WORLD END-終焉の鐘の音-

成瀬瑛理

第5章―死と恐怖―42

「そうだな、外の空気を吸うには丁度いい機会だ。喜んで従いますよ、主君様」

 ケイバーはクロビスの片方の手をとると、手の甲にキスをして、下僕としての忠誠心を示した。そんな彼を見下しながら言い放った。

「フン、下僕のクズが……!」

 彼は3人の方に目を向けるとそこで指示を出した。そして、呆然と佇むチェスターの方を見た。

「お前にはもう用はない。自分の持ち場に戻ってもいいぞ?」

 クロビスがそう話すとチェスターは直ぐに返事をして一礼した。

「はっ、はい……!」

 彼は返事を返すと、部屋から出ようと気持ちだけが先走った。するとクロビスが話を続けた。

「……それとだ。オーチスと囚人に関しての脱獄の証言をよく言った。おかげでこのとおり問題解決だ。証言を裏づける証拠もみつかり、お前にとって一安心と言った所か?」

「えっ……?」

「そうでなきゃ今頃、オーチスの代わりにお前の首が飛んでいたところだ」

 クロビスはチェスターの目の前に立ってそのことを話すと、彼の顔は急に青ざめたのだった。

「自分の上司と言え、さぞかし心苦しいだろ。だが、お前の目撃証言がなかったらコイツの悪巧みも暴けずに今頃囚人はどこか遠くへ逃げていたところだ。しかし、お前の証言のおかげで、逃げた囚人の行き先がようやくわかった。自ら証言に名乗り出てくれて感謝するぞ?」

 クロビスの意外な言葉に彼はそこで驚きを隠せなかった。そして、他の3人も少し驚いた表情をしたのだった。チェスターはオーチスの方に目を向けるとすぐに目を反らしてドアの方へと歩いて行った。そして、ドアノブに手をかけると一言挨拶をした。

「では、俺はこれで失礼します……!」

 そう言って挨拶をし終えると、チェスターは足早に部屋から出て行った。彼が部屋から出て行くと、ケイバーは不意にクロビスに尋ねた。

「あいつを帰らせていいのかよ? あいつだってジジイが囚人と脱獄の話を聞いて知ってても、今まで黙ってたんだぜ。どうせだったらジジイと纏めてあいつも……」

ケイバーがそう話すとクロビスは一言黙れと命令した。

「まあ、大目にみてやろうではないか。あいつの目撃証言がなかったら今頃は、逃げた囚人の行方は解らずじまいだったからな――」

 彼はそう話ながらも瞳の奥に狂気を忍ばせた。そして、強かな表情でクスッと笑った。

「それにだ……新人のあいつに洗礼を受けさせるにはいい機会だ。ここが何処かを改めて解らせてやるさ、それこそ奴が恐怖にひれ伏すほどのな……!」

 クロビスはそう言って話すと、ふと怪しさを秘めた冷酷な微笑みを静かに浮かべたのだった。

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