告ったら魔王城に連れていかれました。

ff

過ぎていく日常-朝。

朝がやって来た。
残り少ない普通の生活を楽しむために、
今日は2時間早起きした。

トイレに行って用を足し、顔を洗い、
歯磨きをし、着替えて外に出た。
故郷の風景を目に焼きつけるために散歩をするのだ。

学校帰りに買い食いをしていたパン屋や、(1度買い食いが先生にバレて怒られたが。) はじめてのおつかいで行かされた魚屋などがずらりと並んでいる。
僕の街はいわゆる昔ながらの町ってやつだ。
古くからの商店街で買い物はするし、スーパーなんてほとんど使わない。
商店街のおじさん達は怖い顔に似合わない程根は優しい。

-全てが綺麗に見える。
いつも眺めていた風景が全て美しく見える。

ん?こんなに朝早いのに向こうから人が歩いてくる。
あれは……菜南ちゃん?

菜南ちゃんは僕と同じように街を眺めているようだった。
考えることは同じなのだろう。

「おーい、菜南ちゃーん!」

手を振って走っていく。

『え!?優ちゃん?声大きいよ!
    近所迷惑になっちゃうから!』

「あぁ……ごめんごめん。
    もしかして菜南ちゃんも街を眺めてた?」

『うん。そんなところかな。
    自分の世界ではないはずなのに
    いざ離れるとなると、
    急に寂しくなってきて……。』

「そっか。よければ一緒に行かない?」

『うん。良いよ。私達の初デートだねぇ〜』

「あ、たしかに。
    この世界での最初で最後のデートか……」

-僕達は笑いながら平和に街を眺めていた。

「じゃ、また後で学校で。」

『うん。後でね。』

家に帰るとまだ母さん達は寝ていた。
いつも母さんが起こしにくる時間まで
布団に潜っていることにした。

ほら、優。起きなさぁ〜い!と、
母さんの声がいつものように部屋に爆音で
鳴り響き、カーテンが開かれる。

いつものように、朝ごはんは目玉焼きだ。
我が家の朝ごはんは基本和食である。
お米に味噌汁に漬物と、渋いと言えば渋い。
いつものように15分位で食べ終わる。

本日2回目の歯磨きを終えると、
同じように2回目の着替えを済ませ、
それと同じくらいのいつもの時間に、
インターホンがなる。
菜南ちゃんが迎えに来たのだ。

いつものように学校に向かう。
今日の朝の話をしながら歩いた。
商店街のあの店がボロくなっていたとか、
パン屋で今日セールがあるとか、
他愛もない話をしながら歩いた。


そうするといつの間にか学校についている。

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