最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
42話 久々の地上。空気が美味い
「開け 地獄の門」
◇
地獄より地上へ戻ってきた俺達は、辺りの様子を伺う。どうやらヴァントより少し南の小高い丘に出たらしい。
ヴァントの門は破られ、街の中にもアンデットの侵入を許してしまっている。少し来るのが遅かったか……
だが、それもまだ少数で、ほとんどのアンデットは門より先に進むことが出来ないでいる。兵士や学生の必死の抵抗のお陰だろうな。
四つの門のうち開けられたのは一つだけ、今ならまだ被害を最小限に抑えられるはず……
「俺とエヴァ、そしてグレイドを含めた十五人の黒鬼隊……」
「アオーーーーーン」
「……と、アルギュロス。これだけの戦力で勝てるのか?」
「帝国からの援軍も期待できます。我々はそれまで耐えるだけの持久戦になるかと」
雷術使いの俺にとって、持久戦は不利だな……
とは言っても帝国の増援が来ればそれに任せてしまっても大丈夫だろう。
「そうか……敵の数は?」
「総勢五万を超えています」
「ご、五万!?……ますます不利だな」
俺は左腰にぶら下げているテンペスターとシュデュンヤーを抜きアンデットの軍勢を見下ろす。
しかし色々居るな。人型のソンビにスケルトン、ダークナイトやオークのゾンビまでいる。アンデットとひとまとめにするにはあまりに個性的。
ちょっと頑張らないとな……
「よし! いくぞ!!」
俺はハデスが用意してくれた黒いマントのフードを深く被り叫ぶ。
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
俺達は一斉に武器を抜き丘を駆け下りる。まだアンデットと衝突するには距離がある。相手もこちらには気づいていない。ならば、先手必勝だ。
「エヴァ! 走りながらあいつらに魔術を打てるか?」
「任せて。氷術 武器具現 『天之麻迦古弓』
氷弓龍星群」
エヴァの合図とともに氷の巨弓が現れ一本の巨矢を空へ打ち上げる。氷の巨矢が天を駆け登り、はるか上空で分裂。
千を超える矢がそれぞれ龍へと姿を変えアンデット達に降り注ぐ。加速した氷の矢龍は威力を上げ、アンデットの腕や足、首を吹き飛ばす。
「すごいな」
だが、アンデットは痛みも感じず、完全に無力化しなければ死なない。中でも厄介なのは痛みを感じないところだ。生きている者ならば怯んだり、臆したりすることもあるだろうが、コイツらにはそういったことが無い。
「さて、お前の力。見せてもらうぜ」
俺は左手に持ったシュデュンヤー肩の上に構え、横一線に薙ぎ払う。
「雷帝流 雷斬砲」
剣から飛び出した雷の斬撃は螺旋を描きアンデット達の首、胴、腕、脚を刻んでいく。
斬られたアンデットから黒い瘴気が溢れ、シュデュンヤーの元に集まってくる。そして吸収されるとシュデュンヤーから黒いオーラのようなものが吹き出し刀身にまとわりつく。なんだこれ……
それ以降アンデット達は動かない。これが不死者を殺す、そして吸収するということか。
エヴァの攻撃と俺の攻撃でいくらか無力化出来たが、相手は五万の大軍団。もっと広範囲に効果のある攻撃を連続で繰り出さないと、守り切れないだろう。
「ぶつかるぞ」
あと二百メートル程度で、アンデットの軍勢とぶつかる。未だに俺たちに気づいたアンデットは居ない。よく見ると、あのアンデットたちは様子は少し変だ。普通アンデットってのは死体が長く放置されたりすると腐って動き出す。そこには本能的な意思以外は存在せず、ただ人を喰らう化物になる。
だがコイツらはきちんと武器防具の使い方を理解し、使っている。
生前の習慣がアンデット化しても残っていると言うことはよくある話だが、ここまでしっかり、しかも全員が武器を使えるものなのか?
「なにかおかしいな」
「主よ、一気に数を減らします。嵐術 鎌鼬」
アルギュロスの周囲に現れた小さな竜巻から無数の風刃が飛び出し、アルデット達の足や頭を斬り落とし、無力化していく。
「だが……」
「うぅぅぅぅぅ」
「ぉぉぉぉぉ」
「うあう……ぉぉぉ」
「……死んではないな。やっぱり殺すならこいつしかないのか」
俺は走りざまに身動きの取れなくなったゾンビの頭を真っ二つにし、スケルトンの骨を砕く。オークゾンビにシュデュンヤーを突き刺し、斬り裂く。が、図体がでかい分ちゃんと殺さないとシュデュンヤーでも殺せないらしい。
「やっと俺達に気づいたか」
気づけば周りはアンデットだらけ。エヴァやグレイド達とも逸れたな。周囲には腐った男女と骨ばかり。
俺はテンペスターで地面をトントンと叩き、シュデュンヤーを肩に構えながら考える。こいつらは多少なりとも知性がある。だとすれば、どこかに司令塔がいると考えるのが妥当だろうな。
「うぅぅぅぅぅ」
様子を見ていたアンデットの内の一体のゾンビがしびれを切らし突っ込んでくる。
だが、単調なソンビの動きに捕まるほど俺も二年間遊んでたわけじゃない。軽く後ろに避けシュデュンヤーで胴体を斬り裂く。ゾンビは黒い瘴気をあげ動かなくなる。
「……さっきより軽くなってる。これが魂を吸収して性能を上げる剣。地獄ではこいつだけは試せなかったからな。思う存分やらせてもらうぜ……」
◇
「急ぐわよ! ここからヴァントまではかなり距離がある」
「「「「は!!」」」」
同時刻。
エルトリア帝国からの援軍として天馬騎士団、龍騎士団が送り込まれた。
馬で駆ける数百の騎士団員。その先頭で白い鎧の女と赤い鎧の男が話していた。
「エイナ。ここはチームを分けよう。俺たちのほうが人数は多いが機動性に欠ける」
「ええ、アラン。私達が先行するわ。天馬騎士団員!! これより龍騎士団より先行し、ヴァントに向かう。行くぞ!」
うぉぉぉぉぉと団員達の唸りが響く。
その少し後ろ。元氷の姫のマナティアとガイナがいた。
「じゃあな、マナ。気をつけろよ」
「ええ、あなた達が来る頃にはすべて終わらせてるわ」
「流石は聖炎の騎士様だな」
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
一日遅れてすいません!!
最近忙しすぎて……
これからも頑張ります!
ハデス「読んでくれてありがとう
これからも応援してくれ
さて、クイズをしろと言われてるのだが……
これか、Q7
地獄が有する唯一の兵力であるグレイド達の組織名はなんでしょう!
少し簡単すぎやせんか」
◇
地獄より地上へ戻ってきた俺達は、辺りの様子を伺う。どうやらヴァントより少し南の小高い丘に出たらしい。
ヴァントの門は破られ、街の中にもアンデットの侵入を許してしまっている。少し来るのが遅かったか……
だが、それもまだ少数で、ほとんどのアンデットは門より先に進むことが出来ないでいる。兵士や学生の必死の抵抗のお陰だろうな。
四つの門のうち開けられたのは一つだけ、今ならまだ被害を最小限に抑えられるはず……
「俺とエヴァ、そしてグレイドを含めた十五人の黒鬼隊……」
「アオーーーーーン」
「……と、アルギュロス。これだけの戦力で勝てるのか?」
「帝国からの援軍も期待できます。我々はそれまで耐えるだけの持久戦になるかと」
雷術使いの俺にとって、持久戦は不利だな……
とは言っても帝国の増援が来ればそれに任せてしまっても大丈夫だろう。
「そうか……敵の数は?」
「総勢五万を超えています」
「ご、五万!?……ますます不利だな」
俺は左腰にぶら下げているテンペスターとシュデュンヤーを抜きアンデットの軍勢を見下ろす。
しかし色々居るな。人型のソンビにスケルトン、ダークナイトやオークのゾンビまでいる。アンデットとひとまとめにするにはあまりに個性的。
ちょっと頑張らないとな……
「よし! いくぞ!!」
俺はハデスが用意してくれた黒いマントのフードを深く被り叫ぶ。
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
俺達は一斉に武器を抜き丘を駆け下りる。まだアンデットと衝突するには距離がある。相手もこちらには気づいていない。ならば、先手必勝だ。
「エヴァ! 走りながらあいつらに魔術を打てるか?」
「任せて。氷術 武器具現 『天之麻迦古弓』
氷弓龍星群」
エヴァの合図とともに氷の巨弓が現れ一本の巨矢を空へ打ち上げる。氷の巨矢が天を駆け登り、はるか上空で分裂。
千を超える矢がそれぞれ龍へと姿を変えアンデット達に降り注ぐ。加速した氷の矢龍は威力を上げ、アンデットの腕や足、首を吹き飛ばす。
「すごいな」
だが、アンデットは痛みも感じず、完全に無力化しなければ死なない。中でも厄介なのは痛みを感じないところだ。生きている者ならば怯んだり、臆したりすることもあるだろうが、コイツらにはそういったことが無い。
「さて、お前の力。見せてもらうぜ」
俺は左手に持ったシュデュンヤー肩の上に構え、横一線に薙ぎ払う。
「雷帝流 雷斬砲」
剣から飛び出した雷の斬撃は螺旋を描きアンデット達の首、胴、腕、脚を刻んでいく。
斬られたアンデットから黒い瘴気が溢れ、シュデュンヤーの元に集まってくる。そして吸収されるとシュデュンヤーから黒いオーラのようなものが吹き出し刀身にまとわりつく。なんだこれ……
それ以降アンデット達は動かない。これが不死者を殺す、そして吸収するということか。
エヴァの攻撃と俺の攻撃でいくらか無力化出来たが、相手は五万の大軍団。もっと広範囲に効果のある攻撃を連続で繰り出さないと、守り切れないだろう。
「ぶつかるぞ」
あと二百メートル程度で、アンデットの軍勢とぶつかる。未だに俺たちに気づいたアンデットは居ない。よく見ると、あのアンデットたちは様子は少し変だ。普通アンデットってのは死体が長く放置されたりすると腐って動き出す。そこには本能的な意思以外は存在せず、ただ人を喰らう化物になる。
だがコイツらはきちんと武器防具の使い方を理解し、使っている。
生前の習慣がアンデット化しても残っていると言うことはよくある話だが、ここまでしっかり、しかも全員が武器を使えるものなのか?
「なにかおかしいな」
「主よ、一気に数を減らします。嵐術 鎌鼬」
アルギュロスの周囲に現れた小さな竜巻から無数の風刃が飛び出し、アルデット達の足や頭を斬り落とし、無力化していく。
「だが……」
「うぅぅぅぅぅ」
「ぉぉぉぉぉ」
「うあう……ぉぉぉ」
「……死んではないな。やっぱり殺すならこいつしかないのか」
俺は走りざまに身動きの取れなくなったゾンビの頭を真っ二つにし、スケルトンの骨を砕く。オークゾンビにシュデュンヤーを突き刺し、斬り裂く。が、図体がでかい分ちゃんと殺さないとシュデュンヤーでも殺せないらしい。
「やっと俺達に気づいたか」
気づけば周りはアンデットだらけ。エヴァやグレイド達とも逸れたな。周囲には腐った男女と骨ばかり。
俺はテンペスターで地面をトントンと叩き、シュデュンヤーを肩に構えながら考える。こいつらは多少なりとも知性がある。だとすれば、どこかに司令塔がいると考えるのが妥当だろうな。
「うぅぅぅぅぅ」
様子を見ていたアンデットの内の一体のゾンビがしびれを切らし突っ込んでくる。
だが、単調なソンビの動きに捕まるほど俺も二年間遊んでたわけじゃない。軽く後ろに避けシュデュンヤーで胴体を斬り裂く。ゾンビは黒い瘴気をあげ動かなくなる。
「……さっきより軽くなってる。これが魂を吸収して性能を上げる剣。地獄ではこいつだけは試せなかったからな。思う存分やらせてもらうぜ……」
◇
「急ぐわよ! ここからヴァントまではかなり距離がある」
「「「「は!!」」」」
同時刻。
エルトリア帝国からの援軍として天馬騎士団、龍騎士団が送り込まれた。
馬で駆ける数百の騎士団員。その先頭で白い鎧の女と赤い鎧の男が話していた。
「エイナ。ここはチームを分けよう。俺たちのほうが人数は多いが機動性に欠ける」
「ええ、アラン。私達が先行するわ。天馬騎士団員!! これより龍騎士団より先行し、ヴァントに向かう。行くぞ!」
うぉぉぉぉぉと団員達の唸りが響く。
その少し後ろ。元氷の姫のマナティアとガイナがいた。
「じゃあな、マナ。気をつけろよ」
「ええ、あなた達が来る頃にはすべて終わらせてるわ」
「流石は聖炎の騎士様だな」
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
一日遅れてすいません!!
最近忙しすぎて……
これからも頑張ります!
ハデス「読んでくれてありがとう
これからも応援してくれ
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コメント
相鶴ソウ
Q7 答えは
〈黒鬼隊〉でしたー!