奴隷を助けたはずが奴隷になったのでタスケテください!

金丸@一般ユーザー

4ー2 ヘルファイヤークラブ

満月は赤い。

ヘルファイヤークラブ、そう書かれた看板の酒場に入る。

うす暗い店内は、人でにぎわっていた。

魔法の光が多色に発光している。

タバコとアルコールの匂いがひどい。

「ねえちゃん、仕事終わったらさあ、飲みに行こうよ」

「えー、どしよっかなあ。あたしー、今月の稼ぎ少なくてー、頑張って働かなきゃならないんだよねー」

「そうなのー? じゃあ、チップはずんじゃうからさあ」

バニーガールやメイド、魔女。

女性店員たちは、露出ろしゅつの多いコスプレをして、酒を運んでいる。

「ウェイ! ウェイ!
 ハイハイ、ハイ!」

「一気に、いっちゃえ!
 ハイハイ、ハイ!」

「もっと、まだまだ!
 ハイハイ、ハイ!」

肺ガンか難聴なんちょうになりそうだ。

カウンターにいる男性店員へ話かける。

「ベル―シェ・カルテルの系列ですよね」

「お客さん、飲み過ぎです。そろそろお帰りになった方がいいですよ」

「アッシュをヤった男といえば、話はスムーズに進みますか」

男はグラスをふくのをやめて、「少々お待ちください」と言う。

やがて、俺が待っていると、メイド服を着た店員が来た。

彼女は、他の店員と違って、おぼんすら持っていない。

テンポの早い音楽が、舞台にて演奏され始めた。

「ご主人様、何か飲みます?」

「すみませんが、飲めないので遠慮えんりょします」

「あれれー、お店に来てなにも注文しないのは、マナー、違反ですよっ」

ポケットに手を入れる、財布さいふすらなかった。

俺が視線を戻しながら「外で待つことにします」と言ったとき。

ダガーが首に迫る。

とっさにかわしたが、首輪のかわを少し切られてしまった。

メイドは、スカートからプッシュダガーを取り出す。

距離を取りたいが、間に合わない。

彼女の両手首をつかむ。

「必死だな」

「余裕ですねー、ご主人様。ムカつく!」

彼女は俺のまたを蹴り上げた。

…………、…………、…………。

「プッ、ダッサ」

鼻で笑ったメイドが、ダガーで刺さそうとする。

男の痛みをなめるなよ。

————赤爆せきばく火弦かげん————

五つの赤い弦が、彼女を縛り上げる。

その両腕は背中へ組んだ状態になり、全身に火弦が強く食いこむ。

熱痛あついたッ、なによ、これっ!」

「俺の炎は、無駄な物を焼かない」

「はあ? だから何よ」

火弦が服を焼かずに肉体へ食いこんでゆく。

「うそでしょ、いやだっ、イヤ、止めて!

アッタイ、アツッタイの、アッタイッ!」

「ウェイ、ウェイ、ハイハイ、ハイ!」

「一気にいっちゃえ、ハイハイ、ハイ!」

「もっと、まだまだ、ハイハイ、ハイ!」

腰を叩きながら何度かジャンプした後。

赤爆の火弦を緩める。

「リーシェとアンナはどこだ」

「言わないわ、殺しなさいよ」

赤爆の火弦をきつくする。

数分とたたずにメイドは、街の外れにある倉庫にいるとしゃべった。

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