告ったら魔王城に連れていかれました。

ff

ルナラブ馴れ初めパニック!(ルナウル目線)


-おはよーーーーーっ!!

耳元で甲高い声が響く。
今は朝の五時くらいだ。
今日もあまり寝れなかった。

〔おはようございます……〕

新居が出来てからはいつもこんな調子だ。
毎日、毎朝、ラブラネが突進してくる。

夜はとラブラネが寝付くまでそばについて
あげているので、最近は遅寝早起きなのだ。
よって、寝不足の極み。

だが寝過ごすことも出来ない。
魔王様の側近として、
しっかりと職務を果たさなければいけない。

だけど、そんな重たい気持ちも、
朝ごはんを食べればすぐに吹き飛ぶ。

朝ごはんはラブラネが作ってくれる。
メイド長だけあって、料理は絶品だ。
しかし、ただ美味しいだけではない。
なぜか食べると幸せになってくるのだ。
心があったかいものに満たされていく。
生きる気力が湧いてくるのを感じる。
よって、寝不足も嫌な感じの寝不足ではない。

なにか特別なものを入れているのか
前に聞いてみたことがあった。
彼女は企業秘密だよと言って、
いつものようにニッコリ笑った。

今日も一日頑張れそうだ。

[ルナウル君?どうかした?]

〔いえ、なんでもありませんよ。〕

ルナウルは笑って言った。




男をつかむなら胃袋をつかめというが、
まさにその通りだと思う。

ある日、魔族領の守護者の1人である女の人に
求婚された。きっぱりと断ったのだが、
その日を境に、
ルナウルに求婚する女の人が急増した。
彼は、ストーカー被害に多々あい、
その対応に疲れきっていた。
しかも職務もあるので、ほぼ寝ていない。

今日は3人も対応した。
もういっその事姿を消したい。
そんな中、唯一の楽しみは食事だった。
ルナウルは食堂に入った。
厨房にはいつも料理を作ってくれる幼馴染がいる。

[ラブラネさん、お疲れ様です。
    今日は何を作ってくれるんですか?]

〔あ、いらっしゃ〜い。
    今日はビッグウルフのステーキだよ。
    それにしても来る度にやつれてるね……
    今日はいつもより酷い気がするんですけど…
    元気になる隠し味入れてあげるね。〕

何をするんですか、と聞くと、
彼女は、まあ座って待ってな。といって笑った。

まもなく出てきたウルフのステーキは、
見た目はいつもと変わらなかった。
だが味付けはいつもと違った。
いや、同じだけど違った。

食べ慣れた味で、優しい味だった。
でも、食べたときの感覚が違った。
こう、言葉では表せないような感じだ。

[好き……]

〔え?なんか言った?〕

[ラブラネさんの料理が好きです。
    とってもあったかいです。]

〔……え?
    出来たてだし、ふつーじゃない?〕

違う。言いたいことは喉まで来ているのに……
どんどん顔が熱くなる。

〔今日のルナウル君、変だよ?
    本当に大丈夫?〕

ラブラネが顔を覗き込んでくる。

[えぇ、大丈夫ですよ……………ウッ!]

そこで、私の記憶は1度途切れる。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品