主役の勇者が最終的に死ぬ運命なんて嫌だ
#10 ヤナの内緒話
  
俺たちは、特に何も言葉を発さずにただ歩き進んだ。本当は、言いたいことと聞きたいことがあるけど、妙な空気感があってなかなか口を開けない。
だけど、やっぱり気になって仕方がなかった。
「あ、新しいエリアだぁっ!見て、ハルト様ッ!!」
フェラルフが嬉しそうに飛び跳ねた。
俺は安心してふぅっと息を吐いた。
目の前に広がるのは色とりどりの花が咲いた花畑だ。花畑の一番向こうには、道がある。あそこまで行けば違う街があるかもしれない。
「やったやった!お花だーッ」
「マッテ、ちょっとフェラルフ!」
2人は花畑の中心の方に走っていった。
俺とヤナもゆっくり花畑の方に歩いて行った。
すると突然、ヤナがその場に座り込んだ。ヤナは花を見てにこにこと笑っていた。
「ヤナ、花が好きなのか?」
「…そうじゃな。昔、ある旅人に花かんむりを貰ったんじゃ。その花かんむりが綺麗で美しくて可愛らしくてなぁ」
ヤナが優しい顔で俺に話してきた。
よく分からなかったが、ヤナが自分の話をするのは珍しい。
「なぁ、ヤナ。さっきの魔法はヤナがやったのか?」
「そ、そうじゃ…。ハルトもさぞかし驚いたじゃろう。魔法を使わないように気をつけてたのに、頭に血が上って、つい強力な魔法を使ってしまった」
「じゃあ、なんでヤナは魔法を使わないようにしてたんだ?魔法使いなんだからいいんじゃないか?」
「…………昔に、わしの魔法で村を、村人ごと全焼させてしまった。それ以来、わしは、自分の魔法が怖くなった。魔法を使えばまた、誰かを傷つけると思った…」
顔は見られないように下を向いていたが、小さい肩がふるふると震えているのが分かった。
ヤナの事だからどうせ、俺に怖がられたとでも思ってんだろう。
つい、ため息がこぼれた。
「かっこよかったよ、魔法。ヤナ、最初に俺に言っただろ、魔法使いのヤナだって。お前は自分に制限をつけて縮こまらなくていい。俺はお前の魔法なんかじゃあ消えたりしないからな。だって俺は勇者だぞ?」
ヤナが、俺の方をチラッと見ると、くすっと笑った。一安心だ。
ヤナが笑っていないと、なんかむずむずして、放っておけないのだ。
そういえば、このヤナがした話って、本当にゲームのシナリオなのか?
とてもそうとは思えない。
だったら、ヤナはゲームの中のキャラクターじゃないのか?
………悩めば悩むほどに、よく分からなくなってきた。だけど、この疑問は、いつかヤナに聞かないといけないだろうな。
そのあと、フェラルフとナシュリーを連れて来て、道なりに進んでいった。
すると、目に移ったのは、ごつい城門だった。門番が4人いて、微かに見える門の中には栄えた街並みが見えた。
門は遥かにたかく、今はおそらく使っていない古びた罠のようなものが所々に散らばっている。
「不審な人間発見。警戒態勢に入れ。」
「はぁっ」
その街(?)を前にして、ナシュリーがびくびく怯えたように目を丸くして固まっていた。膝が震えている。
俺が声をかけても、聞いた様子はなかった。
目の前が微かに霧で曇ったような気がした。
俺たちは、特に何も言葉を発さずにただ歩き進んだ。本当は、言いたいことと聞きたいことがあるけど、妙な空気感があってなかなか口を開けない。
だけど、やっぱり気になって仕方がなかった。
「あ、新しいエリアだぁっ!見て、ハルト様ッ!!」
フェラルフが嬉しそうに飛び跳ねた。
俺は安心してふぅっと息を吐いた。
目の前に広がるのは色とりどりの花が咲いた花畑だ。花畑の一番向こうには、道がある。あそこまで行けば違う街があるかもしれない。
「やったやった!お花だーッ」
「マッテ、ちょっとフェラルフ!」
2人は花畑の中心の方に走っていった。
俺とヤナもゆっくり花畑の方に歩いて行った。
すると突然、ヤナがその場に座り込んだ。ヤナは花を見てにこにこと笑っていた。
「ヤナ、花が好きなのか?」
「…そうじゃな。昔、ある旅人に花かんむりを貰ったんじゃ。その花かんむりが綺麗で美しくて可愛らしくてなぁ」
ヤナが優しい顔で俺に話してきた。
よく分からなかったが、ヤナが自分の話をするのは珍しい。
「なぁ、ヤナ。さっきの魔法はヤナがやったのか?」
「そ、そうじゃ…。ハルトもさぞかし驚いたじゃろう。魔法を使わないように気をつけてたのに、頭に血が上って、つい強力な魔法を使ってしまった」
「じゃあ、なんでヤナは魔法を使わないようにしてたんだ?魔法使いなんだからいいんじゃないか?」
「…………昔に、わしの魔法で村を、村人ごと全焼させてしまった。それ以来、わしは、自分の魔法が怖くなった。魔法を使えばまた、誰かを傷つけると思った…」
顔は見られないように下を向いていたが、小さい肩がふるふると震えているのが分かった。
ヤナの事だからどうせ、俺に怖がられたとでも思ってんだろう。
つい、ため息がこぼれた。
「かっこよかったよ、魔法。ヤナ、最初に俺に言っただろ、魔法使いのヤナだって。お前は自分に制限をつけて縮こまらなくていい。俺はお前の魔法なんかじゃあ消えたりしないからな。だって俺は勇者だぞ?」
ヤナが、俺の方をチラッと見ると、くすっと笑った。一安心だ。
ヤナが笑っていないと、なんかむずむずして、放っておけないのだ。
そういえば、このヤナがした話って、本当にゲームのシナリオなのか?
とてもそうとは思えない。
だったら、ヤナはゲームの中のキャラクターじゃないのか?
………悩めば悩むほどに、よく分からなくなってきた。だけど、この疑問は、いつかヤナに聞かないといけないだろうな。
そのあと、フェラルフとナシュリーを連れて来て、道なりに進んでいった。
すると、目に移ったのは、ごつい城門だった。門番が4人いて、微かに見える門の中には栄えた街並みが見えた。
門は遥かにたかく、今はおそらく使っていない古びた罠のようなものが所々に散らばっている。
「不審な人間発見。警戒態勢に入れ。」
「はぁっ」
その街(?)を前にして、ナシュリーがびくびく怯えたように目を丸くして固まっていた。膝が震えている。
俺が声をかけても、聞いた様子はなかった。
目の前が微かに霧で曇ったような気がした。
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コメント
花波真珠
さすらいの骨折男さん
はい、頑張ります!
是非また読みに来てくださいね!
さすらいの骨折男
僕もゲームに入る話しを作っているんですが、ファンタジー系のゲームに入る話しも作りたいですね~。これからも頑張ってください!
花波真珠
しょーーさん、お褒めのお言葉ありがとうございます…!
はい、頑張ります!!
花波真珠
AZAMIさん、2回もコメントありがとうございます!
是非、これからも読んでください!