自称『整備士』の異世界生活

九九 零

22


俺は目を瞑って瞑想する。

体内マナは辛うじて感じ取れる。でも、なぜか魔法が発動しない。体内マナを上手く操れない。

原因は分かってる。

この首輪だ。

あのクソ野郎に蹴られている時、回復魔法を使おうとして何かに邪魔されているのに気が付いた。

そして、ついさっき起きた時に詳しく調べてみると分かった。

この首輪がジャミングのようなのを使って邪魔してるんだとな。

体内のマナがあやふやで感知し辛かったのも全てコイツの所為だ。
コイツが俺のマナを取り囲んで動けないようにしてやがった。その所為で体内マナの感知がし辛く、魔法も発動しなかった。

でも、もうそんな事はない。

包囲網を無理矢理突破して、主導権を取り返してやった。
とは言え、完全にとは言えないな。現状、俺の体内には二つのマナが互いに主導権を巡って争っている状態だ。

でも、整備と同じく原因が分かれば対処は幾らでも考える事ができる。
今はただの一時凌ぎしか出来てないけれど、それだけ出来ていれば十分だ。

まだ魔法の発動は上手く出来る自信はないけれど、痛みを麻痺させるぐらいは出来ているから問題ない。

目を開くと、辺りは真っ暗で静寂に包まれていた。

時折、啜り泣く声が聞こえてくる。
また誰かが泣いているんだろう。

それにしても、もう夜か。
馬車の移動も停止してるし、おそらくは休憩中か、睡眠中かのどっちかだろうな。

腹減ったな…。

そんな事はさておき、使い辛いマナ感知をフル稼働させて馬車周辺を探ると、馬車のすぐ側に一人。御者席に一人。少し離れた所に二人のマナ保有者がいるのが確認できた。

合計で4人だな。

他のマナ保有者…魔物達の気配はない。強いて言うなら、馬が二頭いるぐらいだな。

これならたぶん大丈夫だ。
真っ向勝負で倒せる確率は余り高くないけれど、裏をかけばいけるはず。

あと、生かしてなんとかしようと考えるのはダメだ。俺みたいなひ弱な子供の力が大人に敵うわけがない。
それに、後になってから報復が来るかもしれないからな。用心に越したことはない。

……ってなわけで、殺すか。
その方が手っ取り早いし、確実で、後で面倒な事になりにくいはずだ。

それに、この世界は悪人を殺しちゃいけないなんて法律はないし、外に出たら命の価値なんてのは凄く軽い。
殺されない為にも…殺す。それがこの世界の理だ。

そうと決まれば、即実行。

目にマナを込めれば、暗闇の中でも見えるようになる。
なんだか違和感があるけど今は置いておこう。

啜り泣いてるのはエーリのようだ。
みんなが寝静まったあと静かに泣いている。

俺が立ち上がっても気付いていない。

寝てる子供達を起こさないように、静かに背後の鉄格子をーー加工する。
物質を一から創り上げるよりも、こっちの方がマナの消耗が大幅に削減できるし、凄く簡単だからな。

加工ついでに、切り取った一部をナイフにしておく。

これで、鉄格子は俺がギリギリ通れるぐらいになったし、簡易な武器が手に入ったわけだ。

あとは簡単。

鉄格子をスリ抜けて、格子を覆う布を潜って馬車から音を立てずに降りる。

そしてーー一番近くで火の番をしてる奴の背後に忍び寄って、サクッと殺しちまえばいい。

「あく…」

万が一を考えて声が出せないように手早く、口を塞ぐと同時に首を切り裂いて、気道を切断。そして、流れるように心臓を貫く。

人体の構造を理解していれば人を殺す事なんて造作もない。
車やバイクもそうだ。中身さえ理解していれば生かすも殺すも整備する人次第だ。

それにしても…初めて人を殺したけれど、特にこれと言った罪悪感とか感じないもんだな。

強いて言うなら、高揚感?愉悦?恍惚?
まるで、梱包なんかに使われるプチプチを潰すような感じで、なんだかハマりそうになる。

肉を裂く時の手に伝わる感触。ナイフを滑らせると飛び散る血潮。手を伝う相手の温もり…。

相手から伝わってくる苦痛と絶望の感情…最高に気持ちいいぃ…。

まさに…エクスタシィィッ!

……っと、少し気が別の方面にぶっ飛んでしまってたな。

気を取り直して、さっさと残りを片付けてしまおう。
あ、アイツだけは生かしとかなきゃな。


○○○


『案外、なんとかなるもんだな』

人殺しは容易い。
人は簡単に殺せる。

前世から俺の頭のネジはどこか緩んでいるのか、それとも元々外れていたのか、こう言う事をしても別段心は痛まない。

他人はどうでもいい存在って考えてるから、そう感じるのかもしれないけど、一応はひとなみの良心だってある。

捨て犬や捨て猫を見ると、可哀想で拾ってあげたくなる感性ぐらい持ち合わせている。
まっ、コイツ等がそれに当て嵌まるかと聞かれたら、答えはノーだけどな。

さて、そんな俺だが…目の前には一人の男が気持ちよさそうに腹を掻きながら寝ているのを見下ろしている。
毛布に包まって寝ていたんだろうけど、寝相が悪いのか、毛布から出て曝け出した腹をボリボリと掻いてる。

ああ、本当に気持ちよさそうな寝顔だ。
その顔を見てると腹が立ってくる。と同時に、面白おかしく感じる。

お仲間が既に死んでるなんて思ってもないだろう寝顔…その顔が悲痛や絶望に歪む顔が見たい。見てみたい。

ちなみに、彼のお仲間達は、みんな仲良く少し離れた所に捨ててきた。
今頃は魔物の餌になっているだろう。

ナイフを手元でクルクルと回して弄びながら、男の顔や体をジックリと観察する。

顔は普通だ。前世の日本人視点から言ってみれば、外国人の渋いオジサンみたいな感じだな。
パッと見た感じ、その辺の露店で商売しててもおかしくないような、印象の薄い顔だ。

体格は俺の父ちゃんよりも貧弱そうで、少し鍛えたぐらいの筋肉。身長も170cmぐらいと、何もかも普通だ。

そんな野郎だが、コイツは俺を散々蹴ってきた奴だ。

俺はやられたら倍にしてやり返す性格をしている。そのまま殺すなんて勿体ない事はしない。

だから、蹴り返す?いやいや。それはそれで面白味が欠ける。俺は快楽主義者だ。そんでもって、楽観的で、打算的で、用心深い。

やり返すだけじゃ怒りや鬱憤を晴らすだけで終わってしまう。そんなの勿体ない。だけど、普通に仕返しをしようとしたら、反撃の可能性が出てくる。
それはダメだ。

でも、こんな丁度いい実験体が手に入ったのに、それだけで終わってしまうなんてメリットが少なすぎる。

丁度いい機会だし、手足を切り裂いてから怒りや鬱憤も含めてコイツで実験してやろう。

「ふふ…」

いやはや。人体実験は初めてだからな…愉しみだなぁ。


●●●


みんなが寝静まった後、私は静かに涙を流していました。

泣き叫んだりすると、昨日の男の子が受けたように酷い暴行を受けてしまうから、これ以上誰も傷付いて欲しくなかった私はみんなを慰めるように頑張っていました。

誰かが泣けば、みんなつられて泣いてしまうから。

だから、私はヒッソリと夜に涙を流していました。

そんな時、誰かが馬車に掛けられた布を捲り上げて外の灯りが牢の中に入り込んできました。
もしかして、助けが来たのかと思って顔を上げてみれば、その逆。

牢から誰かが外に出ていく姿が映ったのです。

どうして?どうやって?

幻覚でも見たのかと思って何度か目をこすり、確認のために誰かが出て行った所へ歩み寄ってみると、そこだけ鉄格子がなくなっていました。
まるで、初めからそこに無かったかのように、鉄格子の棒が一本丸々消え去っていました。

恐る恐る布を捲り上げて外を見た光景は、昨日の昼に連れて来られて酷い目に遭わされた男の子が、なぜか怯えて命乞いをする人攫いを静かに見下ろしている姿でした。

一体、何が…。

そう思った途端、人攫いの身体が、まるで内側から爆発するかのように木っ端微塵に弾け飛びました。

「ヒッ…」

私の顔に生々しい何かが付着して思わず小さな悲鳴を上げると、彼が振り返って私を見ました。

その右眼はまるで血のように真っ赤に染まっていて…彼の赤眼と目が合った私は怖くて動けなくなってしまいました。

彼は出会った時と変わらない無表情で、でも、出会った時とは違う真っ赤な瞳で私をジッと見つめます。
それがまた怖くて、股から生温かい液体を垂れ流してしまいました。

いつまでそうしていたのか。彼の視線が私から離れた途端、私はヘナヘナとその場にへたり込みました。

私はアルミカルの街の宿屋の娘。これまで色々な冒険者を見てきた。だけど、彼はそれまで見たどの冒険者よりも怖くて、底が知れない。

恐怖が心を支配して、怖くて顔すら上げれない。

真っ先に脳裏をよぎったのは、お母さんから聞かされていた化け物と呼ばれるSランク冒険者の姿。

オーガのような肉体で人をボリボリと貪り食うイメージが、今まさに彼一色に塗り替えられた。

あれこそが化け物に相応しい姿…。

あれこそ、お母さんやお父さんが絶対に関わったらダメだと言っていたSランク冒険者に相応しい存在…。

怖くて、怖くて、その場で肩を抱いて震える。

今すぐにでも逃げ出したい。でも、身体が言う事を聞かない。足は震え、寒くないのに寒気がする。

攫われていた方がまだマシだと思えるほど、彼の存在がーー。

「…鍵、だ」

「ーーっ!」

バサリと布が捲り上げられ、血みどろの彼が目の前に現れた。

突然すぎる登場に私は声にならない声を発して、意識を手放してしまった。


●●●


納得できない。
こいつ、俺の顔を見ただけで失禁しながら気を失いやがった…。

人攫いを爆散させてしまった所を見られていたのは誤算だったけど、でも、そんなに怖がる事はないだろうに。

さすがに傷付く。

言い訳をするなら、アレは実験に失敗してアイツが勝手にマナ暴走を起こしてしまっただけで、俺は特にこれと言って何もしてないんだ。

ただ、ちょっとこの首輪の仕組みを真似てみたくなったから、いつしか出会った老人のマーリンにされたように俺の体内マナを少しだけ分け与えただけで、それ以上のことはしていない。

まさか、爆散するとは思わなかった。

見てる限りだと、俺がマナを送りすぎたのが原因じゃなくて、相手のマナと相性が悪かったのか、勝手に相手のマナが暴走し始めて自爆した。

そう。俺は悪くない。

悪くないんだ…。

「………」

ついつい小さな溜息が漏れてしまう。

折角、首輪の鍵を手に入れたのに…な。
こんな反応をされるなんて傷付く…。

ちなみに、鍵は水晶みたいなもので、首輪に当てると外せるらしい。
脅して手に入れた情報だ。

まっ、俺は人攫いの目の前で首輪を力強くで破壊したんだけどなっ!
ギャーギャーと喚かれても面倒だったし、動けないように手足の筋を切り裂いてから脅しを含めて目の前でぶっ壊してやったぜ!

今でもアイツの絶望しきった顔を思い出せる。
アレは愉快だった。

さて、そんな事は置いておき、

『外すか…』

牢に入って、一人ずつ首輪を外していく。

ついでに、首輪の方は研究材料としてありがたく貰っておいた。


○○○


子供達の首輪を全て外し終えたあと、取り敢えず、この場から離れておこうかと考えたけど…馬の扱い方なんてサッパリ分からないからやめた。

そんでもって、人攫いの代わりに俺が火の番をする羽目になった。

一応、肉片とかは全て片付けた。土魔法で土を掘り返して埋めておいた。風魔法で血の臭いも空に巻き上げた。
それでも、魔物は現れるし、誰かが見張りをしなきゃ危険だ。だから仕方なく火の番をしている。

こんな事なら、夜襲を仕掛けるんじゃなかったと今頃になって反省しているところだ。

焚き火に枯れ木を放り込んで、火を絶やさないようにしながら空を見上げると、月はまだまだ沈みそうにない。

そんな月を眺めていると『本当に異世界なんだなぁ〜』って思えてくる。
赤と青の二つの三日月。左右対称で同じような欠け方をしているぐらいだ。前世じゃ考えられない光景で、思わず写真に納めたくなる。

ーーぐぅぅぅ…。

と、腹の虫が鳴いた。

考えないようにしていたけれど、やっぱり誤魔化しきれない。腹が減った。
それにクソ眠たい。

なんだって俺がこんなにも苦労しなきゃならないのか…俺のせいだって分かってはいるけど、納得できない。

「また来る、か」

どうやら、また来たようだ。
狼型の魔物だ。さっきから何度か襲われている。おかげで、捨てに行くのが面倒だ。

そう言えば…魔物って食えるんだよな?
オークの肉だとか、なんとかウルフの肉だとかカエルの肉なんかも露店で売ってたのを買い食いした覚えがある。

あれは美味かった。

何が美味いって、一番はオーク肉だ。
前世で食べた豚肉を想い出す味だった。

例えるなら、丼物屋で食べた豚肉の味だった。
良い味付けだったな…。

ーーぐぅぅぅ…。

思い出すと、余計に腹が減る。

バカだな、俺は。
それぐらい少し考えたら分かるはずなのに…。

「グルルルルッ」

数頭の狼型の魔物達が茂みから這い出てきた。向こうさんも腹が減っている様子。

……狼の肉、か。アレも案外悪くはなかったはずだ。
腹も減ってる事だし、ちょっと試しに食ってみるか。


○○○


ようやく朝日が昇ってきた。
長い夜だったよ、ほんと。

まさか、あの狼達が斥候で、後から群れで襲って来るとは思わなかった。
お陰でどデカイ狼の親玉みたいな奴と戦う羽目になってしまって、ちょっと疲れた。

それに、早朝ってのは無性に眠たくなる。疲れと相まって、少し気を抜くと寝落ちしてしまいそうだ。

そんな眠気を飛ばす為に魔法で水を生み出して頭から被る。

ずぶ濡れだ。

眠気がするたびに繰り返しているから、気温は温かいのに寒気がしてくる。
でも、目は冷めるんだよな…。

日が昇るにつれて、辺りが明るくなってくる。それでも焚き火は絶やさない。寒いんだ。

ちなみに、今更だけど狼の肉は結構いけた。特に、一番デカかった狼達のリーダー的なやつ。アイツが一番美味かった。絶品だった。頬がトロける旨さって言うのは、きっとああ言うのを指すんだろう。

そんな事を思い出しながらボーっと空を眺めていると、マナ感知で馬車の中で誰かが動き回る気配を感じた。
気分転換がてら荷台の布を捲って中を確認してみると、一人だけ起きてた少年と目があった。

「…起きた、か?」

「………」

確か、コイツは俺が人攫いに暴行を受ける前に暴れていた奴だ。

見たところ、驚いて固まってしまっているように見える。何に対して驚いているのか…さて、なんだろうな?

子供の考えることはよく分からん。

「馬車、操縦する、できる、か?」

「………」

返答はなし。
眉毛一つ動かない。まるでどこぞの銅像みたいだ。

はぁ…。まったく…。

「そこ、出る。出ろ。飯、食う」

昨晩作った出口を指差して教えてから、作り置きしておいた狼の肉を焼く為に焚き火の元へと戻る。

一番の早起きには一番美味かった狼のリーダー的な奴の肉だ。

暫く待っていると、恐る恐る周囲を警戒しながら少年が馬車から降りてきた。

「お、おい。お前…何してんだよ」

「…飯、だ」

肉が焼き上がるにつれて、美味そうな匂いがしてきた。俺も少し小腹が空いてきたな…。

「俺が言いてぇのはそう言うこったなくて!なんで呑気な事をしてんだって事だよっ!」

「?…食え」

何が言いたいのかサッパリだ。まぁ、コイツも腹が減ってるんだろう。

丁度出来たところだ。

ちょっと焦げてしまったけれど、いい感じに焼けた。焼き肉を乗せた皿代わりの葉を少年に差し出すと叩き落とされた。

やっぱり焦げたのは嫌だったか?

「そんな悠長な事してられっかよ!アイツ等が戻って来る前に逃げるぞ!」

そう言って俺の腕を強引に掴んで走り出そうとし始めたから、腕を引っ張り返して止める。

勢い余って相手に尻餅を着かせてしまった。

「逃げる、なぜ?」

「何言ってんだよ!早くしねぇと人攫い共が戻ってきちまうだろうが!」

は?人攫いなら片付けたぞ?
何をそんなに焦ってるんだか。

……あ。説明してなかったな。

「始末する、した。大丈夫だ」

「は?お前みたいなガキが倒せるはずねぇだろ!冗談言ってる暇があんなら、さっさと逃げるぞ!!」

またもや俺の手を掴んで走り出そうとしたから、もう一度同じ手順で引っ張って止める。

っていうか、俺はコイツにガキって言われる歳じゃないはずだぞ?

「ぐっ…」

どうやら、今度は尻餅を着かずに自力で踏ん張ったみたいだ。

お見事っ。

「なんだよ!なんで逃げねぇんだよ!!今なら助かるかもしんねぇんだぞ!!」

「大丈夫だ」

死体は少し離れた森の中に捨てた。魔物の死体もそこだ。
この辺りは血の匂いも残ってなく、近くには魔物の気配すらない。

「もういい!勝手にしろ!!」

そう言って駆け出そうとする少年。

まったく…勝手な行動を取って死なれたら困るんだよ…。

「ふげっ!?」

取り敢えず、コッソリ土魔法を使って足止め。
地面に唐突に現れた窪みに足を取られた少年は地面と熱烈なディープキスをした。

勝手に離れられると、こっちが困るんだ。
そこまで面倒見切れないからな。

「…危ない」

「ここにいる方が危ないだろ!!」

涙目になりつつも反論してきた。

どうも、俺の言いたい事が伝わってなさそうだな…。

「信じる、しろ。大丈夫だ。人攫い、片付ける、した。取り敢えず、食え」

俺が食べようと思って焼いていた肉を差し出す。
これは良い具合に焼けた自信作だ。

「むくっ!?」

訝しむ眼差しを向けるばかりで中々食べようとしない少年の口に無理矢理捻じ込んでやる。

少年は驚いた顔をしたあと、口の中でトロける肉の食感に頬を緩めて、よく噛み締めてから食べ切りーー。

「と、とにかく逃げるぞ!!」

相当美味かったんだろう。
肉と俺と鉄板に視線を巡らせながらも、執拗に逃げる事を勧めてくる。

もう逃げなくても良いって言ってんのに…。

「まだある。食え」

取り敢えず、焚き火近くに強引に座らせて、箸を持たせる。

分からないなら、分かってもらうまでだ。

ちなみに、これは前世でよくお世話になった焼肉だ。
丁度いい感じの鉄の机を創って、焚き火を覆いかぶせるように置くと、即席の焼肉プレートの出来上がりだ。

あとは薄く切った肉をそこで焼けば、自分好みに焼ける。

隣には、狼の皮をシートにして、そこに薄く切った狼の肉を置いている。どれがどの部位かは覚えてないけれど、どれも美味い。

どれが食べれて、どれが食べれないのかも分からないから、全部ごちゃまぜになっているけどな。

全部捌くの結構苦労したんだぞ?
腹壊しても知らんけど。

そこから追加で二枚肉を投入。ジュウジュウと肉が焼ける匂いが香ばしい。
少年は箸の使い方が分からないのか、片手で握りしめるように持っている。

どうやら、己の欲望には勝てないみたいだ。

逃げなきゃならない。だけど、肉も食べたい。と、心の中で葛藤を覚えているような、そんな感じを受ける。

さっき食べた肉の味が忘れられないんだろう。

俺もそうだ。ただの狼の肉のはずなのに、お腹いっぱいになっても食べたくなる。
それほど美味かったんだ。

前世で食べた高級料理店の肉よりも絶品だった。タレなしでも美味いって…反則だろ。

あの味が忘れられない。この匂いだけで、ご飯何杯でもいける自信がある。

そんな事を考えてると、また腹減ってきた。

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コメント

  • トラ

    待ってました!
    楽しみにしてたよ!
    無理しないでマイペースに頑張ってくださいね!

    1
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