伝説の賢者は俺の親友のようです。
第4話 雹の親友との再会
18/12/21 17:29 友人の感想を参考にして、後書きに文を追加しました。トリックの内容を明言するものですね。
第3話の直後です。光が氷に触れた直後ですね。
雹視点になります。
ずっと、眠っていた。600年ぐらいだろうか。
氷が溶けるのを感じる。光――愛しい人が来たのだ。
「雹! どういう事だ、俺が愛しい人って! あんたホモだったのか!?」
「違う。光は女の子でしょ、なんでそんな事疑われなきゃいけないの」
「え」
「あ」
「「なんで知ってるの!?」」
「僕は光が知っていて欲しくなさそうだから見ない振りしてただけなんだけど」
「俺はさっきあの側近のエルフが条件は「ヒョウ様の愛しい人が氷に触れる事」だって言ってたから。伝説から俺なら氷を溶けさせられるって思ってたら「愛しい人」なんて言われて驚愕したんだぞ」
「だって事実だし。っていうかその姿って事はあの子招き入れないんじゃ?」
「入れてくれなかったから侵入した。って、うん? 事実? 事実っておい」
「そっか。僕が光が異性として恋愛的な意味で大好きなのは事実だよ。正式な告白はもうちょっと待ってね」
さらっと一息で言い切った。よし、噛まなかったしどもらなかった!
ちょっと早口になったけど、まあそれは許容範囲内だ。
「さりげなく緊張してんな、雹。珍しい」
「悪い!? 好きな子に好きだって言う事に緊張するぐらいの神経は僕も持ってるんだからね!?」
光がぽつりと零した呟きに、思わず逆ギレしたように返してしまった。
「いや、何も悪く無い。むしろ嬉しい」
「え?」
さらっとなんか変な事言われたような。
「ついさっき、雹への恋心を自覚したばかりだったからな。こっちから告白するのも恥ずかしかったし、逆ギレする雹なんてレアな姿も見れたし、こっちは大満足だ」
「えっ?」
こい……故意? 鯉?
え?
「うん? 聞こえなかったか?」
「こ、こいごころって!」
「ああ。
世界に誓約します。私、空澄《みすみ》光《ひかる》は、あなた、雪川《ゆきかわ》雹《ひょう》に恋をしています。これに嘘はありません」
光の周りにキラキラと光が舞い、誓約した内容が正しい事を証明する。
ほんとう、なんだ……。
「雹、あなたは?」
不安げに揺れる瞳に、はっとする。
光も、緊張してるんだ。
「え、当然。
世界に誓約しよう。僕、雪川雹は、空澄光に惚れている、恋情を抱いている。これに嘘は無い」
僕の周りに光が舞い散り、誓約した内容が正しいと証明する。
「光。僕とお付き合いしてください」
「喜んで」
僕らの距離が自然と縮まり、唇が重なり合――
「きさま! ヒョウ様を害するのは許さ……へ?」
重なり合う、寸前。側近が突然部屋に飛び込んできた。
そして側近は間抜けな声を出し、そのまま硬直する。
……いま良い所だったのに、邪魔しやがって。側近だと言うなら空気ぐらい読めよ。
おっと。光が飛びのいて逃げようとしたので、氷で捕獲する。
「え!?」
驚き、抜け出そうともがく光。
うわ、凄い。氷がもう破られそうだ。
「絶対に逃がさないように、練習したのに……」
「うん、逃げる気は無いから。雹からあのエルフの男を保護してやりたいだけだから」
ぽつりと呟きを零すと、光は抜け出そうとするのを止め、そんな事を言って来た。
あいつは女だ。だが、光は勘違いしている。まあ、無理も無い。紛らわしい格好をしているあの女が悪い。
しかし、何故? 何故光はあの女を庇おうとする?
「……なんで?」
「彼の能力は惜しい。帰るにはまた魔王討伐しなきゃいけないんだけど、あれが仲間に居ればだいぶ楽になる。だから死なせないで欲しい」
「浮気の可能性は「は!? ある訳無いだろう! 俺が雹以外の男が大っっ嫌いなのは知ってるだろ!?」
光の慌てた様子の返答に、闇に傾いていた精神が一気に落ち着いた。
確かに光は男嫌いだ。僕相手だと近くに居たりするぐらいは大丈夫なのだが、僕以外の男だと手を伸ばしても触れられないぐらいの距離じゃないと接さない。僕だが彼女に触れられる距離で居られる。それが、僕を特別な人と行動で示しているようで、とても嬉しかった。
「うん、知ってる。でも、あれは女。やたら言動が男っぽいけど、一応性別は女だよ?」
ちょっと不本意だけど、後々バレた時に叱られる方が嫌なので光に教える。
「えええ!?」
「うっさい! 私は女だ! 悪いか! 下劣な侵入者にわざわざ訂正してやる義理なぞ無いわ! ……って、うん?」
ようやく硬直から回復した側近……いや、エルフは光の驚きに反論し、そのまま僕を見つめて固まった。
……そういえばアレの名前ってなんだったっけ? まあ、光に暴言を吐くようなヤツは名前を知る必要も無いか。
「ひひひひヒョウ様!?」
「誰だそれは。まあいいけど。雹=雪川、無事氷の眠りから目覚めました。あ、この子が僕の最愛の人だから」
光の肩を抱き寄せ、宣言する。
「……は?」
ぽかんとするエルフ。口が開いてるよ?
「光=空澄です」
瞬時に美麗なドレス姿に変身し、綺麗なカーテシーで挨拶する光。
「このひとが、ヒョウ様の、恋人?」
呆然とした様子のエルフ。光は綺麗だろう。
「うん、そうだね」
「恋人となったのはつい先ほどですが、確かに私と雹は恋人です」
光は口調も女性のものに切り替えたようだ。大人しめの口調も素敵だ……。
「と、とんでも無いご無礼を! 申し訳ありません!」
ガバッ、と土下座するエルフ。
「無理も無いですし、許します。ですから、その姿勢を止めてくれませんか?」
光はするりと僕の腕から抜け出し、エルフを助け起こす。
ひとつひとつの動作がたおやかで、お淑やかな姫のようだ。
エルフ……いや、側近は、光に助け起こされるがままに体を起こし、姿勢を正す。
「ありがとうございます。……ヒョウ様、私はいかなる処罰も受ける所存でございます。是非、罰を」
緑色の瞳で僕を見据え、そう言った側近。
「じゃあ、光に仕えろ。僕らが帰るためのサポートを全力で行え。余った分の罰は光に任せるよ」
「え、そうですか? なら、私からは何もありません。魔王討伐に協力してくれればそれで。他は貸しという事で、ツケにしておいてください」
「わ、わかりました! では、まずは魔王についての情報を纏めてまいります」
敬礼した側近は、そのまま部屋を飛び出していった。 
という訳で、トリックその1、光は実は女でした。
口調は男だし、側近が男だと言っていたので勘違いしていた人も居るのではないでしょうか。
トリック2は、召喚された時間が600年近く離れている、という事なのですが、その辺は雹の「600年眠っていた」しかそれらしい描写が無いので、判る人は居ないかもしれませんね。
第3話の直後です。光が氷に触れた直後ですね。
雹視点になります。
ずっと、眠っていた。600年ぐらいだろうか。
氷が溶けるのを感じる。光――愛しい人が来たのだ。
「雹! どういう事だ、俺が愛しい人って! あんたホモだったのか!?」
「違う。光は女の子でしょ、なんでそんな事疑われなきゃいけないの」
「え」
「あ」
「「なんで知ってるの!?」」
「僕は光が知っていて欲しくなさそうだから見ない振りしてただけなんだけど」
「俺はさっきあの側近のエルフが条件は「ヒョウ様の愛しい人が氷に触れる事」だって言ってたから。伝説から俺なら氷を溶けさせられるって思ってたら「愛しい人」なんて言われて驚愕したんだぞ」
「だって事実だし。っていうかその姿って事はあの子招き入れないんじゃ?」
「入れてくれなかったから侵入した。って、うん? 事実? 事実っておい」
「そっか。僕が光が異性として恋愛的な意味で大好きなのは事実だよ。正式な告白はもうちょっと待ってね」
さらっと一息で言い切った。よし、噛まなかったしどもらなかった!
ちょっと早口になったけど、まあそれは許容範囲内だ。
「さりげなく緊張してんな、雹。珍しい」
「悪い!? 好きな子に好きだって言う事に緊張するぐらいの神経は僕も持ってるんだからね!?」
光がぽつりと零した呟きに、思わず逆ギレしたように返してしまった。
「いや、何も悪く無い。むしろ嬉しい」
「え?」
さらっとなんか変な事言われたような。
「ついさっき、雹への恋心を自覚したばかりだったからな。こっちから告白するのも恥ずかしかったし、逆ギレする雹なんてレアな姿も見れたし、こっちは大満足だ」
「えっ?」
こい……故意? 鯉?
え?
「うん? 聞こえなかったか?」
「こ、こいごころって!」
「ああ。
世界に誓約します。私、空澄《みすみ》光《ひかる》は、あなた、雪川《ゆきかわ》雹《ひょう》に恋をしています。これに嘘はありません」
光の周りにキラキラと光が舞い、誓約した内容が正しい事を証明する。
ほんとう、なんだ……。
「雹、あなたは?」
不安げに揺れる瞳に、はっとする。
光も、緊張してるんだ。
「え、当然。
世界に誓約しよう。僕、雪川雹は、空澄光に惚れている、恋情を抱いている。これに嘘は無い」
僕の周りに光が舞い散り、誓約した内容が正しいと証明する。
「光。僕とお付き合いしてください」
「喜んで」
僕らの距離が自然と縮まり、唇が重なり合――
「きさま! ヒョウ様を害するのは許さ……へ?」
重なり合う、寸前。側近が突然部屋に飛び込んできた。
そして側近は間抜けな声を出し、そのまま硬直する。
……いま良い所だったのに、邪魔しやがって。側近だと言うなら空気ぐらい読めよ。
おっと。光が飛びのいて逃げようとしたので、氷で捕獲する。
「え!?」
驚き、抜け出そうともがく光。
うわ、凄い。氷がもう破られそうだ。
「絶対に逃がさないように、練習したのに……」
「うん、逃げる気は無いから。雹からあのエルフの男を保護してやりたいだけだから」
ぽつりと呟きを零すと、光は抜け出そうとするのを止め、そんな事を言って来た。
あいつは女だ。だが、光は勘違いしている。まあ、無理も無い。紛らわしい格好をしているあの女が悪い。
しかし、何故? 何故光はあの女を庇おうとする?
「……なんで?」
「彼の能力は惜しい。帰るにはまた魔王討伐しなきゃいけないんだけど、あれが仲間に居ればだいぶ楽になる。だから死なせないで欲しい」
「浮気の可能性は「は!? ある訳無いだろう! 俺が雹以外の男が大っっ嫌いなのは知ってるだろ!?」
光の慌てた様子の返答に、闇に傾いていた精神が一気に落ち着いた。
確かに光は男嫌いだ。僕相手だと近くに居たりするぐらいは大丈夫なのだが、僕以外の男だと手を伸ばしても触れられないぐらいの距離じゃないと接さない。僕だが彼女に触れられる距離で居られる。それが、僕を特別な人と行動で示しているようで、とても嬉しかった。
「うん、知ってる。でも、あれは女。やたら言動が男っぽいけど、一応性別は女だよ?」
ちょっと不本意だけど、後々バレた時に叱られる方が嫌なので光に教える。
「えええ!?」
「うっさい! 私は女だ! 悪いか! 下劣な侵入者にわざわざ訂正してやる義理なぞ無いわ! ……って、うん?」
ようやく硬直から回復した側近……いや、エルフは光の驚きに反論し、そのまま僕を見つめて固まった。
……そういえばアレの名前ってなんだったっけ? まあ、光に暴言を吐くようなヤツは名前を知る必要も無いか。
「ひひひひヒョウ様!?」
「誰だそれは。まあいいけど。雹=雪川、無事氷の眠りから目覚めました。あ、この子が僕の最愛の人だから」
光の肩を抱き寄せ、宣言する。
「……は?」
ぽかんとするエルフ。口が開いてるよ?
「光=空澄です」
瞬時に美麗なドレス姿に変身し、綺麗なカーテシーで挨拶する光。
「このひとが、ヒョウ様の、恋人?」
呆然とした様子のエルフ。光は綺麗だろう。
「うん、そうだね」
「恋人となったのはつい先ほどですが、確かに私と雹は恋人です」
光は口調も女性のものに切り替えたようだ。大人しめの口調も素敵だ……。
「と、とんでも無いご無礼を! 申し訳ありません!」
ガバッ、と土下座するエルフ。
「無理も無いですし、許します。ですから、その姿勢を止めてくれませんか?」
光はするりと僕の腕から抜け出し、エルフを助け起こす。
ひとつひとつの動作がたおやかで、お淑やかな姫のようだ。
エルフ……いや、側近は、光に助け起こされるがままに体を起こし、姿勢を正す。
「ありがとうございます。……ヒョウ様、私はいかなる処罰も受ける所存でございます。是非、罰を」
緑色の瞳で僕を見据え、そう言った側近。
「じゃあ、光に仕えろ。僕らが帰るためのサポートを全力で行え。余った分の罰は光に任せるよ」
「え、そうですか? なら、私からは何もありません。魔王討伐に協力してくれればそれで。他は貸しという事で、ツケにしておいてください」
「わ、わかりました! では、まずは魔王についての情報を纏めてまいります」
敬礼した側近は、そのまま部屋を飛び出していった。 
という訳で、トリックその1、光は実は女でした。
口調は男だし、側近が男だと言っていたので勘違いしていた人も居るのではないでしょうか。
トリック2は、召喚された時間が600年近く離れている、という事なのですが、その辺は雹の「600年眠っていた」しかそれらしい描写が無いので、判る人は居ないかもしれませんね。
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