最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
63話 月の女神が微笑むまで
翌日。
久々に清々しい朝を迎え、ゴンザレスとエリザベスに餌をやって、ハンター隊の作った朝食を頂いた。
ハンター隊も普段から保存食を食べてるらしく、俺達が普段食べてるものと似た朝食が出された。だが、流石は長く狩りを続けるハンター隊だけあって、味に色々な工夫がされていたりして、久々に美味しいものを食べた気分だった。
そしてしばらく休憩した後……
「さて、エヴァ、レオ。俺達もそろそろ行くか」
「だね」
「ああ」
荷物をまとめ荷台に乗せる。ハンター隊が食料を少し分けてくれたおかげでしばらく持ちそうだ。
各々がハンター隊の面々にお礼を言ったり別れを告げる。そんな中、激しく蹄を鳴らしながら街道を走り抜ける一頭の馬とそれに跨る一人の女性はやってくる。
こっちを見つけると、慌てた様子で方向を変え、一直線に向かって来る。来ている服装からしてハンター隊も一員だろう。
「ア、アイリス様!!」
「ん? ユノか、どうした?」
馬で駆け抜けてきた女性はユノと呼ばれた。
「はぁはぁ……テリア山に、ロ、ロックドラゴンが!!」
「なに!? ロックドラゴンなんて今まで一度も……」
「魔物の凶暴化に伴うものだと思われます! さらにロックドラゴンに縄張りを荒らされたと“奴”が……」
「嘘だろ……ロックドラゴンに加えて“奴”まで……」
なんだかヤバそうな雰囲気。
ロックドラゴンって言えばサラマンダーと並ぶ超級亜竜。サラマンダーですらマルスやアジェンダが居たから倒せたようなもんだし、かなり強いと予想できる。
「クロト……恥を忍んで頼みがある。このままロックドラゴンを野放しにしておけばテリア山は荒れてしまうだろう。それだけは回避したいが、こちらにも諸々の事情があり戦力的に乏しい。どうか私達に……」
まぁ公爵がそこらの無名に頼むのは恥に当たるのかもな。自分の領地の事だし。
「何言ってんだ、早く行こう」
「え……でも」
「トゥエルノティーグルの時は助けてもらったからな、恩はここで返す。いいよな?エヴァ、レオ」
「もちろん!」
「当然」
よし! バシッと決めてやったぜ。
「ありがとう……恩に着る」
◇
「エヴァリオン。後どれぐらいで着く?」
「う……うぷっ」
「エヴァ、ロックドラゴンってどんなやつかな?」
「……うっ」
「“奴”ってのも気になる」
「確かに。ハンター隊から詳しくはテリア山に着いてから説明するって言われたけど、言い方的にロックドラゴンより強いんだろうか」
「「なぁエヴァ(リオン)?」」
こんなことをかれこれ一週間はやってる。
意気揚々と了解したが、そこからは割と地味なものだった。どれだけやる気があっても数日でテリア山には着かない。俺達はハンター隊の一団に着いて行ってるから進路やペースは問題ないんだろうけど……
しかし不安だ。
雪山での戦闘は三年前に経験してるが、かなりやりにくい。しかも今回はホワイトオークやホワイトベアーよりでかく強いロックドラゴンが相手。
おまけにこんな服装でテリア山は厳しいんじゃないか?
防寒具なんて黒マントしかないし、レオに至ってはシャツしか着てないからな。
「お、見えてきたぞ!」
◇
その後テリア山に到着した俺達は最小限の準備を済ませ、山に登ることにした。
有難いのはのはハンター隊がコートを貸してくれたことだ。これがまだ不思議なコートで軽いし動きやすいのに暖かい。
ジェームズの売ってくれた寝袋に似ている気がする。この極寒の地で、寝袋に包まりながら動いている感覚だ。
テリア山は平原が段々に積み重なった山で、あまり山っぽい山ではないが、段と段の間は傾斜になっているので上に行くには普通の山より労力が必要になる。
ロックドラゴンが確認されたのは八段目らしいからこれから一ヶ月以上のテリア山に潜ることになるだろう。
三年前は精々一段目から二段目の途中程度までしか行ってない。あれだけでもかなり疲れるのに今回は少なくとも八段目まで行くのか……大丈夫かな。
「よし……聞け! これより八段目に現れたロックドラゴンを討伐に向かう。帝会に出ていたハンター隊約二十名、そしてテリア山に残っていたハンター隊十七名。そして助っ人のクロト、エヴァリオン、レオ 締めて四十人。超級に分類されるロックドラゴンは手強く、そう簡単には倒せないだろうが、我々のテリア山を守るんだ! 行くぞ! 月の女神が微笑むまで!」
「「「うぉぉぉぉ!!!」」」
すごいな。今から強大な敵に向かっていくってのにこの士気の高さ。
厳しい戦いになることは目に見えてる。それでも士気の高さだけで言えば……勝てる。そう無意識に思わされるほど、みんなはやる気に満ちていた。
俺も、この戦いでは雷化・天装衣を超える力を使う必要があるかもな。
久々に清々しい朝を迎え、ゴンザレスとエリザベスに餌をやって、ハンター隊の作った朝食を頂いた。
ハンター隊も普段から保存食を食べてるらしく、俺達が普段食べてるものと似た朝食が出された。だが、流石は長く狩りを続けるハンター隊だけあって、味に色々な工夫がされていたりして、久々に美味しいものを食べた気分だった。
そしてしばらく休憩した後……
「さて、エヴァ、レオ。俺達もそろそろ行くか」
「だね」
「ああ」
荷物をまとめ荷台に乗せる。ハンター隊が食料を少し分けてくれたおかげでしばらく持ちそうだ。
各々がハンター隊の面々にお礼を言ったり別れを告げる。そんな中、激しく蹄を鳴らしながら街道を走り抜ける一頭の馬とそれに跨る一人の女性はやってくる。
こっちを見つけると、慌てた様子で方向を変え、一直線に向かって来る。来ている服装からしてハンター隊も一員だろう。
「ア、アイリス様!!」
「ん? ユノか、どうした?」
馬で駆け抜けてきた女性はユノと呼ばれた。
「はぁはぁ……テリア山に、ロ、ロックドラゴンが!!」
「なに!? ロックドラゴンなんて今まで一度も……」
「魔物の凶暴化に伴うものだと思われます! さらにロックドラゴンに縄張りを荒らされたと“奴”が……」
「嘘だろ……ロックドラゴンに加えて“奴”まで……」
なんだかヤバそうな雰囲気。
ロックドラゴンって言えばサラマンダーと並ぶ超級亜竜。サラマンダーですらマルスやアジェンダが居たから倒せたようなもんだし、かなり強いと予想できる。
「クロト……恥を忍んで頼みがある。このままロックドラゴンを野放しにしておけばテリア山は荒れてしまうだろう。それだけは回避したいが、こちらにも諸々の事情があり戦力的に乏しい。どうか私達に……」
まぁ公爵がそこらの無名に頼むのは恥に当たるのかもな。自分の領地の事だし。
「何言ってんだ、早く行こう」
「え……でも」
「トゥエルノティーグルの時は助けてもらったからな、恩はここで返す。いいよな?エヴァ、レオ」
「もちろん!」
「当然」
よし! バシッと決めてやったぜ。
「ありがとう……恩に着る」
◇
「エヴァリオン。後どれぐらいで着く?」
「う……うぷっ」
「エヴァ、ロックドラゴンってどんなやつかな?」
「……うっ」
「“奴”ってのも気になる」
「確かに。ハンター隊から詳しくはテリア山に着いてから説明するって言われたけど、言い方的にロックドラゴンより強いんだろうか」
「「なぁエヴァ(リオン)?」」
こんなことをかれこれ一週間はやってる。
意気揚々と了解したが、そこからは割と地味なものだった。どれだけやる気があっても数日でテリア山には着かない。俺達はハンター隊の一団に着いて行ってるから進路やペースは問題ないんだろうけど……
しかし不安だ。
雪山での戦闘は三年前に経験してるが、かなりやりにくい。しかも今回はホワイトオークやホワイトベアーよりでかく強いロックドラゴンが相手。
おまけにこんな服装でテリア山は厳しいんじゃないか?
防寒具なんて黒マントしかないし、レオに至ってはシャツしか着てないからな。
「お、見えてきたぞ!」
◇
その後テリア山に到着した俺達は最小限の準備を済ませ、山に登ることにした。
有難いのはのはハンター隊がコートを貸してくれたことだ。これがまだ不思議なコートで軽いし動きやすいのに暖かい。
ジェームズの売ってくれた寝袋に似ている気がする。この極寒の地で、寝袋に包まりながら動いている感覚だ。
テリア山は平原が段々に積み重なった山で、あまり山っぽい山ではないが、段と段の間は傾斜になっているので上に行くには普通の山より労力が必要になる。
ロックドラゴンが確認されたのは八段目らしいからこれから一ヶ月以上のテリア山に潜ることになるだろう。
三年前は精々一段目から二段目の途中程度までしか行ってない。あれだけでもかなり疲れるのに今回は少なくとも八段目まで行くのか……大丈夫かな。
「よし……聞け! これより八段目に現れたロックドラゴンを討伐に向かう。帝会に出ていたハンター隊約二十名、そしてテリア山に残っていたハンター隊十七名。そして助っ人のクロト、エヴァリオン、レオ 締めて四十人。超級に分類されるロックドラゴンは手強く、そう簡単には倒せないだろうが、我々のテリア山を守るんだ! 行くぞ! 月の女神が微笑むまで!」
「「「うぉぉぉぉ!!!」」」
すごいな。今から強大な敵に向かっていくってのにこの士気の高さ。
厳しい戦いになることは目に見えてる。それでも士気の高さだけで言えば……勝てる。そう無意識に思わされるほど、みんなはやる気に満ちていた。
俺も、この戦いでは雷化・天装衣を超える力を使う必要があるかもな。
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コメント
相鶴ソウ
ありがとうございます!!
頑張ってください!応援してます
コング“シルバーバック”
しばらく読めてなかったけど、また時間がある時にでも読んでいきます!
僕の方はしばらく更新できそうにないですけど……w