無いものに慣れてばかりな気もするが……
「クロト、部屋まで運んであげたらどうでありんすか? この様子じゃ、朝まで続くでありんすよ」
と、シエラがコップ片手にエヴァを指差す。
エヴァは完全に眠りの世界に入ったらしく、クークーと寝息を立てている。
「そうだな」
俺はエヴァをお姫様抱っこで抱え、食堂から出る。
二階に上がっても聞こえてくるバカ騒ぎを聞きながら俺はエヴァをベッドに寝かせる。他に客が居なかったからいいものの、居たらかなり迷惑だよな。
と、考えつつ俺は部屋を出ようとベッドから離れる。
「……ん?」
クイッと後ろから引っ張られ、後ろを振り返る。袖をエヴァが掴んでいた。
本当に寝てるのか……ま、一緒にいてやるか。俺はベッドに腰掛け、エヴァの頭をまた撫でる。
「くぅ~ん」
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