幼馴染を追って異世界へ 〜3億課金した最強アカウント × 【超重力属性】を使って〜

甲殻類

16話 レベル上げ 1

 
 俺たちは宿屋に帰り、ホルドさんと俺シロネの3人で卓を囲んでいた。


 3人は神妙な顔で、お互いを見つめあっている。ホルドさんちょっと顔赤い怖い。


 そう、議題は俺冒険者になれんかったどうしようだ。


「さて、まず俺は冒険者になれんかったわけだ。これからどうすればいいと思う?」


「「学園に入学する」」二人同時に言う。


 まぁそれは分かっていたことなので、確認程度に聞いてみたんだが同時に言うかね…


「でも確か学園の入学試験って来月の中旬頃だった気がするわ。いろんな村から入学希望者が来て、この時期は賑わうわね」




 来月か…ただ今のレベルのままだと恐らくーー


「アキトの今の実力だと入学は難しいんじゃないかの?」


 そうそれ、今のままだと実力不足だ。


「ああ、多分足りん。ただ周りの実力が全くわからんというか入学試験って何すんだ?」


 何かないかと問いかけるとシロネがホルドさんの方を見る。


「ホルドは試験官の補佐したことあったんじゃなかったかの?」


「もう昔のことだけどね。まだ変わってないとしたらそうね、試験は毎年違うみたいなの、


対策を練らせない目的でね。ただ、周りのレベルはその年によってまちまちだって聞くわ。


そこは私にも未知の領域ね」




 なるほど試験内容は置いといて、まずは試験日までともかく上げれるだけレベルを上げることだな。


 試験内容は予測したって限度があるし、対応力を磨いておけばどうにかなるだろう。


 さてと、レベル上げだがどうするか…




「特訓するしかないの」


 シロネは俺と同じことを考えてたみたいだ(まぁ俺が考えてたのはレベルアップだが)
「近くに森があるわ、そこなら特訓にもってこいだと思う」


 まぁそこなら遠慮なしにレベルを上げれるだろう。俺は出されていた飲み物を飲み干す。


「わしも特訓に付き合ってやる」


 ニヤリとシロネは笑う。ホルドさんは店番があるからついていけないけどご飯は用意しといてくれるらしいーーなんて心強い


 因みに宿屋の料金だが、出世払いでいいとホルドさんに言われている。


「特訓は明日の朝から始めるからの」


「了解した」


 シロネは先に部屋に戻った。どうやら特訓の内容を考えるらしい。そしてデザートを食べていると厨房から戻って来たホルドさんが怖いことを言う。




「シロネちゃんの特訓ただただきついから気をつけてね」


 それを言うとホルドさんはまた厨房に戻って行った。さりげなく飲み物のおかわりまで入れてくれていた。


 優しさと、いたずら具合が本当バランスの取れた良い人である。ほんとに…




 俺は部屋に戻り、アイテムボックをいじっていた。明日レベル上げに使うアイテムを選別している。


 入学試験か…紙のテストじゃないだけましと捉えるべきだな。




 1ヶ月で知識詰め込むよりかは現実的だ。















 俺達は朝ごはんを食べてから、今森にいる。


 転生して以来の森だ、あまりいい思い出がないが…


 シロネは森の中に入ってからは影から出ている。適当な場所を見つけると急にテントを組み立て始める。


 え?街に帰るんでそーー


 そう思っているとシロネはものすごい速さでテントを組み立てて行く。手際が良すぎる。


「言っておくが宿屋には戻らんのじゃ、これから1ヶ月間この森に篭る」


 またまたご冗談を…と思っているとシロネはテントを組み立て終わる。


「ホルドも了承済みじゃ観念するのじゃな」




 俺は心を整理するーーさらばホルドさんのご飯よ1ヶ月後また会おうね。


 心の中で感涙し、ある程度泣いた後心を切り替える。


「よしっそれじゃあ始めるかの」




「ちょっと待ってくれ、準備したいことがある」


 俺はそう言うとアイテムボックスを開きとあるアイテムを取り出す。


「わかったのじゃ」




 取り出したアイテムは経験値効率アップアイテムだ。経験値10倍の書、5倍の書。この二つは基本組み合わせて使う。


 このアイテムはOOPARTSで10連ガチャを10回回すと必ずどちらか1つ貰える。当時俺は貧乏性だったので使い渋っていた。


 結局このアイテムは使わずレベル100に達したためずっとアイテムボックスの奥深くで眠っていた。


 経験値の書はレベル100になるとゲーム内通貨に換金できたが、この世界のルーエにはならないので使わないと勿体ない。




「よっしOK」


 俺は経験値の書を使う。これの効果時間は約半日なので1日2つ、5倍と10倍使うので1日4つの消費だ。だが、俺の10連を回した回数は尋常じゃないので余裕で保つ。




「それじゃあ特訓内容を説明するのじゃ」


 特訓内容は、まず俺のスキル『和衷協同』を使う、そしてシロネはスケルトンを召喚する。


 シロネは1日20体までスケルトンを作成可能で、ストックはものすごい数いるらしい。


 それを召喚してもらい俺はそいつらを相手に特訓する。ただ、それだと和衷協同の半分しか効果を発揮しないのでシロネにも手伝ってもらう。


 シロネは自分で召喚したスケルトンを森中に放ち、魔物を片っ端から倒す。さらに森だけでなく他の森にも飛ばし倒していく。


 シロネとスケルトンの経験値は繋がっており、スケルトンが得た経験値をシロネが獲得することができる。


 さらに和衷協同で取得経験値が上がっており、それが俺の元へ同じだけの経験値が入ってくる仕組みだ。


 俺は努力値をもっと得るためシロネには特訓相手としても手伝ってもらう。スケルトン&シロネ対俺という形でやる。




 これだけやればかなり早くレベル上げができる。




「さて、やりますかな」




 俺は目の前にいる3体のスケルトンと対峙する。最初はシロネは参加しない、徐々に慣れたらスケルトンの数を増やし、シロネも参戦する。




「では、始めるのじゃ」


 そう言うとシロネは3体のスケルトンを出しその場を離れる。シロネは森中にスケルトンを放つ準備を始める。


 街の近くは魔物が少ない、なので違う森にも派遣する。スケルトンの制御は1番得意らしく、シロネは胸を張っていた。


 スケルトンは途中で誰かにもし倒されてもそれまで貯めた経験値はシロネに入る仕組みになっているらしい。






 さてと、俺は眼前のスケルトン3体を見る。


 3体それぞれ違う武器を持っている…片手剣、弓、杖の3体しかも魔法武器。魔法武器は


通常の武器とは違う、魔法武器はその人の得意な魔法の能力を上げさらに武器にも魔法が付


与されるので威力が違う。




 ーーいきなりハードすぎんかね




 考えてはダメだろう…ここは当たって砕けろ精神で俺は強く踏み込む。


 俺は一気に距離を詰め片手剣を持っている前衛のスケルトンの懐に入り込みスキル『重力拳<グラビティナックル>』を放つ。


 完全に直撃し、重力波がスケルトンに追撃する。盗賊の時よりも上手く打ち込めた。




 しかし




 スケルトンは全く動じていず、ダメージがほとんど無いかのようにすぐに反撃に転じてくる。


 俺はすぐさま距離をとる。




 まじかよスケルトン自体打撃技には弱いはずなんだけどな…


 恐らくレベル10以上の差がある、OOPARTSではレベル10以上の差が魔物とあると弱点を攻撃しても倍率が変わらなくなる。


 今の俺のレベルは11、恐らくこのスケルトンのレベルは21以上になると推測する。


 俺はこのスキルしか今のところ無いのでレベルが上がるまでは攻撃を避け続けるしか無い。


 今度は遠距離から狙いすまされた魔法の矢が1本飛んでくる。


 OOPARTSはスキル攻撃にはスキルでしか防御できず、魔法には魔法でしか防御できない。魔法が付与された矢だと魔法でしか撃ち落とすことはできない。


 俺は後方に飛んで足元を狙われた矢を躱す。
 矢の刺さったとこの地面が円を描いたように抉れる。


 後方へ飛んだ瞬間、片手剣をもったスケルトンが距離を詰めてくる。




 スケルトンは表情が変わらないので迫られるとかなりの恐怖感が込み上げてくる。
 そのままスケルトンは振りかぶり俺に斬りかかる。


 斬りかかられる瞬間後方で杖を持ったスケルトンが魔法を発動したことを確認する、基礎支援魔法『物理攻撃上昇<アクトアップ>』だ。


 これで斬られると今の俺ではかなりのダメージを受けてしまう…俺はすぐにスキル『重力拳』をその斬撃を右に躱した瞬間に剣の柄を狙い放つ。


 狙い通り柄の部分に当たりスケルトンはその衝撃に耐えられず剣を後方へ飛ばしてしまう。 


 俺はその体制からスケルトンにタックルをかましスケルトンを突き飛ばす。


 金属が擦れるような音がスケルトンから響き、地面にそのまま直撃する。




 こちらからタックルしたはずなんだがな…痛すぎる。


 よく見てみると今吹き飛ばしたスケルトンの手が欠けている。部分々に放てばしっかりダメージを入れられることがわかった


 ただ何発も放つことはできない…確実なところで放たないと3体倒すことは出来ない。




 俺に追い討ちをかけるように杖を持ったスケルトンが吹き飛ばしたスケルトンを回復魔法『低級回復<ライトヒーリング>』を放ち、さっき欠けた手が元に戻る。


「こりゃ参ったね……」




 俺は絶望する…




 くそっ地道に時間を掛けてやるしかねぇ。








 そう、まだレベル上げは始まったばかりなのである。



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