主役の勇者が最終的に死ぬ運命なんて嫌だ
#15 難しい心
「な、なんだお前……」
「あ、僕ですかぁー?僕は占い師みたいなやつですぅー。だから貴方にあの子のことを教えてあげよっかなーって思いましてぇー。」
「ヤナの…こと?」
腕を引かれて連れていかれたのは、薄暗くて狭いテントの中だった。
「えー、僕はファドゥーと申しますぅー」
怪しいやつかもしれないと思い、さっきもらった剣の持ち手に手を優しく添えたまま、小さい椅子に座った。
「あの子は、簡単に言うと別の世界から来た子で、まぁ10年以上はこの世界にいるでしょーねぇー。貴方もそうだという勝手な想像をさせていただきますけどぉ…?」
ギクッとした。どうやらこいつは全部分かっているらしい。ということは、ヤナは俺と同じように現実世界からゲームの中に入ってしまった人間…?
話を聞くとそう捉えるしか、ないよな。
「あの子、大魔王リクスにこの世界でこの世界の住民として生活するように魔法をかけられてしまってぇー。」
大魔王リクス……ってたしか、ヤナと一番最初に出会った時、ヤナが倒しに行こうって言ってたやつだよな?多分。
じゃあヤナはもともとゲームのキャラクターじゃないのに、あのセリフを言うように仕向けたり、最初の町に行くようにしたりしたのは、大魔王リクスに決められたからなのか…?
無理矢理ゲームの設定内に入れられるなんて。でも、ヤナはどうして……。
「まぁ人間として存在していたことを言っているのを大魔王リクスに見つかったらぁー……存在ごと消されてしまいますぅー。」
「はぁ!?なんだか理不尽なうえに身勝手すぎないか!?その大魔王ってやつ」
「誰も逆らえないくらいに強くて、力を持ってるんですよぉ〜。その「力」はマネーであったり、魔法力だったり、まぁ色々ありますけどねぇー」
俺はファドゥーにありがとうと一言伝えて、テントを抜け、走った。
「………あらあら。大変ですねぇ、山旗春翔くん」
「ヤナぁっ!!ヤナ、どこだぁっ!!!」
町中を叫びながら走り回った。
人の尖った視線を浴びても、構わず走った。
息が上がって、地面に寝転がった。
下唇を食いしばって、静かに目を閉じた。
「………と。………ると!」
「ハルト!大丈夫かっ!?」
「あぁっ、ヤナ。よかったぁ…」
「道端に倒れてたから、心配したんだぞ!宿屋の小部屋を借りたけど…っ」
「ヤナ。占い師の人に聞いたんだが、俺と同じ元人間、なんだな」
ヤナはドキッとしたような顔をしてから、目線を逸らした。
「さっきはごめんな。事情は全部分かったよ。でめ大魔王リクスってのに見つからなきゃいいんだろ?怖がる気持ちもわかるけど、それじゃあ進歩できない」
「でもっ…………わしは…私はっ!消えたくない…」
「なぁに弱音吐いてんだ。もしもリクスに見つかっても、ヤナが消される前にぶっ倒してやる。安心しとけ。俺が守るから、もう泣いたりするんじゃないぞ?あ、あと口調も俺の前では普通でいいからな」
「…!ふふっ、あぁ、それは心強いなっ」
ヤナの笑顔を見て、安心した。
絶対に守るべきものは、自分の命の他にもあったなんて、な。
「あ、僕ですかぁー?僕は占い師みたいなやつですぅー。だから貴方にあの子のことを教えてあげよっかなーって思いましてぇー。」
「ヤナの…こと?」
腕を引かれて連れていかれたのは、薄暗くて狭いテントの中だった。
「えー、僕はファドゥーと申しますぅー」
怪しいやつかもしれないと思い、さっきもらった剣の持ち手に手を優しく添えたまま、小さい椅子に座った。
「あの子は、簡単に言うと別の世界から来た子で、まぁ10年以上はこの世界にいるでしょーねぇー。貴方もそうだという勝手な想像をさせていただきますけどぉ…?」
ギクッとした。どうやらこいつは全部分かっているらしい。ということは、ヤナは俺と同じように現実世界からゲームの中に入ってしまった人間…?
話を聞くとそう捉えるしか、ないよな。
「あの子、大魔王リクスにこの世界でこの世界の住民として生活するように魔法をかけられてしまってぇー。」
大魔王リクス……ってたしか、ヤナと一番最初に出会った時、ヤナが倒しに行こうって言ってたやつだよな?多分。
じゃあヤナはもともとゲームのキャラクターじゃないのに、あのセリフを言うように仕向けたり、最初の町に行くようにしたりしたのは、大魔王リクスに決められたからなのか…?
無理矢理ゲームの設定内に入れられるなんて。でも、ヤナはどうして……。
「まぁ人間として存在していたことを言っているのを大魔王リクスに見つかったらぁー……存在ごと消されてしまいますぅー。」
「はぁ!?なんだか理不尽なうえに身勝手すぎないか!?その大魔王ってやつ」
「誰も逆らえないくらいに強くて、力を持ってるんですよぉ〜。その「力」はマネーであったり、魔法力だったり、まぁ色々ありますけどねぇー」
俺はファドゥーにありがとうと一言伝えて、テントを抜け、走った。
「………あらあら。大変ですねぇ、山旗春翔くん」
「ヤナぁっ!!ヤナ、どこだぁっ!!!」
町中を叫びながら走り回った。
人の尖った視線を浴びても、構わず走った。
息が上がって、地面に寝転がった。
下唇を食いしばって、静かに目を閉じた。
「………と。………ると!」
「ハルト!大丈夫かっ!?」
「あぁっ、ヤナ。よかったぁ…」
「道端に倒れてたから、心配したんだぞ!宿屋の小部屋を借りたけど…っ」
「ヤナ。占い師の人に聞いたんだが、俺と同じ元人間、なんだな」
ヤナはドキッとしたような顔をしてから、目線を逸らした。
「さっきはごめんな。事情は全部分かったよ。でめ大魔王リクスってのに見つからなきゃいいんだろ?怖がる気持ちもわかるけど、それじゃあ進歩できない」
「でもっ…………わしは…私はっ!消えたくない…」
「なぁに弱音吐いてんだ。もしもリクスに見つかっても、ヤナが消される前にぶっ倒してやる。安心しとけ。俺が守るから、もう泣いたりするんじゃないぞ?あ、あと口調も俺の前では普通でいいからな」
「…!ふふっ、あぁ、それは心強いなっ」
ヤナの笑顔を見て、安心した。
絶対に守るべきものは、自分の命の他にもあったなんて、な。
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