最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
21話 奥の手解禁 とかかっこいいよね
それから半年は瞬く間に過ぎた。
俺は学園に戻り、今まで通りの日々を過ごした。
夏場の訓練はきついが、それでもフロリエルレベルの敵が相手だと思うと休んではいられない。
夏の一大イベントである帝国主催『大魔術武道会』があり、毎年いくつかのチームはエントリーするらしい。
アラン団長の推薦で氷の姫もどうかと聞かれたのだが、俺が回復していないので遠慮すると、俺の耳に入る前に断ってしまったらしい。
来年は必ず出よう。
暑い夏が過ぎ、次第に涼しくなってきた今日この頃。
俺はイザベラさんとよく訓練した訓練所に来ていた。
奥の手の訓練だ。
訓練の結果としては成功したと言える。
俺の今の状態を簡単に言うと雷だ。全身が黄色がかった白っぽい色に変化し、全身からバチバチと、文字通りバチバチと雷が出ている。
よく見ると若干身体が歪んでる。これが完全な雷化らしい。
これは古代魔術。例のアレだ。
自らの体質をその属性に変換させる滅んだ魔術。つまり俺の体を雷に変換させるって事だ。
古代魔術と言うからにはやはり現代の人間が使えなくなった魔術なんだが、俺がなぜ使えるかというと一言で言えば発想の転換と俺の特異体質だ。
古代魔術の発動方法は全身から魔力を放出させて属性変換させればいいのだが、まず魔力がそんなに無い上に、全身から魔力を放出するなんて現代の人たちは出来ない。
魔力に関しては無属性魔術 鏡盾を地面に展開し、雷を下に向けて打てば、雷は何倍にもなって俺に帰ってくるため魔力量は普段の十数倍にもなる。
本来こんな事をすれば魔粒子過摂取で魔力の器から魔力が漏れ身体が爆発するのだが、どうやら俺の魔力は人並みだが、魔力の器だけはとんでもなくでかいらしく問題ないというわけだ。
入学最後の訓練――俺が雷拳を爆発させて聖域を突破しようとした日――でイザベラさんの聖なる輝きを鏡盾で跳ね返した時に思いついた。
イザベラさんに話すと様々な問題面から止められたが、その問題も解決できるという事で習得しようと奮闘中だ。
「お、クロトか? すげぇなぁ、そんなになるのか」
「ん? あぁガイナか」
俺は雷化を解き、ガイナに近づく。
雷化を解く時に一気に体が重くなり、疲労が来るのがわかる。調子に乗って使うのは危険かも……
「まさか古代魔術なんて見られる日が来るとはなぁ」
「まぁ二千年ほど前に滅んだ魔術だしな。俺もこの異常な量の器がなければ無理だったよ」
と、自分のお腹をポンポン叩く。
「でも出来てるんだからすげぇよ。ほら、差し入れだ」
ガイナから渡されたサンドイッチを受け取り俺は休憩することにした。
「そういや、マナ達はどこ行ったんだ?」
「さぁな? どっかで訓練でもしてんじゃねぇーか?」
「ま、そうだよな」
「そんなことより、一ヶ月後のアレどうする?」
「雪山合宿の事か? 行けばいいんじゃないか?」
雪山合宿。
俺達一年生は行くことになっており、雪山に三ヶ月間。山籠りの訓練をするらしい。
ただ強制というわけではなく、貴族なんかだと、危険だからって止めるらしい。
「でもよ、半年前の魔族の件もあるし、お前の脇腹だって完全に回復したわけじゃないだろ?」
そう、エヴァの黒氷の力は思ったよりも強く、半年たった今でも根強く残ってる。
最近は痛むことも減ったが、やはり無理な動きをすると痛む。
「それは大丈夫なんじゃないか? 龍騎士団に天馬騎士団まで護衛に加わるし、もしあいつに遭遇しても五人なら時間稼ぎは出来る。最悪エヴァの黒氷なら超再生も完封できる」
「それは、そうだけどよ。俺は嫌な胸騒ぎがするんだよ」
「でも行かないわけにはいかないだろ? いくら任意参加とは言え、ここで逃げるやつは一族の笑い者だってガイナが言ってたじゃないか」
「俺はそうだが、仲間は違うだろ……?」
「そんな暗い顔するなよ。一戦やろうぜ、俺もあれを戦闘で試してみたいし」
「……お、おう、やるか」
俺とガイナは二十メートルほど間隔を開け向かい合う。
ガイナが構えてる斧は確かディアバレス。筋力を一時的に上昇してくれるが、常に魔力を吸われ続けるって武器だ。これもガーデルさんの失敗作。
そういえば、ガーデルさんの武器には特殊な能力がつくことで有名らしいけど、テンペスターは今のところ何もないな。もちろん性能がいいから十分満足してるが。
「行くぜ」
俺はテンペスターを地面に刺し魔力を込める。
「雷術奥義 雷化・天装衣!!!」
地面に鏡盾を展開し、テンペスターを通して雷を流し、何倍にもなった魔力を吸収。それを同時に全身から放出し、雷に変換。
この一連の動きをすべて合わせて雷化・天装衣だ。
全身が黄色がかった白っぽい色に変化し、バチバチと稲妻が発生する。
「雷化するとどうなるんだ?」
「俺もまだ良くはわかってないけど、魔術が大幅に強化され、魔力も何十倍にも増加する。あらゆる魔術、物理攻撃を無効化し、攻撃を受けても瞬く間に再生させるらしい、あと俺の場合、雷化だから雷の速度を得れる。って書いてあったな」
「なんだそれ、チートだな」
「まぁ、古代魔術って呼ばれるぐらいだしな」
「まぁ、そうか。とりあえず行くぜ」
「ああ」
俺はテンペスターを地面から抜き構える。
「雷帝流 稲妻剣」
一気に踏み込みガイナの後ろに回る。つもりだったが、踏み込み、バチッと音がして俺は気づいたらガイナの後ろ、十メートルほど離れた場所にいた。
「な……」
コントロールが難しすぎる。
「お?いつの間に……」
俺付きすぎた勢いを抑え、止まる。これは練習が必要だな……
「それが雷の速度ってやつか。すげぇな、こっちも全力で行くぜ」
と言って接近するガイナ。図体の割に早いな。
「雷拳、進化……『雷崩拳』。雷術 雷崩拳」
ヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ
手に魔力を込め殴る。今までのような稲妻を纏うのではなく雷そのものをまとった拳だ。
雷崩拳とガイナのディアバレスが衝突し、突風が吹き荒れる。その直後、爆発が起き俺もガイナも吹き飛ばされる。
「いた……くないな……うお、なんだこれ」
衝突したところを中心に土が抉れている。すごいパワーだ。
でも、それより驚いたのは俺の腕だ。ディアバレスと激突した腕が根本から無くなってる。でも、血も出てないし痛みもない。
体が雷そのものになるって事だから、強い衝撃や攻撃を受けると体が散るのか。フンっと力を入れると腕がバチッという音とともに再生した。なんとなくだが扱い方はわかる。
「あいつの超再生に似てるな。痛みが無い分こっちのほうが性能いいか? でも完全に無効化しきれるのかは不安だな、過信してると足元をすくわれるかもしれない」
そんなことを呟きながら俺はガイナに近寄る。
「おい、ガイナ。大丈夫か?」
「う、ああ……なんとかな。しかしディアバレスで最大まで強化した攻撃を素手で弾き飛ばすとは……」
ガイナに手を差し伸べる。
「弾き飛ばすって……俺だってふっ飛ばされた」
「それにしたってなぁ、流石は古代魔術ってことか」
「まぁこれでもまだ完全には使いこなせてない」
と、言ったそばからバチッと音がして雷化がとける。急に身体が疲労を感じ始めた。
「おっと…………十分ってとこか」
「ん?」
「俺が雷化してられるのは十分。体内の魔力が無くなると切れるから、雷術を使えばもっと短くなるな」
「もっと最初に魔力を込めたらどうだ?」
「まぁ言うのは簡単だが、一歩間違えれば体が吹き飛ぶからなぁ……」
いくら俺が特異体質とはいえ、無闇に増幅させたら身体が爆発しかねない。
結局魔力不足って問題は残り続けるが、とりあえず雷化・天装衣は実戦に使えるレベルだろう。この力なら魔族にだって多少は抗えるはずだ。
俺は決意を胸に寮に戻る。
そのあとを慌ててガイナがついてくる。
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
21話、読んでいただき、ありがとうございます。
日曜日なのに1話だけですいません!
今日は家族ででかけてました。
これからどう展開していこうかなーって悩んでるので更新遅くなるかもですがよろしくお願いします。
ガイナ「いってぇ……
容赦ねぇな クロトのやつ
うっし、やるか 読んでくれてありがとな
これからも応援してやるぜ!って方はグッドやコメントよろしくな!
疑問点があればコメントで!よろしく!
またな」
俺は学園に戻り、今まで通りの日々を過ごした。
夏場の訓練はきついが、それでもフロリエルレベルの敵が相手だと思うと休んではいられない。
夏の一大イベントである帝国主催『大魔術武道会』があり、毎年いくつかのチームはエントリーするらしい。
アラン団長の推薦で氷の姫もどうかと聞かれたのだが、俺が回復していないので遠慮すると、俺の耳に入る前に断ってしまったらしい。
来年は必ず出よう。
暑い夏が過ぎ、次第に涼しくなってきた今日この頃。
俺はイザベラさんとよく訓練した訓練所に来ていた。
奥の手の訓練だ。
訓練の結果としては成功したと言える。
俺の今の状態を簡単に言うと雷だ。全身が黄色がかった白っぽい色に変化し、全身からバチバチと、文字通りバチバチと雷が出ている。
よく見ると若干身体が歪んでる。これが完全な雷化らしい。
これは古代魔術。例のアレだ。
自らの体質をその属性に変換させる滅んだ魔術。つまり俺の体を雷に変換させるって事だ。
古代魔術と言うからにはやはり現代の人間が使えなくなった魔術なんだが、俺がなぜ使えるかというと一言で言えば発想の転換と俺の特異体質だ。
古代魔術の発動方法は全身から魔力を放出させて属性変換させればいいのだが、まず魔力がそんなに無い上に、全身から魔力を放出するなんて現代の人たちは出来ない。
魔力に関しては無属性魔術 鏡盾を地面に展開し、雷を下に向けて打てば、雷は何倍にもなって俺に帰ってくるため魔力量は普段の十数倍にもなる。
本来こんな事をすれば魔粒子過摂取で魔力の器から魔力が漏れ身体が爆発するのだが、どうやら俺の魔力は人並みだが、魔力の器だけはとんでもなくでかいらしく問題ないというわけだ。
入学最後の訓練――俺が雷拳を爆発させて聖域を突破しようとした日――でイザベラさんの聖なる輝きを鏡盾で跳ね返した時に思いついた。
イザベラさんに話すと様々な問題面から止められたが、その問題も解決できるという事で習得しようと奮闘中だ。
「お、クロトか? すげぇなぁ、そんなになるのか」
「ん? あぁガイナか」
俺は雷化を解き、ガイナに近づく。
雷化を解く時に一気に体が重くなり、疲労が来るのがわかる。調子に乗って使うのは危険かも……
「まさか古代魔術なんて見られる日が来るとはなぁ」
「まぁ二千年ほど前に滅んだ魔術だしな。俺もこの異常な量の器がなければ無理だったよ」
と、自分のお腹をポンポン叩く。
「でも出来てるんだからすげぇよ。ほら、差し入れだ」
ガイナから渡されたサンドイッチを受け取り俺は休憩することにした。
「そういや、マナ達はどこ行ったんだ?」
「さぁな? どっかで訓練でもしてんじゃねぇーか?」
「ま、そうだよな」
「そんなことより、一ヶ月後のアレどうする?」
「雪山合宿の事か? 行けばいいんじゃないか?」
雪山合宿。
俺達一年生は行くことになっており、雪山に三ヶ月間。山籠りの訓練をするらしい。
ただ強制というわけではなく、貴族なんかだと、危険だからって止めるらしい。
「でもよ、半年前の魔族の件もあるし、お前の脇腹だって完全に回復したわけじゃないだろ?」
そう、エヴァの黒氷の力は思ったよりも強く、半年たった今でも根強く残ってる。
最近は痛むことも減ったが、やはり無理な動きをすると痛む。
「それは大丈夫なんじゃないか? 龍騎士団に天馬騎士団まで護衛に加わるし、もしあいつに遭遇しても五人なら時間稼ぎは出来る。最悪エヴァの黒氷なら超再生も完封できる」
「それは、そうだけどよ。俺は嫌な胸騒ぎがするんだよ」
「でも行かないわけにはいかないだろ? いくら任意参加とは言え、ここで逃げるやつは一族の笑い者だってガイナが言ってたじゃないか」
「俺はそうだが、仲間は違うだろ……?」
「そんな暗い顔するなよ。一戦やろうぜ、俺もあれを戦闘で試してみたいし」
「……お、おう、やるか」
俺とガイナは二十メートルほど間隔を開け向かい合う。
ガイナが構えてる斧は確かディアバレス。筋力を一時的に上昇してくれるが、常に魔力を吸われ続けるって武器だ。これもガーデルさんの失敗作。
そういえば、ガーデルさんの武器には特殊な能力がつくことで有名らしいけど、テンペスターは今のところ何もないな。もちろん性能がいいから十分満足してるが。
「行くぜ」
俺はテンペスターを地面に刺し魔力を込める。
「雷術奥義 雷化・天装衣!!!」
地面に鏡盾を展開し、テンペスターを通して雷を流し、何倍にもなった魔力を吸収。それを同時に全身から放出し、雷に変換。
この一連の動きをすべて合わせて雷化・天装衣だ。
全身が黄色がかった白っぽい色に変化し、バチバチと稲妻が発生する。
「雷化するとどうなるんだ?」
「俺もまだ良くはわかってないけど、魔術が大幅に強化され、魔力も何十倍にも増加する。あらゆる魔術、物理攻撃を無効化し、攻撃を受けても瞬く間に再生させるらしい、あと俺の場合、雷化だから雷の速度を得れる。って書いてあったな」
「なんだそれ、チートだな」
「まぁ、古代魔術って呼ばれるぐらいだしな」
「まぁ、そうか。とりあえず行くぜ」
「ああ」
俺はテンペスターを地面から抜き構える。
「雷帝流 稲妻剣」
一気に踏み込みガイナの後ろに回る。つもりだったが、踏み込み、バチッと音がして俺は気づいたらガイナの後ろ、十メートルほど離れた場所にいた。
「な……」
コントロールが難しすぎる。
「お?いつの間に……」
俺付きすぎた勢いを抑え、止まる。これは練習が必要だな……
「それが雷の速度ってやつか。すげぇな、こっちも全力で行くぜ」
と言って接近するガイナ。図体の割に早いな。
「雷拳、進化……『雷崩拳』。雷術 雷崩拳」
ヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ
手に魔力を込め殴る。今までのような稲妻を纏うのではなく雷そのものをまとった拳だ。
雷崩拳とガイナのディアバレスが衝突し、突風が吹き荒れる。その直後、爆発が起き俺もガイナも吹き飛ばされる。
「いた……くないな……うお、なんだこれ」
衝突したところを中心に土が抉れている。すごいパワーだ。
でも、それより驚いたのは俺の腕だ。ディアバレスと激突した腕が根本から無くなってる。でも、血も出てないし痛みもない。
体が雷そのものになるって事だから、強い衝撃や攻撃を受けると体が散るのか。フンっと力を入れると腕がバチッという音とともに再生した。なんとなくだが扱い方はわかる。
「あいつの超再生に似てるな。痛みが無い分こっちのほうが性能いいか? でも完全に無効化しきれるのかは不安だな、過信してると足元をすくわれるかもしれない」
そんなことを呟きながら俺はガイナに近寄る。
「おい、ガイナ。大丈夫か?」
「う、ああ……なんとかな。しかしディアバレスで最大まで強化した攻撃を素手で弾き飛ばすとは……」
ガイナに手を差し伸べる。
「弾き飛ばすって……俺だってふっ飛ばされた」
「それにしたってなぁ、流石は古代魔術ってことか」
「まぁこれでもまだ完全には使いこなせてない」
と、言ったそばからバチッと音がして雷化がとける。急に身体が疲労を感じ始めた。
「おっと…………十分ってとこか」
「ん?」
「俺が雷化してられるのは十分。体内の魔力が無くなると切れるから、雷術を使えばもっと短くなるな」
「もっと最初に魔力を込めたらどうだ?」
「まぁ言うのは簡単だが、一歩間違えれば体が吹き飛ぶからなぁ……」
いくら俺が特異体質とはいえ、無闇に増幅させたら身体が爆発しかねない。
結局魔力不足って問題は残り続けるが、とりあえず雷化・天装衣は実戦に使えるレベルだろう。この力なら魔族にだって多少は抗えるはずだ。
俺は決意を胸に寮に戻る。
そのあとを慌ててガイナがついてくる。
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
21話、読んでいただき、ありがとうございます。
日曜日なのに1話だけですいません!
今日は家族ででかけてました。
これからどう展開していこうかなーって悩んでるので更新遅くなるかもですがよろしくお願いします。
ガイナ「いってぇ……
容赦ねぇな クロトのやつ
うっし、やるか 読んでくれてありがとな
これからも応援してやるぜ!って方はグッドやコメントよろしくな!
疑問点があればコメントで!よろしく!
またな」
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