最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
69話 名付けて『地装衣』
「至天破邪剣征流 薙払の型 『麒麟駆け』!!」
レオは右足にばかり気を取られているロックドラゴンの左足目掛けて飛び込み、抜刀。
そのまま連撃を繰り出す。
「グァァァァァァァァ」
右足を削っていた氷斧が遂に岩石の鱗鎧を破りロックドラゴンの生身にたどり着き、回転を増した氷斧はロックドラゴンの足を斬り裂く。
加えて左足にまで斬撃を食らい、怒りを顕にする。
「グォォォォォォ」
氷斧に斬られた足は血を吹き出し、プルプルと震えている。
氷斧は血に染まり、回転数も勢いも落ち、骨に辿り着く寸前でヒビが入りそのまま砕け散る。
「はぁはぁ……レオ!」
レオはまだ左足に斬撃を繰り出している。十連撃を超えたあたりで鱗鎧が剥がれ、斬撃が生身を捉えた。
傷は氷斧の方が深いが、麒麟駆けの特性である連撃のおかげで、左足は滅多切りにされ、ロックドラゴンはついに両足を膝につく。
「……十六連撃」
「放て!!」
そこへ更にハンター隊の矢が降り注ぎロックドラゴンの両目を塞ぐ。両目両足を失い、ロックドラゴンは闇雲に頭を振る。
「グォォォォォォッッ!!!」
ロックドラゴンは力を振り絞り、一際大きい咆哮を轟かせる。
「最後の力か? ……このまま決める」
レオの麒麟駆けはかなりの体力を使う。今のレオはかなり疲労が溜まっているはずだ。
「レオ!!」
「ああ」
レオは立ち上がりもう一度抜刀の構えを取る。
「グォォ」
ロックドラゴンは切断されかけた右足の膝に重心をかけ、滅多切りにされた左足を蹴りくるっと回転する。
直後振り回された尻尾かレオを直撃し、その体を吹き飛ばす。
◇
そこから二百メートルほど離れた場所で、倒れたクロトと青髪の少女、シエラがいた。
「クロト! 癒術 癒やしの光」
優しい緑色の光がクロトの体を包み傷を癒やしていく。だが、傷が深すぎて、回復が間に合わない。
「ならば……癒術 神の聖光」
シエラの手から放たれた黄色い小さな光がクロトの全身に降りかかる。
神の聖光は降り掛かった者の傷を持続的に回復し続ける。効果は他の癒術に比べて劣るものの、持続回復の恩恵はでかい。
これでシエラが手を離しても回復し続けてくれる。
「その間にわっちはもっと高位の癒術を……クロト! 起きなんし! クロト!」
◇
灰色の大地、それを区切るように流れる赤い川。空には一面赤黒い雲に覆われている。更にゴロゴロと黒い雷も走っている。
すぐ近くには黒い宮殿がそびえ立ち、地上には咲かないであろう花が咲いている。
「クロトよ。これから雷化・天装衣以上の切り札となる新技を教える。雷化・天装衣が出来たお前なら、可能なはずだ」
「雷化・天装衣以上? 雷化・天装衣自体もかなり強化したのにか?」
「うむ、今までは雷化・天装衣でなければ使えなかった上級雷術を通常時でも使えるようにし、雷化・天装衣使用時には神鳴術が使えるように修行してきた。だが、それ以上の力が必要になる時も来るだろう」
「なるほど……一体どんな新技を?」
「お主のネーミングを借りるが、名付けて『地装衣』」
「地装衣……」
「うむ、地獄の豪雷、獄気を含んだ黒雷 はたまた地獄の炎を呼び出し雷炎化なんてことも出来るかもしれない」
「そんなことが……」
「要領は雷化・天装衣とほぼ同じだが、地獄の門を開き、自分にぶつけることでさらなるモードへと進化する」
「おぉぉぉ! すっげぇな! 早速やろうぜ!」
「そう慌てずとも良い。いいか、この技のメリットは色々ある。だが、逆にデメリットも大きい事を忘れるな。下手をすれば命を燃やす技にもなりかねん」
「お、おお。わかったよ」
◇
今のは……
修行の時……そうだ、一年前……
ヴァント襲撃事件から帰ってきた後、最後の修行として教えてくれたんだっけ。
“……ロト!”
ん、なんだ……?
“……ロト! 起きなんし!”
“クロト! 皆がピンチでありんす。寝てる場合じゃないでありんすよ”
この声はシエラか……
皆がピンチ? 俺達はロックドラゴンを倒すためテリア山に……そうか! 俺はロックドラゴンに吹き飛ばされて……
「クロトよ」
突然頭に直接響いていたシエラの声とは別に、もっとはっきりした別の声が聞こえた。後ろを振り返るとそこにはさっき見た記憶の中にも居た赤い肌の巨人。ハデスがいた。
「ハデス? なんでこんなところに……」
「いいから立ち上がれ。寝てる場合か? 地獄の門を開け、許可しよう」
そうだ、みんなは戦ってるんだ……
こんなところで寝てる暇はない!
レオは右足にばかり気を取られているロックドラゴンの左足目掛けて飛び込み、抜刀。
そのまま連撃を繰り出す。
「グァァァァァァァァ」
右足を削っていた氷斧が遂に岩石の鱗鎧を破りロックドラゴンの生身にたどり着き、回転を増した氷斧はロックドラゴンの足を斬り裂く。
加えて左足にまで斬撃を食らい、怒りを顕にする。
「グォォォォォォ」
氷斧に斬られた足は血を吹き出し、プルプルと震えている。
氷斧は血に染まり、回転数も勢いも落ち、骨に辿り着く寸前でヒビが入りそのまま砕け散る。
「はぁはぁ……レオ!」
レオはまだ左足に斬撃を繰り出している。十連撃を超えたあたりで鱗鎧が剥がれ、斬撃が生身を捉えた。
傷は氷斧の方が深いが、麒麟駆けの特性である連撃のおかげで、左足は滅多切りにされ、ロックドラゴンはついに両足を膝につく。
「……十六連撃」
「放て!!」
そこへ更にハンター隊の矢が降り注ぎロックドラゴンの両目を塞ぐ。両目両足を失い、ロックドラゴンは闇雲に頭を振る。
「グォォォォォォッッ!!!」
ロックドラゴンは力を振り絞り、一際大きい咆哮を轟かせる。
「最後の力か? ……このまま決める」
レオの麒麟駆けはかなりの体力を使う。今のレオはかなり疲労が溜まっているはずだ。
「レオ!!」
「ああ」
レオは立ち上がりもう一度抜刀の構えを取る。
「グォォ」
ロックドラゴンは切断されかけた右足の膝に重心をかけ、滅多切りにされた左足を蹴りくるっと回転する。
直後振り回された尻尾かレオを直撃し、その体を吹き飛ばす。
◇
そこから二百メートルほど離れた場所で、倒れたクロトと青髪の少女、シエラがいた。
「クロト! 癒術 癒やしの光」
優しい緑色の光がクロトの体を包み傷を癒やしていく。だが、傷が深すぎて、回復が間に合わない。
「ならば……癒術 神の聖光」
シエラの手から放たれた黄色い小さな光がクロトの全身に降りかかる。
神の聖光は降り掛かった者の傷を持続的に回復し続ける。効果は他の癒術に比べて劣るものの、持続回復の恩恵はでかい。
これでシエラが手を離しても回復し続けてくれる。
「その間にわっちはもっと高位の癒術を……クロト! 起きなんし! クロト!」
◇
灰色の大地、それを区切るように流れる赤い川。空には一面赤黒い雲に覆われている。更にゴロゴロと黒い雷も走っている。
すぐ近くには黒い宮殿がそびえ立ち、地上には咲かないであろう花が咲いている。
「クロトよ。これから雷化・天装衣以上の切り札となる新技を教える。雷化・天装衣が出来たお前なら、可能なはずだ」
「雷化・天装衣以上? 雷化・天装衣自体もかなり強化したのにか?」
「うむ、今までは雷化・天装衣でなければ使えなかった上級雷術を通常時でも使えるようにし、雷化・天装衣使用時には神鳴術が使えるように修行してきた。だが、それ以上の力が必要になる時も来るだろう」
「なるほど……一体どんな新技を?」
「お主のネーミングを借りるが、名付けて『地装衣』」
「地装衣……」
「うむ、地獄の豪雷、獄気を含んだ黒雷 はたまた地獄の炎を呼び出し雷炎化なんてことも出来るかもしれない」
「そんなことが……」
「要領は雷化・天装衣とほぼ同じだが、地獄の門を開き、自分にぶつけることでさらなるモードへと進化する」
「おぉぉぉ! すっげぇな! 早速やろうぜ!」
「そう慌てずとも良い。いいか、この技のメリットは色々ある。だが、逆にデメリットも大きい事を忘れるな。下手をすれば命を燃やす技にもなりかねん」
「お、おお。わかったよ」
◇
今のは……
修行の時……そうだ、一年前……
ヴァント襲撃事件から帰ってきた後、最後の修行として教えてくれたんだっけ。
“……ロト!”
ん、なんだ……?
“……ロト! 起きなんし!”
“クロト! 皆がピンチでありんす。寝てる場合じゃないでありんすよ”
この声はシエラか……
皆がピンチ? 俺達はロックドラゴンを倒すためテリア山に……そうか! 俺はロックドラゴンに吹き飛ばされて……
「クロトよ」
突然頭に直接響いていたシエラの声とは別に、もっとはっきりした別の声が聞こえた。後ろを振り返るとそこにはさっき見た記憶の中にも居た赤い肌の巨人。ハデスがいた。
「ハデス? なんでこんなところに……」
「いいから立ち上がれ。寝てる場合か? 地獄の門を開け、許可しよう」
そうだ、みんなは戦ってるんだ……
こんなところで寝てる暇はない!
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