WORLD END-終焉の鐘の音-

成瀬瑛理

第5章―死と恐怖―39

「フン、たいした言い分だな。貴様と私でここを支配するだと? 下僕の分際でほざいたことを抜かすな。ここの支配者になるのは私だけで十分だ。所詮お前らは私の駒にしかすぎん。誰がお前などに頼るか……!」

 クロビスはそう話すと、鋭い目つきで彼を睨んだのだった。

「貴様の手を借りなくても私がアイツを始末してやるまでだ! それでこそ最後は奴を野垂れ死にさせて、死体を切り刻んで狼共の餌にくれてやるさ! バカの分際で私をみくびるなよ!」

 首元に突きつけられたナイフは殺気に満ちていた。ギュータスは、ジャントゥーユとクロビスにナイフを2回も突きつけられたのでまたかよと言って一歩身を退いた。

「ちっ、今日は2回もナイフで脅されるとはついてねーぜ。ナイフを向けられたら退くしかねぇな。ハハハッ、それにしても美人の怒った顔は堪らねえぜ。俺をますますその気にさせる面構えが魅力をソソる。ホント男にしてはもったいないくらいの美人だぜお前?」

 ギュータスがそう言って笑いながら話すと、クロビスは黙ってナイフを彼の頬に突きつけた。尖ったナイフの先端が肉に僅かに食い込んだ。そしてジリジリとナイフを頬に押しつけたのだった。

「頭の悪い奴には教訓を教え込ませてやる」

 クロビスはそう言って話すと、ギュータスの頬をナイフで切りつけた。切りつけられた頬は、鋭利なナイフでスパッと切れた。

「……っ!」

 頬からは血が溢れて、顔から下に向けて流れ落ちた。

「てめぇ、いきなり何しやがる……!」

 ギュータスは突然のことに驚くと彼に突っかかった。クロビスは、血のついた護身用のナイフを舌でペロリと舐めると一言言い返した。

「頭の悪い奴に教訓を教え込ませてやったまでだ。私に馴れ馴れしく触るとどうなるかをな。フン、その傷痕を見るたびに今の教訓を思い出すだろう。クズが私を舐めるなよ。これは警告だ。今度わたしに気安く触れたらその時は貴様をただでは済まさないからな。それこそ貴様の息の根を止めてやる……!」

 クロビスがそう言って彼に警告すると、ギュータスは親指についた血をぺろっと舐めてにやついた。

「くくくっ……ますます気に入ったぜ。お前のそのイカれた感じが堪らねぇー。了解、わかったよ主君様!」

 ギュータスはそこで平謝りすると怪しく笑った。クロビスは血がついたナイフを拭き取ると、不意にどこかを見つめながら呟いた。

「そう言えばオーチスはどうなった……? まだあそこに居るのか?」

 彼がそう話すとギュータスは返事をした。

「ああ、居るさ。体を拘束されてたら逃げたくても逃げれねーからな?」

 ギュータスはそう話した。クロビスはそこで感情的になった。

「そうか……フン、オーチスの奴め! この私の気を失わさせるとは、いい度胸だ……!」

「やはり"過去"は闇に葬りさらなくてはいけないな。殺すと言えばいい考えを思いついたぞ。奴の頭を切り開くのはどうだろうか?」

 彼はそう言ってフと笑うと途端に笑い出したのだった。

「ふふふ、あはは……あーっはっはははははっ!」

 クロビスは右手に持っているナイフを床に落とすと、突然狂った様な笑い声をあげた。何をここまで彼を駆り立てるのか? 壊れた彼の心の中は、どこまでも果しない暗闇と狂気だけが渦巻いていた――。

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