最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
16話 知性なき魔物にも本能あり
「なかなか美味いな」
俺はシチューを食べながら言う。
「……ん」
わざわざ相槌してくれるエヴァ。
俺達は今、学園の食堂に来ている。午後から総合学科での授業があるから食堂で昼飯を食べておかないと後が持たない。
食堂は全生徒が使用するらしく第ニ校舎の丸々一フロア分のデカさがある。生徒なら誰でもタダで利用できるため皆ここを使うんだそうだ。
それだけの財力には感心するが、国がやってる学園ならこの程度問題ないのかもしれない。王子が通うほどの学園なら、名門って事だろうしな。
「ところでガイナ、斧の授業はどうだった?」
「ん? 豪快で楽しかったぜ」
「一体何したんだか…… マナは? 弓の授業だったよな」
「ええ、どっかの誰かさんが地面を叩き割るなんてことをしなければ最高だったわ」
「だ、だからそれは悪かったって……」
マナのやつ相当怒ってるな。
しかしそこまで怒るほどの事か? 地面を割ったとはいえ落ちるってレベルじゃなくてヒビが入る程度だったらしいし、手元が狂ったと言っても実戦なわけじゃないから問題ない気もするが……ま、黙ってよう。どんまいガイナ。
◇
俺達は昼飯を食べ終えると早速授業に向かった。
総合学科は複数の科目があるのだが、基本的には一日一科目しかやってないので十個ある教室のうちどれかに入って授業を受ければよかった。
十分ほど待つと、紫色の髪の毛を肩まで伸ばした女性の先生が入ってきた。
「はい、それでは総合学科魔物学の授業を始めます。よろしくお願いします〜」
「「「よろしくお願いしまーす」」」
「えー、まず、魔物というのは皆さん知ってますか?」
大半の生徒がうんうんと頷く。
「まぁ知ってますよね。実際に見たことある人はどれぐらいいますか?」
すると三分の一ほどの手が上がる。もちろん俺も。氷の姫の中ではガイナと俺だけだ。
貴族家庭では魔物に出会うような事はそうそうないらしい。逆に俺達みたいな地方出身の者は出会って当たり前、実際に倒している者も少なくは無い。
「ふむふむ、結構いますね。では知っている魔物を上げていってください、自由にどうぞ」
「ゴブリン!」
「はいゴブリンね」
と先生は後ろのスクリーンにゴブリン、と書いていく。
「スライム!」
「ウルフ!」
「オーク?」
「オーガ!!」
「はい。スライム、ウルフ、オーク、オーガ……っと」
スラスラと書いていく。
ゴブリンやスライムはよく森で見たな。ウルフはなかなか見たことなかったが、そういえばあの日、森で傷ついていたウルフを助けたな。
もう随分昔に感じる……まぁ、もう一年たってるからな。
「はい、今五体の魔物の名前が出てきましたね。ではこの魔物たちですが、七老会によって定められたある基準によって分けることができます」
おっと、危ない危ない。
思い出に耽るところだった。
「その基準とは下から順に、三級魔物、二級魔物、一級魔物、超級魔物、伝説級魔物となります」
イザベラさんに教えてもらった話ではミノタウロスはたしか一級だったな。ちょうど真ん中か。あの巨体に力を前に、一年前の俺は何もできなかった。今なら多少は戦えるだろうが、一級であのレベルと考えると、超級や伝説級には敵いそうにないな。
「判断基準ですが、主に知性と強さを天秤にかけてって感じですね。例えばスライムやゴブリンは知性が低く、本能のままに行動する個体が多いので三級です。逆にウルフは知性だけなら二級レベルはありますが、一体一体がそこまで強くないため三級です。なので、もしウルフの群れを単体で見るなら二級魔物になりえるでしょう」
なるほどなぁ。確かにリブ村でもウルフを見たら逃げろが鉄則だったしな。
「二級魔物は多少の知性や統率力があります。オークが二級魔物ですね。ちなみに勘違いしやすいですが、知性が低い魔物は群れを持たない、わけではなく、まとめる力がないため群れを持てない、のです。つまり統率力のある魔物が下級の魔物を従えることはありえます。ですから知性が低いからと言って手を出すと痛い目を見るかもしれません」
この辺については少しだけ知ってるな。ローガン師匠が教えてくれた。
「そして一級魔物は人の言葉を理解できるほどの知性があります オーガはここです
が、実際に理解できる魔物はごく少数です。その希少性や統率力、強さから一級に選ばれている魔物がほとんどです。超級は数体いれば街一つは消せるほどの強さを持つ魔物が多いです。中には人間の言葉を話す種もいるようです」
人間の言葉を話す、かぁ。いつか会うこともあるかもしれないな。
「クロト」
「ん、どうした?エヴァ」
「クロトのあったミノタウロスは、知性あった?」
「うーん、そうだな……」
俺の脳裏にある情景が蘇る。
◇
ずっと母さんを掴んでいたミノタウロスが母さんを離す。
困惑と恐怖が入り混じった表情でミノタウロスを見る母さん。
ミノタウロスは大太刀を腰に添えるように構えるとそのまま母さんの頭を切り落とした。
◇
たしかにあの殺し方は母さんを弄んだようにも見えた。が、実際はわからないな。ただ殺しにくいから離しただけかもしれないし……
「……多少は、あったかな」
「そうなんだ」
「…………最後は伝説級魔物ね。伝説級魔物はその名の通り伝説に出てくるような魔物ばかりです。世界に一体、もしくは数体しか発見されていないような魔物で厄災を引き起こしたりするのはだいたい伝説級の魔物です」
伝説級……遠くからなら見てみたいな。戦いたいとまでは思わないが……
「他にも様々な例外やもっと詳しい事をこれからは話していきます。今日はこれで終わります、お疲れ様でした」
どうも俺達が喋っている間に抗議は進んでいたようで、それだけ言って先生は部屋を出ていった。
早!と思って時計を見ると一時間が経過していた。そんなに経っていたのか!と驚くと同時に自分がかなり授業に熱中していたのだと理解する。
毎日これぐらいの授業なら特に苦になることもないな。
正直イザベラさんに教えてもらっていた時は半日ぶっ通しとかザラにあったからな。
部屋を出た俺達はこのあとの予定について話し合う。
「これからどうする?」
「思ったよりも早く授業が終わったからね。僕は少し行きたいところが……」
「じゃあ、各自解散にするか。また明日、ここでな」
「おう!」
「ええ」
「…………ん」
「ああ!」
俺達はその場で別れた。
俺とエヴァは寮に戻るつもりだったので一緒に寮に向けて歩く。
その日は結局何事も起こることなく過ぎた。これから始まる学園生活に期待や、不安を抱きつつも、俺は一日を終えた。
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
16話読んでいただきましてありがとうございます♪
今回はちょっと面白くなかったかもです……
嵐の前の静けさってこういうことを言うのかもしれませんね。
今回出てきた魔物についての用語は今後乱用していくのでよろしくお願いします♪
イザベラ「あー、あーあーマイクテストマイクテスト
よし!久しぶりね〜!
久々に喋った気がするわ!!
最近はオリジナル料理にハマってるのよね〜
でもこれがなかなか難しくって〜
この前シチューとプリンを混ぜてみたんだけど、あれは失敗だったわ……
ん、あ!あとがきコーナーね
コホン、16話読んでいただきましてありがとうございます
これからも読んでくれると嬉しいです!
感想、質問などありましたらコメントにてお待ちしてます
これからも読むぜ!って方はお気に入り、フォロー等よろしくお願いします!
では!」
クロト「出番が少ないと人はここまで喋るようになるのか」
俺はシチューを食べながら言う。
「……ん」
わざわざ相槌してくれるエヴァ。
俺達は今、学園の食堂に来ている。午後から総合学科での授業があるから食堂で昼飯を食べておかないと後が持たない。
食堂は全生徒が使用するらしく第ニ校舎の丸々一フロア分のデカさがある。生徒なら誰でもタダで利用できるため皆ここを使うんだそうだ。
それだけの財力には感心するが、国がやってる学園ならこの程度問題ないのかもしれない。王子が通うほどの学園なら、名門って事だろうしな。
「ところでガイナ、斧の授業はどうだった?」
「ん? 豪快で楽しかったぜ」
「一体何したんだか…… マナは? 弓の授業だったよな」
「ええ、どっかの誰かさんが地面を叩き割るなんてことをしなければ最高だったわ」
「だ、だからそれは悪かったって……」
マナのやつ相当怒ってるな。
しかしそこまで怒るほどの事か? 地面を割ったとはいえ落ちるってレベルじゃなくてヒビが入る程度だったらしいし、手元が狂ったと言っても実戦なわけじゃないから問題ない気もするが……ま、黙ってよう。どんまいガイナ。
◇
俺達は昼飯を食べ終えると早速授業に向かった。
総合学科は複数の科目があるのだが、基本的には一日一科目しかやってないので十個ある教室のうちどれかに入って授業を受ければよかった。
十分ほど待つと、紫色の髪の毛を肩まで伸ばした女性の先生が入ってきた。
「はい、それでは総合学科魔物学の授業を始めます。よろしくお願いします〜」
「「「よろしくお願いしまーす」」」
「えー、まず、魔物というのは皆さん知ってますか?」
大半の生徒がうんうんと頷く。
「まぁ知ってますよね。実際に見たことある人はどれぐらいいますか?」
すると三分の一ほどの手が上がる。もちろん俺も。氷の姫の中ではガイナと俺だけだ。
貴族家庭では魔物に出会うような事はそうそうないらしい。逆に俺達みたいな地方出身の者は出会って当たり前、実際に倒している者も少なくは無い。
「ふむふむ、結構いますね。では知っている魔物を上げていってください、自由にどうぞ」
「ゴブリン!」
「はいゴブリンね」
と先生は後ろのスクリーンにゴブリン、と書いていく。
「スライム!」
「ウルフ!」
「オーク?」
「オーガ!!」
「はい。スライム、ウルフ、オーク、オーガ……っと」
スラスラと書いていく。
ゴブリンやスライムはよく森で見たな。ウルフはなかなか見たことなかったが、そういえばあの日、森で傷ついていたウルフを助けたな。
もう随分昔に感じる……まぁ、もう一年たってるからな。
「はい、今五体の魔物の名前が出てきましたね。ではこの魔物たちですが、七老会によって定められたある基準によって分けることができます」
おっと、危ない危ない。
思い出に耽るところだった。
「その基準とは下から順に、三級魔物、二級魔物、一級魔物、超級魔物、伝説級魔物となります」
イザベラさんに教えてもらった話ではミノタウロスはたしか一級だったな。ちょうど真ん中か。あの巨体に力を前に、一年前の俺は何もできなかった。今なら多少は戦えるだろうが、一級であのレベルと考えると、超級や伝説級には敵いそうにないな。
「判断基準ですが、主に知性と強さを天秤にかけてって感じですね。例えばスライムやゴブリンは知性が低く、本能のままに行動する個体が多いので三級です。逆にウルフは知性だけなら二級レベルはありますが、一体一体がそこまで強くないため三級です。なので、もしウルフの群れを単体で見るなら二級魔物になりえるでしょう」
なるほどなぁ。確かにリブ村でもウルフを見たら逃げろが鉄則だったしな。
「二級魔物は多少の知性や統率力があります。オークが二級魔物ですね。ちなみに勘違いしやすいですが、知性が低い魔物は群れを持たない、わけではなく、まとめる力がないため群れを持てない、のです。つまり統率力のある魔物が下級の魔物を従えることはありえます。ですから知性が低いからと言って手を出すと痛い目を見るかもしれません」
この辺については少しだけ知ってるな。ローガン師匠が教えてくれた。
「そして一級魔物は人の言葉を理解できるほどの知性があります オーガはここです
が、実際に理解できる魔物はごく少数です。その希少性や統率力、強さから一級に選ばれている魔物がほとんどです。超級は数体いれば街一つは消せるほどの強さを持つ魔物が多いです。中には人間の言葉を話す種もいるようです」
人間の言葉を話す、かぁ。いつか会うこともあるかもしれないな。
「クロト」
「ん、どうした?エヴァ」
「クロトのあったミノタウロスは、知性あった?」
「うーん、そうだな……」
俺の脳裏にある情景が蘇る。
◇
ずっと母さんを掴んでいたミノタウロスが母さんを離す。
困惑と恐怖が入り混じった表情でミノタウロスを見る母さん。
ミノタウロスは大太刀を腰に添えるように構えるとそのまま母さんの頭を切り落とした。
◇
たしかにあの殺し方は母さんを弄んだようにも見えた。が、実際はわからないな。ただ殺しにくいから離しただけかもしれないし……
「……多少は、あったかな」
「そうなんだ」
「…………最後は伝説級魔物ね。伝説級魔物はその名の通り伝説に出てくるような魔物ばかりです。世界に一体、もしくは数体しか発見されていないような魔物で厄災を引き起こしたりするのはだいたい伝説級の魔物です」
伝説級……遠くからなら見てみたいな。戦いたいとまでは思わないが……
「他にも様々な例外やもっと詳しい事をこれからは話していきます。今日はこれで終わります、お疲れ様でした」
どうも俺達が喋っている間に抗議は進んでいたようで、それだけ言って先生は部屋を出ていった。
早!と思って時計を見ると一時間が経過していた。そんなに経っていたのか!と驚くと同時に自分がかなり授業に熱中していたのだと理解する。
毎日これぐらいの授業なら特に苦になることもないな。
正直イザベラさんに教えてもらっていた時は半日ぶっ通しとかザラにあったからな。
部屋を出た俺達はこのあとの予定について話し合う。
「これからどうする?」
「思ったよりも早く授業が終わったからね。僕は少し行きたいところが……」
「じゃあ、各自解散にするか。また明日、ここでな」
「おう!」
「ええ」
「…………ん」
「ああ!」
俺達はその場で別れた。
俺とエヴァは寮に戻るつもりだったので一緒に寮に向けて歩く。
その日は結局何事も起こることなく過ぎた。これから始まる学園生活に期待や、不安を抱きつつも、俺は一日を終えた。
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
16話読んでいただきましてありがとうございます♪
今回はちょっと面白くなかったかもです……
嵐の前の静けさってこういうことを言うのかもしれませんね。
今回出てきた魔物についての用語は今後乱用していくのでよろしくお願いします♪
イザベラ「あー、あーあーマイクテストマイクテスト
よし!久しぶりね〜!
久々に喋った気がするわ!!
最近はオリジナル料理にハマってるのよね〜
でもこれがなかなか難しくって〜
この前シチューとプリンを混ぜてみたんだけど、あれは失敗だったわ……
ん、あ!あとがきコーナーね
コホン、16話読んでいただきましてありがとうございます
これからも読んでくれると嬉しいです!
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では!」
クロト「出番が少ないと人はここまで喋るようになるのか」
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