最弱属性魔剣士の雷鳴轟く

相鶴ソウ

17話 騎士団が良い人とは限らない

 はじめての授業の日から約一ヶ月が過ぎた。


 武術学科は順調に進んだ。
 独自の流派を使っているため大きな前進はなかったが、荒削りだった疾風流の動きを整えることで黒帝流の精度を上げた。


 総合学科も概ねは順調だった。
 魔物学、地理学、帝都歴学、種族学、魔道具学の五つの授業を日替わりで受け、一通りの知識は頭に入れた。
 これから残り三年半でもっと高度で深いところまでやっていくらしい。
 地理学や、帝都歴学はそれなりにイザベラさんから教えてもらっていたのでスルスル入って来た。
 それ以外で言うと特に興味深かったのは種族学だ。


 種族学とはその名の通り種族について学ぶ。種族とは例えば俺達人間族。他には妖精族、魔族、等がいる。
 これらは流れる血によって決まっている。この世界に存在する血の種類は5種類。人血、竜血、妖血、獣血、魔血だ。


 人血が流れていれば人間族。
 人間族の中にも人血と獣血で獣人族などもいる。基本的に人間族は亜人と人間に分類される。


 妖血が流れていれば妖精族。
 エルフやドワーフがここに当たる。エルフは人血と妖血が流れているので判断が難しいが、妖血の方が多く流れているので妖精族らしい。


 魔血が流れていればは魔族。
 魔族は魔物と魔族・魔人に分かれている。魔族が進化すると魔人になるが、この世界に魔人はほとんど見られていない。


 人間族と人間族の子供だから必ず人間族。と言うわけではないらしい。とは言っても九十八パーセントの確率で親の種族を受け継ぐ。
 七老会が定めていない組み合わせの血を持つものはハーフと呼ばれ迫害を受けたりするらしい。


 さらに血にはそれぞれ固有の力や特性を有している。
 人血は少量の魔力と人型を形成する力。竜血は高い生命力と魔力、竜特有の体質を形成する力。血そのままで回復薬になる効果もある。
 妖血は魔術相性が良く、やや高めの魔力を有する。更に、長寿の傾向にある。獣血は犬、熊、猿、等獣血の中でも分かれており、共通して、体力と腕力に優れている。魔血は闇属性と相性が良く、高い魔力を有する。


 この血の特性はそのまま種族の特性に出ている。


 以上が基本的な種族学の知識だ。


 今まで魔物なら数回見たが、それ以外の種族は見たことがない。
 魔族は北の大陸に住んでいるため滅多に人の前には現れない。妖精族は大魔森に住んでいる種族が多いが、ガイナ曰く妖精族のエルフが公爵にいるらしい。
 大魔森とは大陸の西側に広がる森の事だ。二級から超級までな魔物が生息しており、魔粒子が濃いため通常よりも強い傾向にある。
 境界を武闘男爵と名高いベルガラック男爵家と最強の武闘公爵と呼ばれるアルバレス公爵が守っているらしい。


 話を戻して、魔術学科。問題はここで起こった。


 あれは初魔術学科の授業の日。
 俺達は第二演習場に来ていた。魔術学科の授業は基本的にここで行う。


「私が諸君らの魔術を指導することになったドラゴン騎士団 魔術隊長 アイリーンだ。厳しくするのでそのつもりで」


 おぉ、怖そうな人だ。白い髪をくるくると巻いた若い女の先生。キリっとした目元が特徴的で、言葉や態度からも高圧的な印象を受ける。


「と、授業を始める前に……アルフガルノ、ハルバード、立て」


 ん、俺とエヴァ?
 なんの事か理解できないまま俺たちはその場に立つ。


「なぜ貴様らがここにいる?最弱と……悪魔が」


 俺とエヴァを順番に指差し見下した目で見てくる。こいつ、俺だけならまだしもエヴァまで。アイリーンに飛びかかる寸前の俺をエヴァが止める。
 

「アイリーン先生、なぜ私達はここにいてはいけないのでしょうか?」

「そんなのは決まっている。魔術学科は魔術の才能ある者たちを育成する場だ最弱属性なんて私の授業を受ける資格は無い。悪魔なんて言わずもがなだろう? 私に悪魔を育てろと……?」

「おい!」

「ん? 何だクソガキ」

「黙って聞いてりゃ偉そうに」

「なんだ? その口の聞き方は」

「俺の事だけをバカにするならまだ許せた。だが、仲間を馬鹿にされて黙ってるわけにはいかねーんだよ。勝負だ、俺が勝ったらエヴァが悪魔じゃないと認めろ。お前が勝ったら大人しく出ていく」

「ふっ…………最弱ごときが粋がりやがって。おまけに餓鬼だな、何でもかんでも勝負勝負って……」

「怖いのか?負けるのが」

「私が最弱に負ける? 面白いジョークだな、いいだろう……来い」

「いくぜ。雷術……」

「軽くひねってやる。炎術……」


 俺は手のひらに雷を集め雷丸を作り、それを槍型に変形させる。
魔力を濃縮した雷丸を伸ばした事で全体的に魔力が薄くなっているところを更に魔力を込め、威力を上げる。


「……雷槍」


 雷槍をアイリーン目掛けて投擲の要領で投げる。魔力が乗ってる分、普通の槍よりも投げやすいし、雷の速度補正が乗るから格段に速くなる。


「……火柱」


 アイリーンの手のひらから魔法陣が展開し、火柱が放たれる。二つの技がぶつかり合うその瞬間。誰かが間に入ったのが見える。誰かまでは特定できなかったが、生身で突っ込めば無事では済まないぞ……


「結界術奥義 球状聖域スフィアサンクチュアリ




ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
17話読んでいただきありがとうございます〜!

今回はちょっと短めですね。1700字程度です。
そういえば、第一章が約30話ほどなのでだいたい折返し地点まで来ましたね。
まぁ30話まで行くと第二章が始まるんですが……

最近は見てくれる方も増えてきたのでスピンオフなんかもかけたらなぁとは思ってます!
そこでアンケィトォ!アンケートです。
スピンオフはここにちょくちょく出して行ったほうがいいですか?それとも別でスピンオフだけのものを作ったほうがいいですか?
よろしくお願いします〜!




アイリーン「読んでくれたのか 感謝する

ついで、と言ってはなんだが、グッドやコメント等してもらえるとアイツ作者も喜ぶぞ

ではまたな」

コメント

  • 空白

    血の特ちょうのところでををとなってる所があった
    読んでて楽しいのでこれからも頑張って下さい

    0
  • 相鶴ソウ

    お二人共ありがとうございます!
    単体で書いていこうと思います〜!

    0
  • コング“シルバーバック”

    どっちにしてもいいと思うよ。
    ここでやるなら、一緒に読める利点があるし、別にするならスピンオフが好きじゃ無い人も楽しめるし

    2
  • 狼 叉凛虎

    アイリーンさん舐めてますねぇ
    個人的にはスピンオフ、単体で欲しいです!

    2
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