WORLD END-終焉の鐘の音-
第5章―死と恐怖―15
「おい、言われた通りもってきたぜ!」
ケイバーはそう話すと二つの本を手渡した。クロビスはそれを持つと、椅子に座った。優雅に足を組んで座ると、彼はそれを早速読んだ。
「――さてと、オーチス。お前が昨日、本当に出勤したか確認しようじゃないか? まっ、お前は精々そこで神に祈ってるがいい」
クロビスはオーチスに冷たくそう話すと、出勤簿を開いた。冷たくはりつめる部屋の中に緊張が走る。クロビスは出勤簿を開くと、オーチスの名前だけを探して確認した。そして、彼の名前を確認すると一言話した。
「……確かに昨日は出勤しているな。どうだ、その椅子に座ってるい気分は? まだ生きてる居心地はするか?」
彼の質問にオーチスは黙ったまま、顔から汗をかいた。自分が生きるか死ぬかの瀬戸際に、彼はその問いかけに返事をする余裕すらなかった。クロビスは出勤簿を見ながら、オーチスが昨日どこに配属されていたかをくまなく調べた――。
「お前は昨日は東の塔を担当してたのか? 東の塔だと確かに逃げた囚人の棟とは、反対側の棟になるな……すると、チェスターの話しに矛盾が出る。この矛盾は一体なんだ?」
彼がそう言うと、黙っていたチェスターが横から口を挟んだ。
「クロビス様、自分は嘘はついてません! 自分は昨日は逃げた囚人のエリアを担当して見回っていましたが、自分はこの目で彼が牢屋の前で囚人と話している所を見ました!」
チェスターはそう言って強く断言すると、自分は絶対見たと最後まで主張し続けた。そして、オーチスが脱獄に加担していると彼はキッパリと言ったのだった。さらにチェスターは自分は彼に脱獄の話を尋ねたら、オーチスに首を絞められて脅された事実も話した。チェスターは囚人が今日、脱走した事実が何よりの証拠だとクロビスに話すと、その上で自分は死にたくないと哀れに訴えた。
オーチスはチェスターの証言に怒りを感じると、その後すぐに反論した。彼も死の瀬戸際に立たされており、感情を剥き出しにしたまま反論した。オーチスは拘束された椅子の上で、自分の身の潔白を必死で訴え続けた。自分は逃げた囚人とは一切関わっていない事や、囚人の脱獄に加担していない事も、そして、逃げた囚人と会話さえした事もないことや、ましてや囚人を脱獄させようと、計画を企てた覚えもないと、オーチスは証言して訴えたのだ。何より昨日は自分は東の塔を担当していて逃げた囚人がいる塔には昨日は一切、立ち寄っていないとクロビスに訴えたのだった。
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