最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
71話 状況はいくらでも悪くなる
雷光・御神楽之劍は爆発的な轟音を轟かせ、ロックドラゴンに降り注ぐ。
落雷の何倍もの雷エネルギーを叩きつけられ地面は震え、小石は重力に逆らい宙へ浮かぶ。
そして爆発を伴いながら剣は消え、辺りは雪煙に覆われる。
「クロト!」
皆の元に飛び降りた俺はエヴァに迎えられる。
衝撃で雪が舞ったせいか髪の毛に雪がついてたり、全身に擦り傷や掠り傷はあるが、大丈夫そうだ。レオもかなり重症みたいだが、シエラの癒術と元々頑丈だったこともあり、回復してきている。
「やった……のか?」
ロックドラゴンの方を見るとシエラの矢によって足を射抜かれ、追撃の雷撃を食らって倒れたまま動いていない。
雷の攻撃により、全身から黒い煙を上げている。
「クオオオオオオオオオオオ」
その時、皆が気を抜いたその時、ロックドラゴンとは“違う何か”の鳴き声が雪山に響く。次に翼のはためく音が遠くから聞こえてくる。次第に近くなっていき……
「お、おい……あれ……」
ロックドラゴンよりかなり斜め上を見上げたレオが目を見開く。
目線の先を見ると遠くからなにか近づいてくる。鳥……? いや、ドラゴンだ……
それもサラマンダーやロックドラゴンと違って肩から巨大な翼の生えた、純竜と同じタイプのドラゴン。
「しまった、このタイミングで奴が目覚めるなんて!」
「アイリス! 奴って……?」
「テリア山の主にして超級魔物の中でも更に上位魔物。氷竜 グラキエースドラゴン……」
「グラキエース……」
「ドラゴン……てか忘れてたのかよ!」
「グォォォォォォォォォォォォォォ」
更に最悪なことに黒い煙をあげ倒れていたロックドラゴンが息を吹き返し、再び立ち上がった。
岩石の鱗鎧はほぼ剥がれ、雷の剣による傷が全身についている。だが、サラマンダーの時と同じく憎悪の籠もった目で俺たちを睨んでいる。
「グォォォォォォォォ」
「クァァァァァァ」
地にはロックドラゴン。空にはグラキエースドラゴン。
これはかなりまずいな……
「来るぞ!!」
レオが叫ぶとほぼ同時にグラキエースドラゴンが息を吸い込む。そして吐き出すと同時に大量の“何か”が飛んでくる。
何十何百を超えるそれは無差別に飛んできて、辺り一帯をを雪煙で覆い隠す。
「ぐあ……」
「痛い……」
「う……」
「……っ!」
あちこちから痛みを訴える声が聞こえてくる。
足元に突き刺さった“それ”をよく見ると縦五十センチ、幅十センチ程の氷柱だった。両端が鋭く、もし当たればただでは済まない……
「まずいぞ……」
「結界術 展開防御壁・伍」
シエラが手を伸ばすとグラキエースドラゴンと俺達の間に結界が貼られた。
一つの魔法陣が展開され、それを中心に四方に四つの魔法陣が展開される結界だ。俺達だけでなくハンター隊も守ることができるほど大きい。
「どうする……!」
「今の一撃で負傷者がかなり増えたでありんす」
「チームを分けた方が良い! このままあの二匹を同時に相手にするのは厳しい」
「エヴァの言う通りだな。グラキエースドラゴンは俺が殺る。ロックドラゴンは……レオ、頼めるか?」
「任せとけ、だいぶ回復してきた」
「わっちはレオに付くでありんす。癒術 神の聖光」
黄色い光の粒子がレオに降り掛かり傷を癒やす。
ここは任せておいて大丈夫だな。
ロックドラゴンはかなりダメージを食らい鱗鎧も剥がれている。残った戦力でも勝てるとは思うが……問題なのは氷竜・グラキエースドラゴン。
あいつはまだ一ダメージも受けてないし、能力なんかも全くの不明。おまけにこんなデタラメな強さ。
ロックドラゴンの岩石の鱗鎧なんて隠しネタもあるかもしれない。だが、まぁ……獄化・地装衣なら、悪くても相打ちには持っていける。
「エヴァ! 来てくれ」
「う、うん!」
「あいつをここから遠ざける」
「わかった……けど、どうやって引き離すの?」
「んー……とりあえずやってみるか」
「え?」
俺は手のひらに小さな雷の塊を作り出す。雷丸よりも歪で力を抜けば暴発するレベルの雷だ。まぁ、挑発には十分だろう。
俺は雷の塊をグラキエースドラゴンめがけて投げつける。小さかろうが歪だろうが、雷は雷。
ソニックブームを起こしながらグラキエースドラゴンの胸部に直撃。全身に電気が走りグラキエースドラゴンは一瞬怯む。その後俺達に狙いを定めたらしく、こっちを睨んでいる。
「よし! 行くぞ!」
エヴァを肩に抱きかかえる。
「ま、まて! まさか二人で相手するつもりか?」
「ああ 任せてくれ」
「しかし……」
「アイリス! 集中しろ。相手はボロボロだが、おれ達もボロボロなんだ」
「あ、ああ」
「じゃ、行くぜ」
俺は方向を変えて走り出す。
グラキエースドラゴンも釣られてこっちに来る。
雷化・天装衣や獄化・地装衣を使うと雷とほぼ同じ速度で動ける。まぁかなり体力は持っていかれるけど……
あいつを離し過ぎず、近づき過ぎず……難しいな、割と。
「まさか……」
「おう、このまま行くぞ。適度に攻撃して挑発してくれ」
「わ、わかった……」
落雷の何倍もの雷エネルギーを叩きつけられ地面は震え、小石は重力に逆らい宙へ浮かぶ。
そして爆発を伴いながら剣は消え、辺りは雪煙に覆われる。
「クロト!」
皆の元に飛び降りた俺はエヴァに迎えられる。
衝撃で雪が舞ったせいか髪の毛に雪がついてたり、全身に擦り傷や掠り傷はあるが、大丈夫そうだ。レオもかなり重症みたいだが、シエラの癒術と元々頑丈だったこともあり、回復してきている。
「やった……のか?」
ロックドラゴンの方を見るとシエラの矢によって足を射抜かれ、追撃の雷撃を食らって倒れたまま動いていない。
雷の攻撃により、全身から黒い煙を上げている。
「クオオオオオオオオオオオ」
その時、皆が気を抜いたその時、ロックドラゴンとは“違う何か”の鳴き声が雪山に響く。次に翼のはためく音が遠くから聞こえてくる。次第に近くなっていき……
「お、おい……あれ……」
ロックドラゴンよりかなり斜め上を見上げたレオが目を見開く。
目線の先を見ると遠くからなにか近づいてくる。鳥……? いや、ドラゴンだ……
それもサラマンダーやロックドラゴンと違って肩から巨大な翼の生えた、純竜と同じタイプのドラゴン。
「しまった、このタイミングで奴が目覚めるなんて!」
「アイリス! 奴って……?」
「テリア山の主にして超級魔物の中でも更に上位魔物。氷竜 グラキエースドラゴン……」
「グラキエース……」
「ドラゴン……てか忘れてたのかよ!」
「グォォォォォォォォォォォォォォ」
更に最悪なことに黒い煙をあげ倒れていたロックドラゴンが息を吹き返し、再び立ち上がった。
岩石の鱗鎧はほぼ剥がれ、雷の剣による傷が全身についている。だが、サラマンダーの時と同じく憎悪の籠もった目で俺たちを睨んでいる。
「グォォォォォォォォ」
「クァァァァァァ」
地にはロックドラゴン。空にはグラキエースドラゴン。
これはかなりまずいな……
「来るぞ!!」
レオが叫ぶとほぼ同時にグラキエースドラゴンが息を吸い込む。そして吐き出すと同時に大量の“何か”が飛んでくる。
何十何百を超えるそれは無差別に飛んできて、辺り一帯をを雪煙で覆い隠す。
「ぐあ……」
「痛い……」
「う……」
「……っ!」
あちこちから痛みを訴える声が聞こえてくる。
足元に突き刺さった“それ”をよく見ると縦五十センチ、幅十センチ程の氷柱だった。両端が鋭く、もし当たればただでは済まない……
「まずいぞ……」
「結界術 展開防御壁・伍」
シエラが手を伸ばすとグラキエースドラゴンと俺達の間に結界が貼られた。
一つの魔法陣が展開され、それを中心に四方に四つの魔法陣が展開される結界だ。俺達だけでなくハンター隊も守ることができるほど大きい。
「どうする……!」
「今の一撃で負傷者がかなり増えたでありんす」
「チームを分けた方が良い! このままあの二匹を同時に相手にするのは厳しい」
「エヴァの言う通りだな。グラキエースドラゴンは俺が殺る。ロックドラゴンは……レオ、頼めるか?」
「任せとけ、だいぶ回復してきた」
「わっちはレオに付くでありんす。癒術 神の聖光」
黄色い光の粒子がレオに降り掛かり傷を癒やす。
ここは任せておいて大丈夫だな。
ロックドラゴンはかなりダメージを食らい鱗鎧も剥がれている。残った戦力でも勝てるとは思うが……問題なのは氷竜・グラキエースドラゴン。
あいつはまだ一ダメージも受けてないし、能力なんかも全くの不明。おまけにこんなデタラメな強さ。
ロックドラゴンの岩石の鱗鎧なんて隠しネタもあるかもしれない。だが、まぁ……獄化・地装衣なら、悪くても相打ちには持っていける。
「エヴァ! 来てくれ」
「う、うん!」
「あいつをここから遠ざける」
「わかった……けど、どうやって引き離すの?」
「んー……とりあえずやってみるか」
「え?」
俺は手のひらに小さな雷の塊を作り出す。雷丸よりも歪で力を抜けば暴発するレベルの雷だ。まぁ、挑発には十分だろう。
俺は雷の塊をグラキエースドラゴンめがけて投げつける。小さかろうが歪だろうが、雷は雷。
ソニックブームを起こしながらグラキエースドラゴンの胸部に直撃。全身に電気が走りグラキエースドラゴンは一瞬怯む。その後俺達に狙いを定めたらしく、こっちを睨んでいる。
「よし! 行くぞ!」
エヴァを肩に抱きかかえる。
「ま、まて! まさか二人で相手するつもりか?」
「ああ 任せてくれ」
「しかし……」
「アイリス! 集中しろ。相手はボロボロだが、おれ達もボロボロなんだ」
「あ、ああ」
「じゃ、行くぜ」
俺は方向を変えて走り出す。
グラキエースドラゴンも釣られてこっちに来る。
雷化・天装衣や獄化・地装衣を使うと雷とほぼ同じ速度で動ける。まぁかなり体力は持っていかれるけど……
あいつを離し過ぎず、近づき過ぎず……難しいな、割と。
「まさか……」
「おう、このまま行くぞ。適度に攻撃して挑発してくれ」
「わ、わかった……」
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