奴隷を助けたはずが奴隷になったのでタスケテください!

金丸@一般ユーザー

12 さようなら、アポテネス

訪れたばかりの星を割ってしまった。

それに、アポテネスはガレキさえ残っていない。

ただ、吹き飛ばされずにいた人は多いようだ。

ポーロが俺へ近づいて、指をさす。

「あなた、どう責任を取るつもりか説明しなさい!」

おいおい、俺に責任を全部押し付ける気か。

その声を目印にして、人々が集まってゆく。

「ポーロ防衛ぼうえい大臣の言う通りだッ!」

「ポーロ防衛大臣、事態の説明を!」

「ポーロ防衛大臣、よそ者のしわざならば、どう責任を取るおつもりですか!」

ぼうえい、だいじん……?

「ポーロさん、都市行政の要人でしたか」

彼女は、さして大きくもない胸を張る。

そして、魔法で作りだした眼鏡らしきモノをかける。

「いかにも、私が、防衛大臣です。

 しかも、この都市初の女性大臣ですよ!」

ポーロは自慢げにそう言った。

「あの屋敷は、いわゆる軟禁なんきん施設だと思っていました」

「物事には、二面性があります。ジェイクも魔法厚生大臣ですよ。

 ローランドは……、出入管理部警備部隊長と地味かもしれません」

人々がさわぐ。

「いったい、何がこの国で起きているんだ!?」

「説明は!? 説明はまだなのッ!??」

「せつめい、だアーーーーーーーーッ!」

「ポーロ防衛大臣、説明責任を果たさないおつもりですかッ!」

やがて、人々はポーロ防衛大臣と叫び、説明を求めるだけの集まりに変わる。

「ポーロ防衛大臣! 説明責任!」

「ポーロ防衛大臣! 説明責任!」

「ポーロ防衛大臣! 首相は引責辞任ですかッ? それとも解散総選挙ですかッ!?」

リーシェを見る。

彼女は、ノアの魔法による治療を受けていた。

ノアが俺の目線に気づいたようだ。

「いっそのこと、砂漠を渡ってしまおうか?」

…………、それな。

俺は、ほほえみながらサムズアップ。

ノアがリーシェを背負って走りだす。

俺は大衆に向かって叫ぶ。

「ポーロ防衛大臣が、このアポテネスを守る為に、魔法を打ったので加勢しました」

「えっ、チョット……、なにを」

ポーロが、ほほを引きつらせながらそう言った。

俺が迎撃げいげきしなければ、タナトスはこの都市を焦土しょうどにしただろう。

それこそ、都市民はだれひとりとして、生き残れない。

コラテラルダメージ(やむを得ない被害)……かもね。

聴衆の視線が、一気にポーロへ動く。

「ポーロ防衛大臣! 彼はあなたの判断に続いたと言っていますよ!」

「ぽーろ、ぼーえい、だいじん。即刻事態の説明をッ」

「なぜ、魔法を打ったのですか、そもそも魔法を打つ必要はあったのですかッ!?」

「首相はこの事態を把握してますか? 現在調査中では、済まされませんよ、解散だッ!」

解散と説明の言葉がやまない中。

俺たちは、こそこそと砂漠の行路に向かって走りだす。

「戻りなさい、この国を……、ヤッたなら責任を取ってよおおお!」

群衆に囲まれているポーロが、泣きながらそう言った。

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