前世は皆に恐れられた優しき英雄、今世は出来損ないの英雄

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初めての実戦二

 手を引かれて後ろを振り返ると海が真剣な表情で僕を見ていた。
「海、手を離してくれないかな?僕が行かないとみんなが危険にさらせれる」
 海に急かすように言った。
「星夜....僕に戦わせてくれないか?」
「「「!?」」」
 海の言葉に八雲や美鶴、春風は驚きの顔をした。
「...海、こんなときに馬鹿なことは言うんじゃないよ。これは僕の戦いだ」
 僕は、声は優しくしかし表情消えとても冷たい目で言った。
「っ.....だ、ダメなのはわかってる!でも、でも星夜に負けてばかりじゃいられないよ!」
 海は気圧されながらもしっかりと言った。
「海、今は子供みたいなわがままを聞いている時間も惜しいんだ。いつこの電車が壊されてもおかしくはないんだ」
 僕は、真剣な海の目を見て言った。海はそれでもなお、手を離そうとせず逆にさらに強く握ってきた。
 そんな静かな時間が一分二分と経過していく中静かに目を瞑り口を開いた。
「......わかった、いいよ今回だけだ。そのかわり危なくなったら力を貸す。」
 そう言って僕は、鞄から手製の狐のお面を取り出した。
「これを、もうダメだと思ったら顔につけて。これをつけてくれれば、僕の魔力がこもっているからさ......無茶はしないでくれよ?」
 海は一瞬驚いた顔をした後に笑ってお面を受け取った。
「ちょっ!?星夜!しっかりと止めなさいよ!万が一のことがあったらどうするのよ!」
 春風が横から僕の肩を掴んで言ってきた。
 その言葉に賛成するかのように八雲に美鶴が顔を向けてきた。
「大丈夫だよ。その時は僕が責任をもって助ける」
 僕の言葉に不安な表情で見つめてきた。僕はみんなに笑いかけ海の方を向いた。
「頑張れよ。僕たちが、海を待ってる」
「ああ!行ってくる」
 海と拳と拳を打ち付け、僕らに背を向け海は精剣を呼び出し勢いよく走り出した。

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