WORLD END-終焉の鐘の音-

成瀬瑛理

第5章―死と恐怖―44

 
 オーチスは、今まで以上のただならぬ異様な雰囲気に息を呑み込むと、その場で思わず言葉をつまらせたのだった。

「わ、私は……! 私は決してそのようなことは……!」

 拘束された椅子の上で彼がそう言い返すと、クロビスは背後で物音をさせた。それは鋭い音だった。その音を聞いた直後、オーチスの顔は急に青ざめた。クロビスは背後で怪しい物音をさせると再び話しかけた。

「……フン、結局お前がついた嘘は諸刃の剣だったな。嘘をついたわりには、色々と証拠が出てきたのはお前の誤算だったか?」

「わっ、私はそのようなことは決して……!」

 オーチスはただならぬ雰囲気に息を呑みこみながら、とっさに否定した。

「見破られない自信があったら最初から用意周到はしとくんだな……!」

 クロビスはそう話すと鼻で笑った。そして、再び背後で怪しい物音をさせた。異常な雰囲気に包まれると部屋の中はピリピリとした空気が漂い始めた。そして、暖炉では焚き火がゴトンと音を立てながら燃える音が鳴った。クロビスは、オーチスの背後で何かを研ぎ始めた。それは刃物を研ぐような鋭い音だった――。

「フン、実に浅はか。そして、愚かだな。貴様は肝心な所が詰めが甘い」

 クロビスは背後でそう話すと、どこかに刃物を突き立てた。常軌を逸した彼の行動はさらにオーチスを恐怖へと貶めた。そして、殺気だった雰囲気の中で話を続けた。

「お前にとっての痛手は目撃者の証言と字の一致か? それさえなければ、今頃はお前の論みどおりだったわけだ。とんだ茶番をしてくれたな。貴様のした行動はすでに死にあたいするものだ。自分の命をもって罪を贖うといい、そうすれば貴様にとっての罪滅ぼしにはなるだろう」

 クロビスが背後でそう言うとオーチスは途端に言い返した。

「まっ、待って下さい……! どうか私の話を聞いて下さい……!」

 彼がそう言った途端にクロビスは、オーチスの首もとにいきなり注射器を刺したのだった。

「貴様の言い訳はもう沢山だ!」

 クロビスは彼の首下に注射器を刺すと躊躇わずにそれを首に打った。一瞬のことだったので、彼は抵抗すら出来ず。気がつけば注射器が彼の首下に鋭く突き刺さっていた。首下に刺さった注射器が、彼の感覚を一瞬にして奪い始めた。心臓が激しく動くと、不意に動悸息切れと目眩が身体中を襲った。そして、血が沸騰して逆流するような症状にも襲われた。全身が痙攣を起こすと、それはやがて彼の意識を奪い始めたのだった。目の前が万華鏡のように回り始めると、血の気は一気にひいていき。彼の意識は徐々に暗闇へと遠退き始めたのだった。体の感覚を全て失うと、オーチスは椅子の上で完全に意識を無くして気絶した――。

「WORLD END-終焉の鐘の音- 」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く