WORLD END-終焉の鐘の音-

成瀬瑛理

第5章―死と恐怖―40

 椅子の上に拘束されてから数時間が経った。拷問部屋では、オーチスとケイバーの言い争いは止まる気配はなかった。静観していたチェスターは、2人の言い争う会話を黙って聞いていたが、ケイバーの話しに思わず体を震わせながら凍りついた。彼はカッとなるとオーチスの胸元を掴んで言い放った。

「クソジジイ、てめぇなんかこの俺が今すぐ処刑してやる!」

 そう言って短剣を振りかざすと、そこにクロビス達が部屋から戻ってきた。

「待て、そこまでだ!」

 2人が戻ってくるとケイバーは舌打ちをして短剣を懐におさめた。

「ちっ、良いところだったのによ……! フン、命拾いしたな!」

 ケイバーはそう言うと一歩後ろに引き下がった。オーチスは一瞬、命拾いしたと安堵の表情を浮かべた。

「お前さっき倒れたが大丈夫か?」

 彼が尋ねるとクロビスは鼻で笑った。

「ああ、このとおり大丈夫だ。それこそ倒れたおかげで頭の中がスッキリするくらいにな」

 そう言って一言返事をすると、ケイバーはそうかと言って笑った。クロビスはオーチスの目の前に黙って立つと冷酷な表情で見下した。

「……オーチス、貴様の精神攻撃はなかなかだったぞ? そのおかげで夢の中でアレの幻覚を久しぶりに見るくらいにな。愚かな貴様には囚人を逃がした罪と、我々を騙した償いをしてもらうぞ。もちろん覚悟は出来ているだろうな?」

 ただならぬその言葉にオーチスは自分の唇を噛み締めた。

「ケイバーとギュータス、お前達2人は今からダモクレスの岬の捜索にあたれ! この吹雪の中だ。囚人1人の足どりではそう遠くまで行けまいさ!」

「おいおい、マジかよクロビス……!? 外は吹雪なんだぜ? 探す前に俺達が凍死しちまうよ。それに視界だって悪いのに見つかるわけがねーよ。どうせこの吹雪なんだ、逃げても途中で凍死してるかも知れねーだろ?」

「何……?」

 彼のその言葉にクロビスは目を細めた。

「俺、寒いの苦手なんだよなぁ……」

 ケイバーは愚痴をこぼしながら、そう言って彼に反論しのだった。

「フン、だから何だ? 下僕の分際で私に意見をたてるな! それともなんだ。貴様は逃げた囚人をみすみす見逃すとでも言う気か?」

 クロビスはそう言って言い返すと、手に持っている鞭を床で鳴らして威圧したのだった。

「後で親父に報告するのはこの私なんだぞ! 囚人1人を脱獄させたなど親父にこの失態をどう報告すれば言いのか考えてみろ! それとも貴様はこの私に死ねとでも言う気か!?」

 彼は物凄い剣幕で怒り狂った。その怒り狂う姿に、さすがのケイバーも仕方なく諦めた。

「下僕は私の手となり足となり黙って従っていればいいんだ!」

 3人はクロビスの怒り狂う様に沈黙した。

「でもようクロビス。この吹雪のなかじゃ、俺達だけでダモクレスの岬まで捜索しに行くのはリスクが高すぎるぜ」

 ギュータスがそのことを言うと、クロビスは呆れた顔で一言答えた。

「WORLD END-終焉の鐘の音- 」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く