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凡人勇者の異世界英雄譚Ⅱ 〜転移したら無敵になってました〜

雨猫

Ep1/act.6 貴族を殴った!

翌日、国家騎士育成学校では、とある噂が話題の中心になっていた。
それは「生意気な平民が一方的に貴族を殴った」と言うもの。

へー、そんな物騒なことする奴いるんだなーと思っていたら、アルスが頰に大袈裟にガーゼを当てて登校してきた。

「あれ、これまさか俺の噂…?」

俺がアルスを見ていたことに気付いたのか、アルスは大声で叫んだ。

「おい!僕を殴ったのはアイツだ!シルド・ギル!僕は優しく接していたのに一方的に殴ってきたんだ!」

おいおい、ひどい八つ当たりだな…と思っていたが、周囲も彼の取り巻きが多くて反論する余地もなく事実として周知されていった。

登校二日目にして、俺はとんでもない言い掛かりを付けられ、有名人になってしまった。



その日の昼、俺は生まれて初めて便所飯をした。

小さい頃から無神経と言われてきた俺でも、流石に友達もいなくて、変な噂も広まって痛い目の中で飯を食う勇気はなかった。

すると外からアルスの声が聞こえた。

「ちくしょう!ここまで噂広まってるのにアイツ痛い目に合ってる顔をしねえ!」

「もう魔法使ってボコりますか?」

「いや、ダメだ…アイツ、あり得ないくらいの力を持ってるんだ。太刀打ちできない」

そう言って蹴った木から、小さい小鳥が落ちてきた。
それに気付かずにアルスたちはどこかへと行ってしまった。

「まったく、こういうとこだよなー」

俺は三階のトイレの窓からヒョイと飛び降り、小鳥を拾い上げた。

俺には巣まで器用にジャンプして一瞬で戻す加減がまだ出来ないから、せっせとよじ登って優しく巣へと帰してやった。

「ほーら、お前もう落ちるんじゃねえぞ」

木から飛び降りた時、一人の女子生徒がこちらへ駆け寄ってきた。

「あなた、シルド・ギルさん?」

赤い髪、赤い瞳の綺麗な女の子だ。

「そうだけど、アンタは?」

「私は同じ一年生のエナです。それよりもあなたお優しいんですね。落ちてしまった小鳥を巣に戻してあげたんですね」

「まあ、見ちゃったし。見てないもんは助けられないけど、見たなら助けられるだろ?」

「ふふ、面白いですね。アルスさんを殴ったなんて噂が出回っていますが、あれは本当ですか?」

「うーん、アイツが悪いことしようとしたからだけど、俺も傷つけたのは事実だしな。殴ってはないけど、結局は結果だ。貴族さんのプライドも傷つけさせちゃったみたいだしな」

「あなたはそれでいいんですか?」

純粋な瞳で聞いてくる。
なんなんだ、この子のオーラは。

「よくはねえよ。俺も学校入るのワクワクしてたし。でも噂は噂。いつか消えるだろ」

「そうですか」

そう言うと、赤髪の少女はどこかへと去って行った。
なんだか、不思議な感じの子だな。

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