【一話完結】ショートショートショート

野灰琉花

AI の限界と未来


AI によって、急速に進化して、世の中は変わっていった。
工場の単純作業がAIによるロボットに置き換わり、接客業でもフォーマットが決まっているもののほとんどはAIを搭載しているアンドロイドが行っている。

その中でも、『人間にしかできない』と思われていた文化的な分野へ、AIが進出してきたこと。

絵を書いたり、作曲したり、小説を書いたり……。
人間にしかできないと思われていた、創作の分野までが AI によって侵略されつつある。

しかし、所詮は AI。
 絵を描くにしても、お手本となる絵がなくては絵は描けない。
例えば、ゴッホ風の絵を描くためには、ゴッホの絵がどんなものかを学習させる必要がある。

作曲にしてもそうだ。
ショパン風の曲を作らせるにしても、ショパンが作曲した曲を学習させることで、『ショパン風の曲』をAIが作曲することは可能だ。

そして、小説。
世界に名だたる文豪の文章や作風を学習させることで、学習させた文豪の作風を真似た小説が書ける。

三つの例をあげたが、これらには共通の問題点がある。
『始まり』はあっても、AIが判断して『終わらせる』ことができない。

つまり、放っておくと、延々と作り続けてしまうのである。

特に、小説が顕著だ。
小説を書くのに必要な、詳細な資料を集めることはできる。
文章や作風を学習させれば、『らしい』文章を書くこともできる。
ストーリー展開も、ある程度の設定をしておけば、AIが設定に沿った文章を書いてくれる。
人間があらかじめ設定をしておくことで、『終わり』ができることで、AIの書く小説は書き終わるのだ。

いわゆる『血の通った文章』、『主張のある小説』を書けるAIは登場していない。
小説だけではない。絵画も作曲もそうだ。



もし、人間に訴えかける『何か』を表現をするAIが登場した時。
それは人間の想像力を奪う時ではないだろうか……。

その未来が来ないことを祈り、怯えながらも、今日も『クリエーター』と呼ばれる人達は、作品を作り続ける。

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