主役の勇者が最終的に死ぬ運命なんて嫌だ
#6 冒険のスタートライン
「倒した……のか?」
「倒したら消滅するわい。気絶しているだけじゃよ。さあ、頭の中心のほし模様のところに聖剣を刺すのじゃ」
俺は、ゆっくり立ち上がった。
足に力が入らず、足が今にも崩れてしまいそうだった。
音を立てずに、剣はドラゴンに刺さった。
それから何秒か経つと、ドラゴンは消えた。
俺とヤナは最初の町に戻り、女性にドラゴンを倒したことを報告した。
さて、どこへ行こう。
「わしはおぬしと旅をするのがずっと夢じゃったわい!その幼い頃からの夢が、今叶うのじゃな」
ヤナは見たことないような優しい笑顔を見せた。
幼い頃って、俺がヤナに会ったのは今日の朝だろう?ヤナは俺がゲームの中に入る前に、俺のことを知っていたっていうのか?
……………流石に考えすぎか。
「で、旅っていってもどこへ行けばいいんだ?」
俺がそう言うと、となりの茂みからがさがさと音が聞こえた。
冷静にいるために、すぐに後ろに下がって聖剣を茂みに向けた。
「ふぁぁあ〜お腹すいたですー。茂みにはきのみ1つ落ちてないんだもん」
茂みから出て来たのは緑色でボサボサの髪の男の子だった。
俺は聖剣をしまった。
「おにぃ、コレ、あったヨ」
すると次にワインレッド色の長くて綺麗な髪の女の子が茂みから出て来た。
「き、君たちは……?」
「も、もしや!貴方は勇者様でございますか!」
「ずっと、仲間に入れてくれル勇者、探しテタ」
キラキラと目を輝かせて、こちらをじろじろ見てくる。仲間ってことは…一緒に戦ってくれるってことか?すげーいいじゃん!
「勇者様、こやつらは迷い子というのじゃ。普通は1人の勇者に4人までの冒険の仲間がつけられる。この子たちは余りものにされて勇者に目をつけてもらえなかったのじゃろう。」
「じゃ、じゃあ仲間になるか」
そう言うと、2人の頭の上にリストが表示された。仲間になった人がここに表示されるみたいだ。
【フェラルフ】
性別   男
役職   ボクサー
近距離攻撃が得意。
攻撃力はピカイチだが、HPは少ない。
【ナシュリー】
性別   女
役職   アサシン
銃を使うので遠距離が得意。
動きが素早く、攻撃力もHPもそこそこある。
アサシンとボクサー…。
あー、よくある剣士とか魔法使いとかあぁいうやつか。
「そういえば、ヤナって魔法使いだよな?
戦ってるところとか魔法使ってるところ見たことない」
ヤナはそう聞いてカチッっと固まってから、俺の方をみた。
「……仲間も揃ったことだし、旅を始めるか!森を抜ければ次のエリアに行けるはずじゃよ」
作りきれてないぎこちない笑いだった。
ヤナは、俺に何か隠していることがあるのだろうか…。
コメント
水野真紀
大海のノアズアークでコメントしてるのをみてみにきました。
良い設定ですね。なんだか楽しめます。良かったら僕も作品を4つぐらい出してるので見に来てください