最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
60話 形勢逆転
「レオ、行こう」
「ああ」
俺達はエヴァの待つ馬車に向かって歩き出す。
その時ちょうど、雨雲に雷が帯電した時のようなゴロゴロとした音が聞こえる。
「ん?」
雷雲かと思い空を見上げるが空は快晴。雲ひとつない。
じゃあ今の音は…………
次の瞬間、突如として大地が砕け、下から上へ雷が立ち上る。一瞬のうちにあたり一体地割れが起き、バチバチと電気が走る。
俺は雷を防げず、吹き飛ばされてしまう。俺は衝撃だけで済んだが、体力を使い切っていたレオは雷に打たれ、吹き飛ぶのが見えた。
一瞬の出来事に俺は状況を理解しきれず地面落ちた。そのまま突っ伏し、周りの様子をうかがう。
「レオ!! くそ……エヴァ、近くに居るか!?」
砂煙に覆われ、周りの様子は全くわからない。だが、これをした犯人は間違いなくあの虎だろうな。
こんな奥の手を隠してたなんて……
「グルルルゥゥゥゥ」
次第に砂煙が収まり、周りの様子が見えてくる。
レオは木の下でぐったりしてる。エヴァは……と馬車がある方向を見ると馬車がなくなっていた。
代わりに半透明の青い球がある。が、すぐに球にヒビが入り、砕ける。すると中から馬車と荷台に乗ったエヴァが現れる。
「氷術 雹絶防御」
「エヴァ!それは……?」
「緊急用の絶対防御! 持続時間も短くて、ほんとに一瞬しか保たないけど、一撃は持ちこたえる!」
こっちも奥の手ってか。
でも、助かった。エヴァが無事だったこともそうだが、危うく手に入れた交通手段を無くすところだった。
俺は立ち上がり虎を見る。体を起こし、まっすぐ俺たちを睨みつけている。足元には毛から滴り落ちた血が溜まってる。
「グルァァァァァ」
くそ……どうする?
レオはなんとか意識だけは保ってるが体に疲労が溜まっているはずだ。俺も一回雷化したせいでかなり魔力を消費してる。
「クロト、私も戦うよ。やっと酔いが覚めてきた」
「よし、なんとか動きを止めれるか?」
「任せて」
エヴァは片手を地面につけ魔力を込める。
「氷術 雹絶世界」
空気が一瞬凍りつき、次の瞬間周りの草原や木が凍る。虎の足も凍り、胴体も半分ぐらい凍ってる。
「よし、いいぞエヴァ。あとは任せろ。雷帝流……奥義!!」
俺はテンペスターを抜き一気に踏み込む。
虎の頭上まで飛び上がる。足元が凍ってたせいで少し滑り、若干体勢が崩れた状態だが、やるしかない。
「……紫電一閃」
足の裏に魔力を集める。
魔力を放出して空気を蹴り、虎に向かって飛び込む。テンペスターに纏わせた雷と共にフルパワーで虎の脳天に叩き下ろし、それと同時に稲妻が落ち、雷が落ちたかのように斬り付ける必殺の一撃。
俺はそのまま勢いで前宙し、後ろに転がり抜けて虎の背中を滑りながら地面に降りる。
「グォォォォォォ」
紫電一閃は虎の頭蓋骨を捉えたらしく痛みに吠える。咆哮と同時に虎の体に稲妻が走り、全身から放出される。数十の稲妻が地面に落ち、俺は慌てて避ける。
エヴァの氷のおかげで動けないものの、この稲妻は危険だ。動かなくてもこれだけの範囲に一斉に攻撃が出来るのだから、こいつの厄介さが身に染みてわかる。
「きゃぁ!」
エヴァの足元に稲妻が落ち後ろに倒れる。
まずい……俺も紫電一閃でほとんど魔力を使い切ってる。だいたい頭蓋骨にヒビを入れられてもこんなに動けるなんて……
何とか立ち上がるが右足がプルプル震えてうまく立てない。テンペスターを杖代わりにするが、これじゃあまともに動けない。
「グォォォォォォ!!」
咆哮と共に氷が砕け左前足を振り上げる。雷をまとった左前足の爪が、エヴァめがけて振り下ろされる。
「やめろぉぉッ!!!」
「ああ」
俺達はエヴァの待つ馬車に向かって歩き出す。
その時ちょうど、雨雲に雷が帯電した時のようなゴロゴロとした音が聞こえる。
「ん?」
雷雲かと思い空を見上げるが空は快晴。雲ひとつない。
じゃあ今の音は…………
次の瞬間、突如として大地が砕け、下から上へ雷が立ち上る。一瞬のうちにあたり一体地割れが起き、バチバチと電気が走る。
俺は雷を防げず、吹き飛ばされてしまう。俺は衝撃だけで済んだが、体力を使い切っていたレオは雷に打たれ、吹き飛ぶのが見えた。
一瞬の出来事に俺は状況を理解しきれず地面落ちた。そのまま突っ伏し、周りの様子をうかがう。
「レオ!! くそ……エヴァ、近くに居るか!?」
砂煙に覆われ、周りの様子は全くわからない。だが、これをした犯人は間違いなくあの虎だろうな。
こんな奥の手を隠してたなんて……
「グルルルゥゥゥゥ」
次第に砂煙が収まり、周りの様子が見えてくる。
レオは木の下でぐったりしてる。エヴァは……と馬車がある方向を見ると馬車がなくなっていた。
代わりに半透明の青い球がある。が、すぐに球にヒビが入り、砕ける。すると中から馬車と荷台に乗ったエヴァが現れる。
「氷術 雹絶防御」
「エヴァ!それは……?」
「緊急用の絶対防御! 持続時間も短くて、ほんとに一瞬しか保たないけど、一撃は持ちこたえる!」
こっちも奥の手ってか。
でも、助かった。エヴァが無事だったこともそうだが、危うく手に入れた交通手段を無くすところだった。
俺は立ち上がり虎を見る。体を起こし、まっすぐ俺たちを睨みつけている。足元には毛から滴り落ちた血が溜まってる。
「グルァァァァァ」
くそ……どうする?
レオはなんとか意識だけは保ってるが体に疲労が溜まっているはずだ。俺も一回雷化したせいでかなり魔力を消費してる。
「クロト、私も戦うよ。やっと酔いが覚めてきた」
「よし、なんとか動きを止めれるか?」
「任せて」
エヴァは片手を地面につけ魔力を込める。
「氷術 雹絶世界」
空気が一瞬凍りつき、次の瞬間周りの草原や木が凍る。虎の足も凍り、胴体も半分ぐらい凍ってる。
「よし、いいぞエヴァ。あとは任せろ。雷帝流……奥義!!」
俺はテンペスターを抜き一気に踏み込む。
虎の頭上まで飛び上がる。足元が凍ってたせいで少し滑り、若干体勢が崩れた状態だが、やるしかない。
「……紫電一閃」
足の裏に魔力を集める。
魔力を放出して空気を蹴り、虎に向かって飛び込む。テンペスターに纏わせた雷と共にフルパワーで虎の脳天に叩き下ろし、それと同時に稲妻が落ち、雷が落ちたかのように斬り付ける必殺の一撃。
俺はそのまま勢いで前宙し、後ろに転がり抜けて虎の背中を滑りながら地面に降りる。
「グォォォォォォ」
紫電一閃は虎の頭蓋骨を捉えたらしく痛みに吠える。咆哮と同時に虎の体に稲妻が走り、全身から放出される。数十の稲妻が地面に落ち、俺は慌てて避ける。
エヴァの氷のおかげで動けないものの、この稲妻は危険だ。動かなくてもこれだけの範囲に一斉に攻撃が出来るのだから、こいつの厄介さが身に染みてわかる。
「きゃぁ!」
エヴァの足元に稲妻が落ち後ろに倒れる。
まずい……俺も紫電一閃でほとんど魔力を使い切ってる。だいたい頭蓋骨にヒビを入れられてもこんなに動けるなんて……
何とか立ち上がるが右足がプルプル震えてうまく立てない。テンペスターを杖代わりにするが、これじゃあまともに動けない。
「グォォォォォォ!!」
咆哮と共に氷が砕け左前足を振り上げる。雷をまとった左前足の爪が、エヴァめがけて振り下ろされる。
「やめろぉぉッ!!!」
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