エタニティオンライン
無垢なる絶望
アキ達は時計塔に徐々に近づいていく。
『作戦決行まで、残り四分』
「テンマ、体力はまだあるのか?」
「ふん、心配には及ばんよ。私にはまだやることがあるのでな。こんなところで野垂れ死にするわけにはいかない」
「ああ、頼んだよ。友人が二人もその妖刀に吸い殺されたんじゃ、たまったもんじゃない」
アキとテンマは皮肉交じりに笑い合いながら、更に歩みを進めた。
『作戦決行まで、残り三分』
「……周囲にNPC以外の人影はない。……当然といえば当然だな」
「みんなログアウトしたか、引きこもってるかしてるのかなぁ?」
クオンは首を傾げながら街並みを眺めて歩き続ける。
『作戦決行まで、残り二分』
「でもやっぱり、最後まで楽しませてくれるよねぇ。このグループって」
「恐らくこの先もずっと、忘れられはしないわね」
「あっれ? もしかして生きて帰れるって信じてるぅ?」
「もちろん。みんなでログアウトするのよ」
「なんだよクソ真面目に~」
青龍は「ちぇっ」と口を尖らせた。
カトレアの言葉に、アキの心はチクリと痛んだ。
『作戦決行まで、残り一分』
精鋭隊は時計塔の前に到着した。時計塔の真下にはまるで深淵に通じているかのような、漆黒の穴が浮かんでいる。ログアウトホールは、わざわざ逃げ道を用意するようにして口を開けていた。
「よしでは、これから作戦内容の詳細を説明するその前に────作戦を決行しようと思う」
「んん? 他のみんなが集まってからするんじゃないの?」
途端に、アキは「ごめん!」とその場で大きく頭を下げると同時に、テンマが大声を上げた。
「作戦開始ッ!!」
アキは精鋭隊の面々をかき分けて、堂々とログアウトホールへと歩いていく。その動作は決して早くなく、しかし迷いもなかった。
「待ってよアキ! どういうことなの!」
アキは何も応答せずにログアウトホールへと歩いていく。アキがあと五歩……四歩……三歩でログアウトホールへ到達する直前────異変が起きた。
テンマらの頭上を何かが飛び越え、まるで硬いものを殴打したような鈍い音と同時に、周囲に砂煙が舞い上がった。
石畳の隙間にある砂が、衝撃と風圧で巻き起こったのだとテンマは察知し、再び荒々しく声を上げた。
「皆距離を置け! 視界が悪い!」
砂煙の下からは、おびただしい量の血液が石畳の隙間を流れてきていた。
カトレアがたまらず呼びかけた。
「アキ! 無事なら返事をなさい!」
砂煙の中にいるアキから返事はない。
カトレアが咄嗟に距離を置いた面々を確認すると、アキの他に一人、姿がなかった。
砂煙が風に流され、徐々にその光景を露わにしていく。テンマが頬に汗を伝わせながら、口元を引きつらせた。
「やはり、貴様が『協力者』だったな────」
そこに立つ『協力者』は、血みどろになったアキの頭髪を持ち上げながら穏やかに笑っていた。
場の空気が凍りついた。
「ダメだよ、勝手にログアウトさせちゃあ」
カトレアは驚愕のあまり両手で口を押さえ、立ち尽くしている。その両隣の白虎と青龍は静かに武器を構えた。
「────クオン……!」
『作戦決行まで、残り四分』
「テンマ、体力はまだあるのか?」
「ふん、心配には及ばんよ。私にはまだやることがあるのでな。こんなところで野垂れ死にするわけにはいかない」
「ああ、頼んだよ。友人が二人もその妖刀に吸い殺されたんじゃ、たまったもんじゃない」
アキとテンマは皮肉交じりに笑い合いながら、更に歩みを進めた。
『作戦決行まで、残り三分』
「……周囲にNPC以外の人影はない。……当然といえば当然だな」
「みんなログアウトしたか、引きこもってるかしてるのかなぁ?」
クオンは首を傾げながら街並みを眺めて歩き続ける。
『作戦決行まで、残り二分』
「でもやっぱり、最後まで楽しませてくれるよねぇ。このグループって」
「恐らくこの先もずっと、忘れられはしないわね」
「あっれ? もしかして生きて帰れるって信じてるぅ?」
「もちろん。みんなでログアウトするのよ」
「なんだよクソ真面目に~」
青龍は「ちぇっ」と口を尖らせた。
カトレアの言葉に、アキの心はチクリと痛んだ。
『作戦決行まで、残り一分』
精鋭隊は時計塔の前に到着した。時計塔の真下にはまるで深淵に通じているかのような、漆黒の穴が浮かんでいる。ログアウトホールは、わざわざ逃げ道を用意するようにして口を開けていた。
「よしでは、これから作戦内容の詳細を説明するその前に────作戦を決行しようと思う」
「んん? 他のみんなが集まってからするんじゃないの?」
途端に、アキは「ごめん!」とその場で大きく頭を下げると同時に、テンマが大声を上げた。
「作戦開始ッ!!」
アキは精鋭隊の面々をかき分けて、堂々とログアウトホールへと歩いていく。その動作は決して早くなく、しかし迷いもなかった。
「待ってよアキ! どういうことなの!」
アキは何も応答せずにログアウトホールへと歩いていく。アキがあと五歩……四歩……三歩でログアウトホールへ到達する直前────異変が起きた。
テンマらの頭上を何かが飛び越え、まるで硬いものを殴打したような鈍い音と同時に、周囲に砂煙が舞い上がった。
石畳の隙間にある砂が、衝撃と風圧で巻き起こったのだとテンマは察知し、再び荒々しく声を上げた。
「皆距離を置け! 視界が悪い!」
砂煙の下からは、おびただしい量の血液が石畳の隙間を流れてきていた。
カトレアがたまらず呼びかけた。
「アキ! 無事なら返事をなさい!」
砂煙の中にいるアキから返事はない。
カトレアが咄嗟に距離を置いた面々を確認すると、アキの他に一人、姿がなかった。
砂煙が風に流され、徐々にその光景を露わにしていく。テンマが頬に汗を伝わせながら、口元を引きつらせた。
「やはり、貴様が『協力者』だったな────」
そこに立つ『協力者』は、血みどろになったアキの頭髪を持ち上げながら穏やかに笑っていた。
場の空気が凍りついた。
「ダメだよ、勝手にログアウトさせちゃあ」
カトレアは驚愕のあまり両手で口を押さえ、立ち尽くしている。その両隣の白虎と青龍は静かに武器を構えた。
「────クオン……!」
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