サンタクロースパイ

COLK

32.実は夢だった

霧河は泣いた。




そして・・・・・・




〝ガバッ〟




ここは、談話室のソファーだ。




(うっ。何だ夢か~)




夢から覚め、とても寂しい気持ちになった。だがそこで、
「父さん、母さん、ありがとう」と夢の中とはいえ、
自分の成長ぶりを誉めてくれた両親にお礼を言った。




そこで、この前、霧河とサンタクロースの話をした女性社員が
お茶を持って歩いてきた。




「あ!霧河君!!気がついた!?」
「うん」
「良かった~!!霧河君、寝ながら泣いてたから、私、とっても
心配しちゃったわよ!!」
「え?僕、泣いてたの!?」
「うん」
「そうか~」
「あのね、霧河君、クリスマスは、ハメを外してパ~ッ!と
遊びたくなる気持ちも分かるけど、自分の身体や睡眠も大事に」してよね!!」
「う、うん。分かったよ」




(夢の中で母さんが言ってた事は、本当にその通りだった。
俺は、あの時からずっと孤独だと思ってたけど、ただの思い込み
だった!!俺はもう、とっくに一人なんかじゃなく
なってたんだ!!!さっきの同僚もちゃんと声かけてくれたし、
この娘も、そして、
クリスマスの日、ドジを踏んで姿を見られちゃった子供達も皆、
喜んでくれてた!!)




そこで思わず、また泣いてしまった。




「ん?霧河君、どうしたの!?また泣いてるじゃない!?」
霧河は涙を拭き、
「いや、何でもないよ。目にゴミが入っちゃっただけ(笑)。
ありがとうね」と言った。
「全然全然。良いわよ。どうって事ないわよ。じゃ、私、そろそろ仕事に戻るから!!霧河君も、そのお茶飲んだら、
仕事に戻ってね。もし、今日、もう仕事をする余裕がないなら、
帰っても良いし」と言って、彼女はその場を去ろうとする。




だが、霧河はもう一度、彼女を呼んだ。




「あ、あのさ、もう一つ、お礼を言いたいんだけど・・・」
「何?」
「僕なんかの事、この部屋まで運んでくれて、心配までしてくれてありがとうね!!!」
「え?何言ってんの?仕事の仲間を心配するのは当たり前でしょ?それと、自分の事、〝なんか〟なんて言うの良くないわよ?」
「でも、嬉しかったんだ!!」
「そう?じゃあ!!」
「あの娘、本当に良い娘だな!!!さっき心配してくれたヤツらもそうだけど」




その後、霧河は、しっかり仕事を頑張った。

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